【企業分析109】株式会社 ミュゼプラチナム

今日は、成長している企業のC.I.を紹介します。面白いビジネスモデルで、注目されている企業です。脱毛業界でいち早く破格的な価格設定を行い、急成長をしている「株式会社ミュゼプラチナム」です。


【会社概要】
*「ミュゼプラチナム」は、東京に本社を構え、全国に「美容脱毛専門サロン」を展開している企業です。累計会員数が「396万人」を超え、店舗数は「188店舗」、海外にも「22店舗」進出し、店舗数、売上とも3年連続No.1を誇る美容脱毛専門サロンです。
始まりは2003年7月で、福島県郡山市に「美容脱毛専門サロン ミュゼプラチナム1号店」がオープンしました。当時、美容脱毛業界は売上至上主義が暗黙のルールとされ、美容脱毛サロンで働くエステティシャンには厳しいノルマが課せられていました。そんな業界に変革をもたらしたのが、"ノルマなし"、"無理な勧誘をしない"を掲げた「ミュゼプラチナム」です。「すべての女性をキレイにしたい!」そんな素直な想いからスタートした「ミュゼプラチナム」では、お客さまが安心して通えるよう、無理な勧誘は行っていません。スタッフもノルマに縛られることなく、おもてなしのサービスを心掛け、一人ひとりのお客さまと向き合っています。

実は創業当時は、エステサロンで脱毛を行うのが主流で、脱毛専門店は珍しい存在でした。しかも、当時のエステ業界は「会計が不明確で高額」「強引に契約を結ばされる」「解約しても返金してもらえない」などと言ったネガティブなイメージを持たれていました。「ミュゼプラチナム」はそこに着目し、それまでのエステ業界の常識を覆し明瞭なサービスを提供してきました。創業から20年近く経った今では、大手エステサロンを凌ぐ勢いで店舗数・会員数を伸ばし続けています。
*そんな「ミュゼプラチナム」が特徴的なのは、その価格です。毎月のようにキャンペーンを行っており、ワキ脱毛は何と「回数無制限で何回でも100円」となっています。通常料金でも「2,600円」です。他の会社と比較しても、通常料金からして最安値であり、キャンペーンを比較しても他社は「250円で回数無制限」や「初月のみ無料」といったものです。「ミュゼプラチナム」は、破壊的な価格提示をしていて、他社の追随を許していないことが分かります。一方で、このような無料キャンペーンの場合、「安かろう悪かろう」で、提供価値レベルにあまり期待はできず、その後「高額のサービスに強引に誘導されそう」といった不信感が生まれやすくなると思われがちです。しかし「ミュゼプラチナム」は、お客さまからの信頼が厚いのが特徴です。東京商工会リサーチ調べの「顧客満足度調査」では、No.1を獲得しています。また 上述の通り、会員数も圧倒的な規模であり、新規顧客の約5割は、会員の紹介や口コミになっています。



ここで…
【「脱毛サロン市場」について!】
●「脱毛サロン」の市場規模は、「800億円程」と言われています。(矢野経済研究所)
現状では、まだまだ小さな市場ですが、今後の成長が見込まれている市場です。

その理由が…
■好調の理由①「顧客層の拡大」
*幅広い年代の女性の需要が高い脱毛市場ですが、今後は その顧客層がさらに拡大すると考えられています。何故なら、水泳やダンス・バレエなど露出の多い衣装の習い事をする子どもや、男性の美意識向上による男性脱毛のニーズも急増しているからです。老若男女問わず、脱毛は「エチケット化」しつつあります。
■好調の理由②「技術や資格が不要であること」
*脱毛の施術を行うために必要な資格や技術はないため、短期間で一人前のエステティシャンになることができます。そのため人件費を最小限に抑えることができます。ただし、これ故に「脱毛サロン」に良い印象を抱いていない人が多いのも事実です。
■好調の理由③「低価格化」
*最新鋭の機器の登場で、数年前までは「100万円前後」が相場であった全身脱毛が、最近では「20~30万円程度」に料金が下がっています。これにより「脱毛サロン」が身近なものとなりました。「低価格・高品質」を掲げ、消費者ニーズに答えている「脱毛サロン」が業績を伸ばしています。



それでは ここで、「株式会社 ミュゼプラチナム」」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。

【経営理念】
●「歓喜共感」
私たちは、一つひとつの事業を通じて、
お客さま、同僚、家族、取引先、地域社会の
すべての関与者と喜びを分かち合える企業を目指します。
【社是】
●「すべての人がすべての人に素直でありつづけられる会社」
私たちは素直な気持ちをとても大切にしています。
それは素直な気持ちが「成長」には欠かせないと考えているからです。
スタッフに対する素直な気持ちは個々の成長を促します。
お客さまに対する素直な気持ちは、価値のあるサービスを生み出します。
これらが合わさることで企業の成長へと繋がっていくのです。
当たり前のことを当たり前に実行していくことが大切だと考えています


