思いを託して

『カンボジアには行かない事。』

私がPumpitに入る際に母と交わした約束である。
『カンボジアに学校建てる団体入りたいねんけど…』
と切り出した時の母の顔を今でも忘れられない。

私は母ととても仲良しだ。これまで些細なことも全て母に相談してきた。しかし、こうなることに薄々勘付いていた私は、Pumpitに応募し、面接を受け、メンバーに入れてもらってから、母にその事を話した。

案の定、辞退しなさい、と言われた。
なんでそんな事を急に言い出すの、そんなんに興味あるなんて、今まで1回も聞いた事ない。と。

その通りだ。

私は多くの他のPumpitメンバーと異なり、国際協力に一切興味がなかった。むしろ嫌悪感すら抱いていた。少し長いがその理由を説明したい。

私は高校2年までの約10年間を中国・上海で過ごした。貧富の格差が激しい国だ。地下鉄に乗っていると子供がコップを揺らし、お金をせがむ。コップ中でコインがぶつかり合い、鈴のような音がする。チャリン、チャリンという音が隣の車両から聞こえて来た時は、私ははやく電車を降りたいと思っていた。

少し汚れた服を着て、少し汚れた手で紙コップを持ち、子供が懇願の眼差しを向けてくる。

私は困る。この子たちにお金を渡すのは傲慢ではないのか

そこにコインを入れてしまった瞬間、恵まれた私と恵まれていないあなた、という上下関係が出来てしまう気がしたのだ。
しかし、その1枚のコインで、その子は今日暖かい夜ご飯を食べれるかもしれない。多くを考えなくていい、それでいいのだ。

どうすべきか迷っていたら、子供は少しがっかりした様子で私の前から去っていく。
ふと車内の視線を感じる。
ああ、私は無情な人だと思われてしまった。そう思って落ち込む。

そして、そう思ってしまう自分に落ち込む。

結局全てが言い訳だ。

私は周りが自分を見る目が気になるから、次からきっと迷わずあのコップにお金を投じるだろう。

これが偽善なんだとはっきり分かった

あのコップの中で揺れるコイン。どれだけが純粋の良心によるものなのだろうか。

「私は良い事をしたのだ。」と思いたいだけではないのか。心が汚い人間が「徳を積む」ために子供たちが利用されたのを不憫に感じた。そして、私もその1人だということ。

国際協力なんてその典型だ。
可哀想な子供達を救ってあげた素晴らしい自分達。

この構図がどうしても好きになれなかった。

そんな私が、なぜ国際協力団体であるPumpitに惹かれたのか。

ある日偶然目にした写真に映る無数の笑顔から目が離せなかった。
ああ。こうやって笑う人がいるんだと心が動いた。
それがPumpitだった。

Pumpitに関わっている子供たちが、誰一人、あのいつの日か電車で見た不憫な子供の様な表情をしていなかった。みんな、笑っていた。

それは、Pumpitのメンバーがカンボジアの子供達を「可哀想」と思っていないからだと思った。助けてあげてるんじゃない。
自分たちがやりたいから、楽しいからやる。
その楽しい空気がメンバー、カンボジアの子供達、イベントの参加者に伝播していってるのを感じた。Pumpitに関わる人たちがみんな幸せなオーラに包まれていた。

これは私が今まで思っていたボランティアと違った。助ける方と助けられる方、そんな壁がそこにはなかった。みんな対等だった。ずっと抱え続けていた心のモヤモヤが消えた。あんなに嫌だったのに、この中に入りたいと強く思った。

そして、冒頭でも言ったが

『カンボジアには行かない』

ということが、数日間母を説得し続けた末のお互いの妥協点だった。
Pumpitで活動する上での大きな到達点が「建設資金500万円を集めること」だ。それを達成するのは日本での活動だから、それだけに関わるなら許す、と言ってくれた。


この団体に入れるなら、それでもいいと思った。


そうだったはずなのに、月日が経つにつれ、みんながカンボジアでしたいことや、カンボジアでの思い出を語り出すにつれ、私は日に日に疎外感を感じるようになっていった。

私はみんなと語れる思い出がないんだ。
そう思い、とても悲しく辛かった。

最初は、カンボジアに行けなくてもいいから、この団体と関わりたい。
そう思って入ったはずなのに、いつしか、カンボジアに行けないならいる意味ない、つらい、やめたい、と思うようになっていった。すごく悩んだ時期もあった。

しかし、イベントを企画をしてる時に膨らむ想像。イベントが成功した時の達成感。参加者が来て良かったって言ってくれた時の感動。他のメンバーのやりたいことを応援する時のワクワク。その全てを思い出すと、やめることができなかった。

そしてなによりもメンバー。
ミーティングでみんなと会えるのが楽しい。なんでも話せるみんなと一緒に過ごす時間は大切だった。特に代表の本田は思いつきのアイデアをLINEしたら5秒で返信してくれるし、口癖のように「ありがとう」って言ってくれて励まされた。副代表の初音は、私のヤケクソの様なボヤキも真剣に聞いてくれたし、いつも真面目に相談に乗ってくれた。この場を借りて本当にありがとう、大好きです。他のみんなも、私は、最初は素の自分を晒すのが怖くて、ふざけて誤魔化すことが多かったけれど、今も大概ふざけているけれど、最近は真面目な話をすることも増えてきて、最初と印象が変わったって言ってくれる人も増えた。

沢山悩んだ末、
日本で全力で活動して、メンバーのみんなを笑顔でカンボジアに送り出そうと決めた。
そのために、日本での活動を最後まで、全力で、一生懸命全うする。

だから

たとえみんなが出来上がった素敵な校舎の前で抱き合って笑っている写真に私がいなくても、後悔することはないと思う。

だって、
かけがえのない経験ができたから。
みんなと出会えたから。
喜びを分かち合えたから。

そして、私の思いもきっと素敵な校舎に託されると信じているから。

私もカンボジアに学校を建てたんだって、胸を張って言える。
その未来を想像して、ワクワクしている。

私の知らなかった世界に出逢わせてくれてありがとう。



“ワクワクで、出逢うみんなをhappyに”


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