結局ビジョンは自分の中からしか出てこない

新しいPandoのビジョン入力フォーマットを皆さんに使ってもらったと思いますが、この形式で入力していくことによって、自分のビジョンがどのような要素で構成されているかを認識できたのではないでしょうか?

ビジョンとは結局、自分が持つ経験やそれによって感じたことからしか生まれてこないということがわかります。

その上でPandoユーザーのビジョンや記事を見ていると、ビジョンとは必ずしも正の経験だけではなく、負の経験から「このようなことを無くしていきたい」と強く願っている人が少なからず居ます。

私も正よりも負の経験からビジョンを構成しているタイプですので、正直明るい未来が開けちゃいそうな前向きな内容とは言い難いですが、要素の背景を綴ってみようと思います。

多様性を享受できる持続可能な社会

SDGs、ダイバーシティ、LGBTQ、女性活躍。
様々な名前が付けられ、それぞれで解決を図ろうと社会は頑張っています。

しかし、私はどちらかというと心の底から多様性を許容できないタイプです。
一人の人間が30歳まで培ってきた感性をひっくり返すのは大変な事で、多様性という問題意識を持たなければ間違いなく思考停止していたでしょう。
だからこそ自分の考えは多様性に乏しいという前提で考えることでバランスを取っています。

ある日テレビで女性のクレーン操縦士が映ると、長女がさも当然のごとく
「女の子なのにクレーン動かしてる!女の子でもこんな事ができるの!?」と言いました。

私は娘たちが大人になる時に「女性だから、男性だから」という理由で職業選択をさせたくないと考えているため。
「女の子にはムリだろうな〜」「女の子だからこれにしなよ」などの性差による選択の搾取や行動にはかなり気をつけていました。

しかし親がどんなに気をつけていても、社会がそう育ててしまうのです。
テレビ、学校、小説、振り返れば固定概念が芽生えるには十分すぎる時間と経験です。

今日本は控えめに言って落ち目です、性別や国籍や学歴のほか、突出した「変人」まで、存在しているリソースを活用できていないことが競争力低下の大きな要因であると確信しています。

Pandoでは、性別項目に「選択しない」を追加したり、日本式の姓・名でしか入力できない名前フォームを自由に入力できるようにしたりなど、ダイバーシティを意識した対応も少しずつ進めています。

我々が後世に素晴らしい時代を残すには、まず多様なリソースの存在に気づき、この国そのものを持続させなければなりません。

正しい行いが正しく評価される社会

小学4年生の時に私は気づきました。

「世の中は悪いやつが得をする」

それは父が働いていた会社が倒産したときのことです。
絵に書いたような「いい人」だった父は、倒れかけの会社と社長に給与未払いのまま半年以上も尽くした挙げ句、その社長に裏切られ会社は倒産、我が家は大損害、裏切った社長はのうのうと暮らしていたのです。

それを目の当たりにし「いい人は都合よく使われてバカを見る、自分は絶対都合のいい人間にはならない」と心に決めました。

そもそもその会社の業種は一般的なものでしたが、裏側はクリーンな業界ではなく、うっすらと「こういうグレーな世界にお金が集まるんだな」と幼いながらに感じていたので、それが裏付けられる出来事でもありました。

それから社会人となり

  • 後ろめたい気持ちで商品を売る
  • 法令を遵守していたら他社に出し抜かれる
  • 同僚は敵、信用したら蹴落とされる
  • 教育として暴力や恫喝はある程度必要
  • 弱みになるので子どもの存在は知られない方がいい

すべてではないですが、こんな価値観の職場を渡り歩いてきて、社会とはそういうものと諦観していました。

クインテットに入社する時も「きっとこの会社もどうせ」と身構えていましたが、いざ入社してみて唖然。
表も裏もない至極まっとうな仕事でご飯が食べていけるという当たり前を初めて体感しました。

陰と陽をどちらも見てきて、社会にとってどちらが有益かなど考えるまでなく、子どもや人に知られても恥ずかしくない仕事が当然のようにできる社会にしなければなりません。

今の若者や自分の子どもたちが自信と希望を持って人生を送れる世界に

これは自分の置かれていた10代の逆の事を書いています。
家はだいたい電気かガスが止まっていて、電話は鳴り続けますが決して出てはいけない(留守電から流れる野太い罵声で察する)という環境が社会人になるまで続きました。

そうなるともう頭の中は「お金」の事でいっぱいになります、どうやったらすぐにお金が手に入るかばかり考えて将来の事を考えるリソースなど1ミリもありません。

将来を考えられない人はお金の使い方も下手です。
日雇いで得た茶封筒の日当もすぐに使い果たし、また「金が無い」とぼやきます。

そんな人が自分を含めて周りには本当にたくさんいました。似たものは集まります。
塾に通い、欲しい物が買えて、ご飯がいつもあって、当然大学には行く。
私達はそういう人を「住む世界の違う連中」と呼んでいました。

私は様々な幸運に恵まれ、結果的にクインテットという会社に巡り会えましたが、当時似た状況にいた人たちはもう生きているかすらわかりません、法に触れてしまった人もいます。

結果的に得るものは多く、今の自分を下支えしてくれた経験でしたが、できれば自分の子どもや次世代の若者には無縁の世界であってほしいと思います。

よりよい未来をデザインする

デザイン=設計
私の経験した世の中の負の面は、社会デザインの失敗例です。

悪いものが得をする経済の仕組みや、多様性を潰す教育、気づかれない希望もなにもない子どもたち。

そして、今まさに次の未来をデザインしているのは現代の我々です。
20年ほど見てきてだいぶ良くなってきましたがまだまだです。

一人では微力ですが、「後世に素晴らしい時代を残す」事を本気でやろうとする会社で、よりよい未来のデザインに挑戦できることはとても稀有な出会いです。

面白くないし貧乏自慢みたいな記事になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
ありがたいことに今では釣りとキャンプに心躍らせつつ、「良いもの」を作る事に奔走できています。

Qwintet life
182件
Y.U
2020.08.28

Mouriくんという人物をよく知る私からすると、入社以前の過去のエピソードは、いまからでは全く想像ができない「闇」の部分ですね。
その「闇」から這い上がってきたから強いのか、と勝手に納得。

「多様性を許容できないタイプ」というのはとても共感できる話で、私も、「あるエピソード」がなければ、きっとそういう人物だったと思うし、その部分以外は、まだまだ「多様性を許容できないタイプ」かも知れないなと常に思っていて、部を率いるものとして、それに対してはとても気を使っています(出来ているとは言ってないw)
「あるエピソード」は、また今度、記事にでもします。

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