私がBACKPACKERを作る理由。
それは紛れもなく、私が旅好きであり、その良さを
親しい人や会ったこともない人、いろんな人に伝えたいからである。
伝えたいとは言っても、別にそれに共感してほしいってのとはちょっと違う。
もし共感してくれて、私が見た景色を見に現地まで行ってくれたら、
それはそれは嬉しいことであって、
何時間でもその人と一緒にその場所の魅力について語り合いたい。
たとえ共感してくれなかったとしても、全然いい。
価値観を人に押し付けるのは嫌いだし、
共感してもらうことが最大の目的ではないから。
私には世界がこんな風に見えてるよ。
この場所はこんなに日差しが強くて、ジメジメして、うだるような暑さなんだよ。
どこともなくこんな音が聞こえてきて、
一体の空気はこんなツーンとした匂いがするんだよ。
そんなようなことを、ありのままに伝えたい。
つまり自分がその地で覚えた感覚を、そっくりそのまま紙面に表現することで、
あ、いいな。素敵だな。って思ってくれた人は
ぜひ自分の足で体感しに行ってほしい。で、帰ってきたら感想を聞かせてほしい。
へー。そういうところなんだ。って思った人も
それで十分。テレビや雑誌で次にその場所を目にした時、絶対
おっ。そういえばここあんな場所らしいな。
って思ってくれるはずだから。
私の大好きな場所が、誰かにとって「聞いたこともない知らない場所」から
「なんか聞いたことある場所」に変わっただけで
とてもとても嬉しいことです。
たとえ、旅が嫌いで私のページに全く魅力を感じない人がいたとしても、
それはそれでいいと思う。
いろんな価値観を持つ人がいるんだなぁって思ってくれればね。
自分が大好きなことを否定されるのは悲しいから、否定はしないでほしいなってだけ。
逆に、その人は何をすることが好きなのか。どんなモノに魅力を感じるのか。
お茶でもしながらゆっくり聞いてみたい。
そういう、人と人をつなぐツールにもなる。かもしれない。
そんなところが雑誌を作っててワクワクするポイント。
だから私は、自分の目や鼻、手や耳を通して感じたものを
嘘偽りなく、妥協せず、私なりの感性で紙面に表現しなきゃいけない
と思いながらいつも雑誌制作をしている。
それだったら雑誌じゃなくても、
自分ひとりで記事を書いてどこかに掲載すればいいじゃないかという人がいるかもしれない。
私の場合、そんな単純な話じゃないんです。
私は活字がとても苦手で、読むのはもちろん、書くのが特に苦手です。
苦手なことから逃げてるだけじゃんと言われそうですが、正直なところ実際そうです。
でも自分な大好きな場所、大切な経験を
なにも、苦手な手法を使って伝えようとしなくてもいいんじゃない?
というのが私の考え。
無理をしては嘘偽りなし妥協なしの表現はできない。
他の手法がなんでダメかって話よりも、
なんで"雑誌"で伝えることに楽しみや魅力を感じるかの方が大切かも。
BACPACKER編集部では、1ページをレイアウト班と文章班に別れて作っています。
つまり、一つの場所の魅力を二人掛かりで伝えようとしてるってこと。
二人で1ページ作るから、表現の仕方とかでぶつかったりするけど、
根底には二人ともその場所の魅力を伝えたいっていう思いを共有しているから、
試行錯誤が全然苦しくない。
一緒に作る人と、
その土地のどういうところが好きなのか。
そこでどんな経験をしたのか。
お互いにシェアしながら創作できるのが、めちゃくちゃ楽しい。
ちょっと長くなりましたが、
私がBACKPACKERを作る理由はそんな感じです。
私は文章が苦手だから、文章だけを発信することは滅多にできないけど、
例えば雑誌じゃなくて、写真とか映像でもその場所の魅力って伝えることできるかもなぁ
と最近感じています。
雑誌というメディアだけじゃなくて、他の媒体での発信も挑戦してみたいと
今、意気込んでいます。
ということで
みんなもBACKPACKERを読んで、
知らないどこかに思いを馳せてみて。
そして気が向いたときにでも、旅に出てみてほしいな。