2025年の東伊豆町をつくる

東伊豆町で活動を始め、8年が経った稲取設計室。私はこの組織で室長を1年間努めました。現在は新たなプロジェクトも終幕に向かい、オープンに向けて準備を進めている段階です。大学で建築を学び、右も左も分からないままこの空き家改修プロジェクトに加入しました。初めは施工をすることがただ楽しく、ほんの息抜きのような感覚で稲取に赴いていました。しかし、活動を重ねていく中で我々学生が地域の人にどれだけ期待されているか、過疎化の進む地域で空き家問題がいかに深刻化しているかという現実など、私の胸には重たい現実と嬉しい現実に直面しました。大学のカリキュラムとは全く関係ないこの活動をする中で、負担が大きいと感じる部分もあります。しかし私たちの活動は今日の日本において大きな意義があると感じています。かつては色とりどりの賑わいを放っていた港町も、今ではモノクロ写真のようにどこか儚い雰囲気に包まれています。しかし、我々の活動はそんな寂しさに少しずつ色を与えられているような気がします。これからも稲取の町を、全国の空き家問題を、建築を学ぶ我々学生たちが手を取り合って盛り上げたいと思います。