踏切の海

風景画と小説を書いています!

記事に載せてある絵は、雲をリアルに描くとゆう初めてのチャレンジをした作品でもあり、雲だけで2時間かかりました。

↓小説の方は、マンガ学科内で2人組で卒業制作の作品として書き上げました。

冒頭


【鋭利な彼は彼女に告げた】

原作・著 森本 有利   著 藤井 亮介


 「いてててて……」

 美希(みき)は下校後、病院に行く道中で、先ほどの放課後の部活練習で痛めた足を摩っていた。

 すると、背後から幼馴染みの一成(いっせい)が、偶然見かけた美希に声をかける。

「美希、大丈夫か?」

「……ん? ああ、一成。いやー、ちょっとドジっちゃってね、アハハハハ……」

 そう言って、頭に手を置き笑ってごまかす美希。

「うわ、その足、結構腫れてんじゃん」

「大丈夫だよ、病院行けばすぐ治、きゃ!」

 右足の怪我で、左足に体重が偏った影響により、その場から立ち上がろうとした美希は、大きくぐらつき、後ろにバランスを崩す。

「おっと、!」

 その時後ろにいた一成は、前から迫る美希の背中を抱き、既のところで美希が倒れるのを阻止した。

「大丈夫か? 美希」と、声をかける一成。

 だが、美希の真横には、一成の顔が急接近していたため、美希は頬を赤め、一成から視線をそらす。

「も、もう大丈夫だから、あ、ありがと……」

 そんな美希に、一成は優しく語りかける。

「……美希」

「は、はい!」

 耳元で一成の声を聞いた美希は、鼓動を高まらせながらも、ゆっくりと一成に目を合わせる。

「俺……」

 一成の真剣な眼差しと、緊張感の膨らむ間に、美希はゴクリと息を飲んだ。

「一緒に病院までついて行くわ、お前一人じゃ心配だし」

「!……ハァ」と、ため息を吐く美希。

「ダメなのか?」

「いや、そう言う事じゃなくって……もう良いわ」

「ん?」

 そうして二人は三駅離れた所にある病院へ向かうため、電車に乗り込んだ。

 

 車内はいつものように平凡としており、乗っている人々の下に、窓から差し込む日差しが薄い影を作り出す。

 電車はガタンッゴトンッと、線路の音を響かせながら走っている。

 二人は隣同士で座り合い、美希は携帯を弄り、一成は何気なく近くの扉の前に立っている、少し背の高い男性を眺めていた。

 美希は一成に話しかけようと一成の方を向いたが、一成が何かをじっと見ているのを見て、美希も同じ様に扉前の男に視線を向ける。

「ねえ一成、あの男の人がどうかしたの?」

「んー……あの人、警察関係の人かなーって」

 美希の質問に、一成はその男性に視線を置いたまま、ぼそっと呟く様に答えた。

「どうして?」と、美希が再び質問すると、一成は話し始めた。

「ほら、あの人の左肩、少し下がり気味で右肩が上がってるだろ? 多分仕事中は胸元にあるホルスターに、拳銃を入れてるんだと思う。それに近くに人がいないにもかかわらずキョロキョロしてて、落ち着きがない様に見える。そして見ている先は人が密集している所ばかり、多分日頃から犯罪とかに敏感となる様な仕事をしているから、クセがついて、あんな風に周囲を見渡してしまう。だから警察関係者かなーって」

「ふうーーん……筋は通っているっぽいけど、確認のしようが無いね」

「まーね」

 と、一成が言った直後、電車が大きく左右に揺れた。

 その揺れで扉の前に立っていた男から、大きめのバッジが落ちる。二人はその落ちたバッジを見て、「あっ」と声を出した。

 落ちたバッジは、警察のシンボルマークが付いた『警察バッジ』だった。

 男性は落とした警察バッジを拾い上げた後、その場から去る様に、他の車両へと移って行った。


 

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