人類はこれまで数百年をかけて宇宙と人間の起源について科学という"道"を通して理解を深めてきました。ですが、それでも現在人類が理解しているのは宇宙のたったの5%、その他も含めたら人類がこの世界について知っているのはたったの1%程度だというから驚きです。
人類の探究の集大成であるこの宇宙を構成する最小単位である素粒子が何種類あって、それらはどう相互作用しているのかということを説明する"標準模型"はその枠組みの中で多くの現象をよく説明できています。しかしこれもまた"完璧な理論"ではなく多くの問題を抱えています。
私は素粒子同士を高エネルギーで衝突させ素粒子同士の反応を観察する加速器を使って実験的に標準模型を超える"新物理"の探索をしています。
宇宙や素粒子の研究はどう社会に貢献してるのか?と考える人もいるかもしれません。
確かに素粒子の研究はすぐに今の社会問題を解決したり、生活を豊かにすることができるかというとそうではないかもしれません。
ですが、私たちが生まれついて生きているこの世界はどう生まれ、どのようになっているのかを理解することは私たちが宇宙で生きている以上とても重要なことであり、そういった研究の積み重ねの先にこれまでもさまざまな文明の発展がありました。
電子は素粒子の1つですが、発見された当時はなんの役に立つか分からなかったそうです。
しかし今となっては電子つまり電気なしには私たちの生活そのものが成り立たなくなりました。
このように社会とかけ離れたことを見ているようでも、素粒子や宇宙を研究することは今後の人類の発展のために必要不可欠なことなのです。
世界の研究者と連携しながら自分の手でまだ誰も知らないことを研究することはとてもワクワクします。
1つの論文で大きく学問が進むことはほとんどなく、さまざまなモデル構築と実験による検証の末ようやく1つの事実が明らかになっていきます。
とても地道なことですが、その歩みに自分も参加できていると考えるとやりがいのある仕事です。