人生最高の賛辞とは

誰かの期待を満たすために生きてはいけない。
          「嫌われる勇気」より

人は褒められると嬉しいものです。私も嬉しいです。褒められて、不快になる人はいないと思います。スポーツの世界で世界記録を出した時、人類史上初めての発見をした時、そこまで大きなことでなくても、目標を達成した時には、その努力に敬意を表して賛辞を贈ることは極めて自然なことだと思います。

しかし、ここで大事なことは「褒められることが目的ではない」ということです。

私は以前「嫌われる勇気」という本を読んだとき、大変衝撃を受けました。本を読む以前に、マズローの5段階欲求は知っていました。「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」そして「自己実現欲求」。この5つの欲求は人にとって抗うことのできないものだと理解をしていました。しかし、アドラーは他者からの承認は必要ないと断じます。承認が目的になると、行動は承認されるかどうかが基準になります。そうなると、どんな善行も誰かが見てくれるからやる、誰も見ていないならやらなくなります。組織においては、声の大きな人に向けてパフォーマンスを続ける。リーダーの顔色をうかがって、言動を変える。一時の賞賛を得られても、それ以上に消耗する自分がいることに蓋をして、とにかく前進する。それは「他者の人生を生きる」ことだと著書には記されていました。他者の期待など満たす必要はない。自分が確立されていない人ほど、自分の人生を他者に委ねてしまう。自らと向き合うには勇気が必要ですし、ある程度、自尊心がなければ自らを傷つけかねない。しかし、自分を奪い返すには、揺るぎない自分を見つけ出すための時間は必要です。

トップアスリートやノーベル賞を獲得した研究者など、偉業を成し遂げた人は、誰かに褒められたいから人生の膨大な時間を目標のために費やし、集中し、命を削っていたわけではないと思います。むしろ、周りからは賛成や応援ではなく、「不可能だ」とか「無理だ」という善意の否定を嫌というほど受けていたに違いありません。人は変化を目の前にすると、怯み、恐れます。そしてこれまでの安定を確保するために変化に対して抗います。ましてや、前例がないことは多くの人にとっては、リスクにしか映らず、本人のためを思い挑戦を諦めさせようとします。

ですが、偉人たちは、周りの言葉ではなく、自分を信じる強さを持っています。周りの人の言葉は、善意であれ、誰も自分の人生には責任を負ってくれません。自分のことを自分が信じず、誰が自分を信じるのか。それは飽くなき向上心であり、私がやらねばという使命であると感じます。その信念があればこそ、誰かに気に入られたいとか、褒められたいという承認欲求ではなく、もう1段階上の「自己実現の欲求」に自分を置くことができるのだと思います。

ここまで考えて、偉人たちの言葉を振り返ると少し違和感がありました。彼らは、全員「自己実現」のためだったのでしょうか。もちろん、芸術などはまだ見ぬ世界の創造や自らの世界観を表現しているので、自己実現かもしれません。しかし、「丸山ワクチン」で有名な丸山千里先生は、自分のために生涯をがん治療薬に捧げたのか。日本人初の国連難民高等弁務官となった緒方貞子氏は、自分のために紛争地域に自ら足を運び、危険を顧みず救援活動を行ったのか。彼らは、自分のためではなく、他者のため、社会のために動くことが使命だと感じていたのではないかと思います。であるなら、私はマズローの5段階欲求の一番上には「他己実現欲求」があるのではないかと考えてしまいます。

「承認欲求」と「他己実現」

これは似ているようで大きく違います。それは、信念やビジョンがあるかどうか。だから、他己実現は自己実現の上位に位置付けられます。他者の期待を満たすことが目的ではなく、自分の使命が他者への貢献にあることは、まったくもって次元が異なります

一度きりの人生なので、自分が納得できる日々を送りたいと思います。自分のあり方を明確にすることで、凛と一本筋が通り、自分自身が拠り所にするものが得られます。そこを醸成し、挑戦を続けることで、誰かが認めてくれるのではなく、自分自身がよくやったと言える日が来るのではないかと思います。それこそが、人生最高の賛辞かもしれません。


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児島 誉人
2020-06-01

コメントをいただき、ありがとうございます!! 岩尾先生が云われる通り、残念ながら世の中に評論家のような方は多いと思います。彼らの言葉に惑わされず、私も信念をもって歩みたいと自戒を込めて記事にしました。いつもお心遣いをいただき、感謝申し上げます。

岩尾 俊兵
2020-06-01

まさに今日!これで悩んで朝から一人ふらふら散歩しながら考えごとしていました。
(私なりの、ですが)世の中にとってどう考えても良いことを、無償どころか持ち出しで(と言うところがもうダメなのだと思いますが)やっているのに、目立ちたいんじゃないの?とかお金儲けでしょ?と批判する人がたくさんいます。私みたいな無名な人間にさえアンチがいます。
しかし、「自己実現がそう簡単では面白くないじゃないか。アンチな人にも感謝」と思ったらだいぶ楽になりました!

児島 誉人
2020-06-01

コメントをいただき、ありがとうございます!! 岩尾先生が云われる通り、残念ながら世の中に評論家のような方は多いと思います。彼らの言葉に惑わされず、私も信念をもって歩みたいと自戒を込めて記事にしました。いつもお心遣いをいただき、感謝申し上げます。

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