「工数を見積もる」とは何なのか?

29 研修 工数 見積もり

いいね

こんにちは。
株式会社クインテットの牛尾です。

本日は、社内の新卒たちから「工数見積について知りたい」という声があったので、新卒研修の一環として記事にまとめました。

以下に書く内容については、私の経験を元に導き出したものなので、異論反論あると思います

あくまでも参考として捉えていただければ幸いです。



そもそも「工数」とは?

実にビジネス的な言葉で、特に新卒など経験の浅い人たちは聞いたことがないかもしれません。

工数とは「かかる時間」もしくは「かかった時間」のことです。
今回のテーマ的に言うと、「見積もり」なので、事前に作成されるものを指しています。

なぜそれが必要かというと、予算だったり経費だったりを算出するため、もしくはスケジュールを作成するために必要で、ビジネスシーンにおいては欠かせないものです。


工数の見積もり方

※工数を見積もったことがない方は、未経験で予備知識・サポートなしに作成するのはほぼ無理なので、誰か先輩などに助言をもらえる状況であることを仮定して解説します。

工数算出の要素

工数を見積もるにあたって必要な要素は大きく分けて4つ。

  • 項目
  • 時間
  • バッファ
  • 人数

です。

項目に対してかかる時間を算出し、それらを合算した時間が工数です。
その4つに沿って解説します。

項目を洗い出す

工数算出において最も重要なことの一つに「項目の洗い出し」があります。
この洗い出された項目が正確でなければ、正確な工数はでません。

項目を洗い出す手順についてはいろいろありますが、大きいものを細かく分解していくのが簡単かもしれませんね。

で、それを可能な限り細分化する。
くくりが大きすぎると正確に時間が計算できないからです。

最終的に、洗い出した項目に抜け・漏れがないか確認しましょう。

書き出すものは、スプレッドシートのようなものが良いでしょうね。

項目の洗い出しについては、「WBS(Work Breakdown Structure)」というものがあり、少なくとも弊社制作チームはよく使っています。

WBSの作成については、ネットにも情報がありますし、制作サイドの先輩たちに聞いてみてもいいですね。

もし先輩などのサポートが期待できるなら、まずこの「項目の洗い出し」をチェックしてもらうのも手です。

時間を算出する

次に時間の割り出しですが、これについては2種類の考え方があると思います。

物理的な時間

まず1点目は、「これだけ掛かってしまう」という時間。
不可避の時間とも言えるかもしれません。

例えば、新宿のハンズに備品を買いに行く、といった場合、「四ツ谷駅まで徒歩10分〜電車で5分〜新宿駅から歩いて10分〜買い物に30分〜帰社」で1時間20分掛かります。

これが「掛かってしまう時間」。
つまり物理的に必要な時間なので、短くするとかいうことが難しい時間です。

まずこれは計算が手っ取り早いものが多いので、この項目を埋めるのが早いでしょうね。

この時間には、「原稿を書く」のような作業も含まれます。
例えば1万文字の文章を書くのに10分とかでは現実的ではないですよね?
調査したり、リライトしたり、とかもあるので。


