ホテルハウスキーピングマネジメント事業などを手掛ける 株式会社 グローバルゲイツは、東京都中央区日本橋に本社を置き、正社員100名とパート・アルバイト・フランチャイジーを合わせた3,000名のスタッフ、国内外に支店・営業所・子会社を保有している。代表取締役 梅村真行氏に、コロナ禍での取り組みや、今後の展望などについて話を聞いた。
―貴社のこれまでの取り組みをお聞かせください。
梅村真行氏(以下、梅村) 現在のグローバルゲイツは2007年5月に「人と環境に優しい商品を専門に取り扱う総合貿易商社」として地元・福岡市で創業したのが始まりです。
まだ当時は流通していなかった蛍光灯タイプのLED照明器具を日本で初めて開発し、JR九州香椎線「雁ノ巣駅」に使用されたほか、多くの業界の業者に販売しました。
本社を東京に移転してからは、飲食店向けにLED照明のレンタル販売を進めて好評を得ました。
その後13年12月には現在の主力事業となっているホテル客室清掃事業にも本格的に参入し、衛生品質が極めて高く厳格さを要求される4つ星のビジネスホテルから5つ星のラグジュアリーと評される超高級ホテルの清掃を次々と受託してきました。
メインの業務はホテルのハウスキーピングマネジメントですが、当社は病院内の清掃・殺菌・消毒も数多く手掛けています。
病院の業務を通して得た知識や技術、ノウハウを蓄積することにより、ホテルの客室における清掃・ベッドメイクでも、医療機関と同レベルの殺菌・消毒を施すため、クオリティーの高さが評価されています。
その実績の1つを紹介しますと、新型コロナウイルスが全くの未知のウイルスとして発生したばかりのころ、横浜湾岸に建つホテルに、感染者を乗せたダイヤモンドプリンセス号の乗客が一時的に宿泊した際に、当社は、その施設および客室の徹底した殺菌・消毒を取り入れた清掃業務を受託しています。
世界中で新型コロナウイルスの感染が蔓延し、その後も追い討ちをかける様に変異株によって多くの感染者が発生した事を受けて、各業界・企業では様々な改革に挑戦し、既存のビジネス形態や販路などの変化に対応するため、企業の生き残りをかけた攻防が試されています。当社も、同様なのです。
―「500万人の雇用を創出する事業」を目標に掲げていますね。
梅村 当社は「共に学び、人生を楽しみ、成功を目指す」を企業理念に、「キレイを創る会社」として社会、心、環境のキレイを創ること、500万人の雇用を創出する事業、SDGs目標との連動といった志が、当社のできる「コト」としています。
正社員100名の内、外国人は70名を雇用していますし、アルバイト・パート・フランチャイジーを合わせた3,000名の外国人は半数の1,500名を雇用しています。
少子高齢化が急速に進んでいる日本、その中で生産労働人口も激減していくという推計が現実化するのも遠くないことを鑑みると、既に半数以上の外国人を雇用している職場の現況は、当社に限った事情ではないはずです。
このキレイを創る会社の志として、「500万人の雇用を創出する事業」を掲げています。ホテルの客室清掃事業だけでも、17年時点では既に470万人を雇用しています。
今後も国内外のホテル客室清掃で働く日本人や外国人は増加するでしょう。特に50歳以上と更に60歳を超える高齢者、シングルマザーなどの方々が働きやすい業界職種として、日々の生活を支える基盤の '' インフラストラクチャー " となれる清掃ビジネスにしたいです。
あとわずかで目標の500万人の雇用を達成できるところまで来ています。
人口減少が進む日本の実状を考えると、働き盛りの若い外国人と共生できる企業として積極的に雇用を創出するイノベーション活動が機能しています。
―コロナ禍でホテルの宿泊稼働率が低下していますが、事業への影響は?
梅村 風が吹けば桶屋が儲かるという、江戸時代の町人文学による諺を皆さんはご存知でしょう。
ある事象の発生により、一見すると全く関係が無いと思われがちな場所や物事に影響が及ぶ事の例えです。
別の一説では、歴史上の様々な疫病を風として示唆し、空気中の細菌やウイルスが風で伝播し、人々に対してエアロゾル感染で伝染し、結果的に亡くなられた方の数が多くなった事により、棺の桶が大量に必要となったということです。
まさに現代になっても、この諺はしっかりと生きていると感じます。
世界中で、人から人への空気や飛沫から粘膜を通して感染する新型コロナウイルスと変異ウイルスが蔓延し、陽性者は隔離されたり、亡くなったりするという厳しい生活環境下でも、当社は一人ひとりのスタッフに、専門的な清掃や殺菌消毒の技術と知識、ホテルマン同等のおもてなしの心得などを学んでもらうために、JALとの業務提携で航空会社の研修指導を受けてもらっています。
その教育研修によりクオリティーが社内基準に達したスタッフには 「桜クルー」の称号とバッチを差し上げています。
この称号を授与されたスタッフ達は、プロ意識と自信につながるモチベーションの向上に良い影響となっているそうです。
この「桜クルー」に昇格すると、パートの方も賃金が上がり、正社員と同じ各種の福利厚生制度が使えるので、働く方の意欲向上にもつながり、とても喜ばれています。
感染症が蔓延するまでは、頻繁に出張したり、人と会う前提のビジネスを組み立てたりするのが普通でしたが、今やWebを有効活用する事でビジネスや交流が成り立ちます。移動時間の短縮や移動自体が不要にもなり、経費も節約できるなど、世界中に感染症が拡大した事で、一気に先の時代に進んだのではないかと感じる合理的な方法が、社会全体で認知された事で、違和感なく通用する様になった事は経済・社会にとって利点です。
―今後の取り組み予定などについてお聞かせください。
梅村 東京オリンピックが終了後に、感染者数がどう推移するかにもよりますが、この先、確実に感染者数が減少した場合には、年末に Go To キャンペーンが再開される事を望んでいます。
私は、このタイミングを再スタートの時期ととらえ、焦点を当てて行きます。
それまでの期間は、弊社が受託し管理する宿泊施設・介護施設・医療機関・複合施設・オフィスビル・学校施設民泊・グランピングリゾート施設などとの関係の強化、人材育成と採用準備、ウェブマーケティングによる新規出店計画の準備等々を、しっかりと行なって参ります。
また、ハウスキーピングマネジメント事業で、最もクオリティーが求められるのがフランスのパリです。
ここで、弊社が持ち得る全ての技術と知識、そして長年の経験から蓄積したノウハウを試す意味でも、敢えて最も厳しいフランスのパリでチャレンジするという、梅村真行社長の覚悟は出来ています。
【 聞き手・文章 岡本弘一 】