【成長理由 分析】

ここからは、「株式会社 ミュゼプラチナム」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。
先ず、結論からいうと…
◆1.「『三者間市場』で、超低価格を実現したこと!」
◆2.「サロン業界で、いち早く『フリーミアム』モデルを採用したいこと!」
◆3.「女性の心を掴み続けるサービス!」
の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。



◆1.「『三者間市場』で、超低価格を実現したこと!」
*「ミュゼプラチナム」は、超低価格で有名です。では 何故これを実現できるのか?その答えは「三社間市場」です。これは お客さま本人からお金を頂くのではなく、別の「第三者」にコストを負担してもらうビジネスモデルです。「ミュゼプラチナム」のターゲットは、「ムダ毛処理に悩む10代後半~40代の女性」です。
「ミュゼプラチナム」は、同じターゲット顧客を持つ企業に対して…
◯1.「広告宣伝の場の提供」
◯2.「アンケートや属性などのビッグデータの提供」
を行っているのです。下記で説明します。
◯1.「広告宣伝の場の提供」
*広告宣伝の場として、「ミュゼプラチナム」は、会員サイト内ではサイトバナー・メルマガ・会報誌などへの出稿、実店舗ではサンプリング・優待券などの設置配布・POP・店内放送などの媒体メニューを提供しています。出稿企業にとっては、メインターゲットにリーチしやすく、効率的なマーケティングを実施することができます。また 消費者にとっても、美容に関連して興味のある情報や無料のサンプルを得ることができ、「win-win-win」の関係を構築できます。
◯2.「アンケートや属性などのビッグデータの提供」
*ビッグデータ提供については、「396万人」を超える顧客の属性データやアンケート調査結果を提供できるほか、モニター調査や座談会の実施も可能です。これほど莫大な会員データは、非常に価値が高く、企業にとっては、喉から手が出るほどに欲しいデータと言えます。実際に「パナソニック」などの大手企業と共に顧客データベースを活用して、限定コラボシェーバーの開発などを行っています。他にも、ヘルスケアや化粧品会社へ広告媒体を販売したり、会員のデータを活用したサービスを開発することで、脱毛以外で収益を得る方法を進めているのです。
つまり「ミュゼプラチナム」は、自社が持つ「ビックデータ」を活かして、他の企業から収益を得ている為、脱毛サービスを超低価格で提供ができるのです。




◆2.「サロン業界で、いち早く『フリーミアム』モデルを採用したいこと!」
*「フリーミアム」とは、無料版の「簡易サービス」と有料版の「プレミアムサービス」を用意し、「プレミアムユーザー」が全ての費用をまかなうパターンです。スマホアプリなどで主流となっているものです。「フリーミアム」では、無料サービスで沢山の利用者を集客して、そこから いかにして無料ユーザーを「プレミアムユーザー」に成長させるかがポイントになります。「ミュゼプラチナム」は、このネット業界では一般的になった「フリーミアム」のビジネスモデルを、現実世界のサービス業に持ち込みました。
「ミュゼプラチナム」は、「ムダ毛処理に悩む10代後半~40代の女性」がメインターゲットになります。そのターゲットに対し、安くて便利で通いやすいといった価値提案で魅了し、且つ 100円のプランでも全く手を抜かない施術を行うことで、非常に高い満足感を提供します。それが お客さまからの信頼となり、口コミが広がり、新規顧客の獲得に繋がります。また 例えば、ワキの脱毛に満足した一部のお客さまは「他の部位も脱毛したい!」ひいては「徹底的に脱毛したい!」といった、「プレミアムユーザー」に成長することになります。
つまり、低価格で先ずは集客し、高品質で満足して貰えるサービスを提供することで、そのまま「プレミアムユーザー」に引き上げてっているのです。




◆3.「女性の心を掴み続けるサービス!」
*「ミュゼプラチナム」が、衰えを見せることなく女性会員数を増やし続けているのは、「業界の不信払拭と徹底した顧客目線で女性の信用を得る」という、創業当時からのブレない強い軸があるからです。その為に「徹底した"女ゴコロ"の理解」を実行しています。女性の特性や心理を理解した上で取り組んだことが成功要因と言えるのです。
例えば、女性のどのような特性を理解し施策に活かしているのか見てみると…
◯1.「女性に『信用してもらう』にこだわる」
◯2.「女性の『公平感』を尊重」
◯3.「女性の『お得が欲しい』に徹底的に応える」
などがあります。
◯1.「女性に『信用してもらう』にこだわる」
*「ミュゼプラチナム」がこだわり続けてきたのが、「女性に信用してもらう」ことです。女性はちょっとした感情の揺れや直感で「買う・買わない」を判断したり、安心・安全を軸に消費を決定する傾向があります。少しでも不安を感じさせたり、不信感を抱かせるような商品・サービスでは振り向いて貰えません。「ミュゼプラチナム」は業界全体に女性の不信が募っていたことや知名度が低かったことから、徹底的に信用を得ることにこだわって来ました。「明朗会計」「強引な営業をしない」「解約時返金制度導入」「キャンセル料の廃止」などがその代表施策と言えます。

