帰り道。
いつもの景色と何かがちがくて立ち止まる。
あれ、こんなお店あったっけ?
幼い頃から住んでいるこの街も、最近ちょっとずつ変わっている。
暇さえあれば立ち読みしていたあの本屋さんも、看板がなくなっていた。
それも、気づかないうちに。
そういえば昔は、
この小さな町さえも私にとっては大きな世界だった。
どこに行こうか。
何を見ようか。
どう過ごそうか。
ありあまる時間の中で、
行ったり来たりしながら、自分の新しい“好き”に出会い、心躍る毎日。
何も知らなかったあの頃の感覚を、今でも時折思い出すことがある。
ちょっとゆっくり顔を上げて歩く日に、素敵な隠れ家を見つけたり。
なんとなく過ごす毎日にも、
新しい“好き”に出会うためのドアはいくつもあるのだ。
あの子が通った道を進むのもいいけれど、
いつもの道で帰るのもいいけれど、
ときには新しい道を見つけることがあってもいい。
わかれ道は、選択のチャンスでもある。
あの頃から目まぐるしく変わる景色を見つめて、
次の一歩をどうするか考える。
踏み出した道の先で、思いがけない出会いに気づくために。
まずは、この一冊から。