で、この1点目の時間を計測する方法は主に3つあって、ひとつは先に電車で例えた「絶対必要時間これを【1-1】とします)」。
これは至ってシンプル。


もうひとつが、「過去の実績からの推定値これを【1-2】とします)」。

先の解説でいうと「原稿を書く」ような作業系がこれに該当します。

例えばデザイン部なら、バナー作成に平均1時間掛かっている。
というデータがあるので、それを参照して時間を予測します。


最期は、「経験則これを【1-3】とします)」。

やったことない作業だったり、不確定要素が多いもの。

これは・・・経験がものをいうのでぶっちゃけ「勘」です。

絶対固定の時間

2点目が、「この時間内に終わらせなければならない時間これを【2】とします)」です。

例えば、会議室が13時から16時までしか押さえられていない場合、何がどうあっても3時間以内に終わらせなければなりません。

この場合、3時間で終わるように進める必要がある工数ということになります。

これは工数見積時ではなく、実行時に注意しなければならない点で、自分が監督者なら、この時間を守らせるというのも責務になります。

まとめ

【1-1】はおそらく移動時間とかだったりすると思うので、ある程度計算ができるので、初めてでもある程度正確には出せると思います。


【1-2】に関しては、そもそも集計されたデータが存在しないと分からないし、ある程度権限がないと触れられない可能性もあります。

これは素直に先輩に聞きましょう。ただ、聞く前に「これくらいだとどうでしょうか?」と予測で構わないので提示したほうが適切ですね。


【1-3】に関しては、主に未経験のものを想定だけで計算する場合ですが、これこそ経験無くしては成し得ないので、【1-2】と同じ方法で聞くしかないですね。


【2】は、状況によっても変わることがあるので、これも基本的には「過去経験からの推測」になるでしょう。

例えば、定例MTGを週1回、1ヶ月4回やるなら、時間を1時間と定めて、総工数4時間、とする、とかですね。


バッファを考慮する

色んな意味で「安心・安全」な工数見積を作成する上で更に重要になってくるのが、「バッファ(余裕・ゆとり・予備)」です。

時間の計算を最短だけで行ってしまうと、もし不測の事態が発生した場合に即予定工数からずれてしまうので、時間にはある程度の余裕をもたせる事が必要です。

「バッファ」は過去の経験で、「最短工数×1.5」のようにざっくりと計算するときもあれば、項目ごとに「バッファ値(割合)」を想定して計算する場合もあります。

この「バッファ」が必要になる時間については基本的に、【1-2】がやや少なめに、【1-3】はやや多めに、【2】も少なめに、ですかね。【1-1】は絶対不可避=ほぼ固定、なのであまり深く考えなくていいと思います。


項目ごとに消費する人数

お金(人件費)を換算するために工数を見積もる場合は、全ての項目に対して参加する(消費する)人数の計算を忘れてはいけません。

逆に言えば、単純に必要時間を算出するために工数を見積もるなら、この「人数」は不要です。



このように洗い出した【項目】における【時間】を全て合算したものが【工数】です。


「加算法」と「減算法」

工数の算出方法には実は2つの方法があります。

加算法

純粋に、上記解説で算出した時間を足していく方法。

例えば、
「これやるのにどれくらい掛かるか工数見積もって」
と言われた場合が【加算法】になります。

つまり、時間を換算する工数見積。

減算法

これは、事前に決まっている期日から逆算(引き算)をして算出する方法。

例えば、
「7月1日リリースでサイト制作受注したから工数見積もって」
と言われた場合。

この場合どちらかというと「リソース(人員)」を確保するための工数見積になります。


この【減算法】で見積もる場合、基本的には先に解説した分類でいうと【1-1】と【2】(部分的に【1-2】)がほとんどです。

定められた時間の中で完遂できる見込みがなければ、1人で対応するところを2人に増やして計算する、というような工夫が必要です。
(そのためには作業分担を設計する必要がある)

こうなった場合、工数計算上は、その項目は「×2(2倍)」になりますので、その計算もお忘れなく。


実際、クインテットで私が工数を見積もる場合はほとんど【減算法】です。
それは私の業務の性質上、だと思います。


「実工数」と「予定工数」

更に、工数には2つの分類が存在します。

実工数

【実工数(実績工数)】とは、実際に掛かる工数。

つまり、上記で解説した方法などを用いて算出された、「純粋な工数」。

社内での工数見積やスケジュール作成のための工数見積であれば、これでOK。

ただし、実際にはそのとおりに行かないことが多いですよね?
別の案件があったり、土日祝とか。

予定工数

なので、実際にクライアントに提出したりする場合にはこの【予定工数】を提出します。

【実工数】で算出された時間が300時間だったとすると、1日8時間勤務でも8時間全部使えない可能性があるので、諸々考慮して、例えば1日を6時間と定義すると、「60人日(=1人が60営業日かかる)」になります。

「60人日」だと、だいたい3ヶ月ですね。

作業内容次第では、更にこれにちょっとバッファを付けて、「3.5〜4ヶ月ですかねー」なんて言います。


正確な工数を算出するのは至難の業

最期に。

ここまで読んで、特に「工数見積」をやったことない方は、非常に難しいのが分かっていただけたと思います。

工数算出するのって簡単じゃないです。

なので、だいたいは部門長とかチーフとか、ある程度以上の責任者の仕事です。

何故なら、精度の高い工数算出にはそれ相応の経験や実績が必要で、低い精度の工数見積は事故・トラブルのもと、だからです。

とにもかくにも、初めてやる場合には、既に経験している部門長や先輩のサポートを得てください。


とはいえ、いずれは自力でできなくてはならないものなので、最初は精度が低くて怒られるかもですが、まずは最期まで完成させてみる、それから経験を積んで精度を上げる、と思ってやってみてください。



=うしお=



アカウント登録をするとコメントを書くことができます