◯2.「女性の『公平感』を尊重」
*女性は、"順位付け"や"格付け"されることを嫌い、平等を好む傾向にあります。女性は 男性以上に、周囲の人や仲の良い人たちと自分は平等でありたいと思っているし、自分自身も人を公平に扱いたいと考えていいます。「ミュゼプラチナム」では、この女性の「公平感」の尊重は「友達の紹介制度」に見られます。一般的な紹介制度だと、友達や家族を「紹介した人」か「紹介された人」だけに特典を提供しているが、これだけでは、特に女性は不満・不信を感じてしまう可能性があります。そこで「ミュゼプラチナム」では、「紹介した人」か「紹介された人」も同等のサービスを受けられるようにする仕組みを取っています。つまり、「誰かだけが得をしている」という思いを会員にさせないようにしています。

◯3.「女性の『お得が欲しい』に徹底的に応える」
*商品やサービスを選ぶときに「お得」を意識するのも、男性よりも女性です。消費者庁が行った調査では、「商品やサービスを選ぶときに意識すること」を「特典(ポイントカード、景品など)」と回答したのは、男性29.7%、女性43.5%で女性の方が多くなっています。約半数の女性が「お得」を重視していることが分かります。「ミュゼプラチナム」では、徹底した「お得」を会員に提供しています。「全身脱毛50円」など他を追随させないキャンペーンを次々に打ち出し続けているのです。また「ミュゼプラチナム」が配信するメルマガやアプリでも、会員限定の特典を豊富に提供しています。
他にも様々な、女性の心理を突いた施策をやっていることが、成長理由の一つと言えます。



◎と言うことで…
「ミュゼプラチナムさん」を調べましたが、「ビジネスモデル」の奥行きの深さを感じました。ただ単にお金とサービスの等価交換をするのではなく、違った形で収益を得る為の頭の柔らかさが必要だと思いました。その上で、今回 再認識したことは「ビジネスモデルを構築する上で、学ぶべき教材は身の回りに沢山ある」ということです。例えば「ミュゼプラチナムさん」が行っている、一般消費者とは別のところから利益を得る「三社間市場」や、商品·サービスを無料で提供して、その中で一部の人が有料サービスを利用するという「フリーミアム」は素晴らしいモデルだと思いますが、実は 身の回りにこういった「ビジネスモデル」は沢山あると思います。例を上げると、誰もが使っている「LINE」や「Facebook」なども全く同じモデルだと思います。実は私たちの周りには似たようなモデルは沢山があるし、学ぶべき教材も沢山あるが、気づいていないだけなのかもしれません。大事なことは、身の回りのサービスに何も考えずにただ通り過ぎるのではなく、「何でかな?」と考えてみることだと、改めて実感しました。
ここで 自分なりに、一言いわせて頂くとしたら…
◯「体毛から得られるデータを活用し、お客さまの健康状況まで測れる」といいと思いました。
脱毛の目的は体の「美」だと思います。脱毛に留まらず「脱毛」をフックに他の健康サービスが有れば面白いと思いましたし、「理科学研究所」などの大手研究会社やヘルスケア会社と組むことで出来ることだと思いまいた。



◯それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…
「ミュゼプラチナムさん」らしさを、上手く表現されていないと思ってしまったのが第一印象です。分かり易く言うと、他の企業でも転用ができてしまうと思います。調べてみると、社長インタビュー記事には「女性の心と体に輝きを与え、感動を提供する企業」と述べられていますが、「ミュゼプラチナムさん」のC.I.からは、そういったことが感じられないのは、少し"勿体ない"と思いました。会社の存在意義として、「どういった世界を創りたくて、その為に何故この事業を展開するのか?」を言語化すると、一般消費者からの共感を得られ易くなると思いました。
ここで 若手の自分なりに、企業が目指す不変の想いを表す「企業理念」を考えてみると…
●「お肌からお客さまの美を追求し、美で豊かな心で創り上げ、自信に溢れた女性を増やすことで女性躍進の一躍を担う!」
若手が生意気ばかり言って、申し訳ございません。
出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
本当に、若手が生意気ばかり言って、申し訳ございません。
長くなりましたが、以上です。