株式会社クインテット デザイン部の真井です。
先日、社内にて「一般財団法人 社会人教育振興財団」のロゴコンペがありました。
コンペって響き、かっこいいですよね。
クインテットでは要件に応じて、ロゴコンペが開催されることがあります。普段は携わることのないプロジェクトのロゴを考えることができたり、ブランディングの勉強にもなります。
今回のロゴコンペでは7~8案の中から、私の作成した案を選んでいただきました。
ロゴを作成する機会は多いものではありませんが、今回はどのように作成していったのか、制作過程とロゴ規定を作成した時のことについて書いていきたいと思います。
ロゴは何のためにあるのか
なんでロゴを作成するんだろう。本当に使用されるのか…何に使われるんだろう…。
という疑問を以下のようにまとめてみました。
- その企業や団体、ブランドを認識するため
- その企業や団体、ブランドのビジョンをイメージ化して伝えるため
企業や団体が、理念や思いを打ち出して、ブランドをビジネス戦略として用いるのがCI(corporate identity)というのだそうです。
CIを構成するものの中に、MI(mind identity:企業理念)、BI(behavior identity:行動指針)、VI(visual identity:視覚化)という要素があります。
その中でロゴマークや色などのデザインの部分はVI(visual identity)と言われます。
ビジュアルアイデンティティは視覚的に伝わる部分ですので、企業背景やストーリーが伝わるようなものであることが理想的です。また、ルールに則って法則的に使用することでブレないCIを形成していきます。
作成着手する前にしたこと
クインテットのデザイナー陣に相談した結果、以下の手順で進めることにしました。
【1】要件を洗い出す
【2】ブランドイメージを挙げなおす
【3】競合や似た団体のリサーチをする
【4】ロゴを作成する
【5】ストーリーを作る(意味・意図・工夫・想い・ロジック)
【6】提案のため資料にまとめる
【1】要件を洗い出す
- 提出データの形式
- 何に使用されるのか
- カラー/モノクロ
- 期日
走りだす前に、必要とされる要件を確認します。
今回はカラーの指定はありませんでした。自由となると結構迷いますねぇ…。
【2】ブランドイメージを挙げなおす
- もらった資料をまずはよく読む
- もらった資料から派生する言葉を挙げる
まず、「一般財団法人 社会人教育振興財団」とは何なのかを理解するため、資料を読んだり、人に聞いたり…といったアクションを起こします。
いただいた資料の部分は割愛しますが、このような感じでキーワードを洗い出しました。
言葉を羅列するだけ…かと思いきや、結構時間がかかりました。
語彙力もデザインに重要だなぁと再確認。
【3】競合リサーチをする
- 検索する
- 一覧にする、カテゴリ分けする
同じモチーフだったり、同じ業種だったりするロゴを検索してみます。
NPOのロゴを検索してみて、いいなと感じたロゴはゴシック&サンセリフ体を使用しているものが多かったです。
漢字が並ぶ字面で明朝系だと伝統感や重みが出すぎてしまうのかもしれません。
本来たくさん検索してみるものなのかもしれませんが、今回はこの時点では参考例として数点検索しただけにとどまりました。
見すぎるとデザインが引っ張られてしまうんですよね…。
【4】ロゴを作成する
- 手書きの場合は後でスキャンできるようにする
- ベクターデータで作成する
- 文字とのバランスを見る
やっとロゴが作れる!!【5】ストーリーを作る(意味・意図・工夫・想い・ロジック) を念頭に置きながらラフスケッチをします。
私は手書きが苦手なのでイラレでいじくります。
ちなみにフォントには著作権がありますので注意が必要です。
私はtypekitで同期できるフォントで作成しました。
https://helpx.adobe.com/jp/typekit/using/font-licensing.html#sync-img
同期フォントをロゴなどの画像の作成に使用することはできますか。
はい。このフォントを、任意のデスクトッププログラム(Adobe Photoshop など)で画像を作成するために使用できます。作成した画像はどのような目的にも使用できます。可能な作業には、PDF ファイルや EPS ファイルの生成、および JPEG、PNG などのビットマップファイルの生成が含まれます。
ロゴを著作権で保護すること、または商標登録することはできますか。
はい。同期フォントによって作成されたロゴは、著作権で保護すること、または商標登録することができます。
typekitのフォントはロゴで使用、商標登録も可能なようです。安心です。
手書き派の方にはAdobe Capture CCがおすすめです!
こちらはスマホのアプリで、カメラで撮るだけで簡単にベクターデータが作成できてしまう優れものです。詳しい使い方はまた別の記事でご紹介できればと思います。
【5】ストーリーを作る(意味・意図・工夫・想い・ロジック)
- ブランドコンセプトとつながりそうなストーリーを作る
ロゴを作成しながらストーリーを作っていくのですが、先ほど列挙したワードから数点チョイスします。
今回は「人」「繋げる」「自ら考えて行動を起こす」このあたりを起点にして考えようと思いました。
「未来へ向かっていく」という印象が欲しいなと思って、作成したロゴを右向きになるように反転したりと、ストーリーに合わせて手直しをしたりします。
フォントの選定も、イメージに合うようにどんな印象効果が見込めるのか考えて選びます。
【6】提案のため資料にまとめる
コンペ用資料にモックアップを入れて、イメージしやすいようにまとめます。
詳しくは毛利さんの書いた記事を参照してください↓
■1案目(没案)
『人と人、学びや職を我々がつないでいく』というイメージから、漢字の「人」に見えるような装飾枠で囲いました。
枠を旗のようになびかせ、このような団体の中でもフラグシップとなるよう意味を込めました。
フォントは丸みがあり、ふところ(画と画が構成している内側の空間)の広いものを採用し、おおらかさや親しみやすさを表現しています。
フォント:平成丸ゴシック体
使用カラー:#9DD7EC
■2案目(採用案)
『自ら考えて行動を起こす』というイメージから、財団名にも含まれている『人』をアレンジし人が歩んでいく様をモチーフとしました。未来へ向かっていく印象になるよう、フォントを垂直にリフレクトさせました。
山に立てた旗のようにも見え、『仕事』がただ平凡な作業ではなく、人生の目標・目印などを定めるための大切な糧になってほしいという意味を込めました。
フォントはスッキリした直線の多い書体を使用。ただし、するどさを感じさせないよう愛嬌のあるものを選定しました。
フォント: VDL ヨタG M(日本語) / futura Demi(英語)
2案目は英語表記を添えたほうが「教育」「働く」などのキーワードが頭に入ってくるんじゃないかと思ったので記載してみました。
ただ、わたしは英語が全然できないのでグーグル翻訳や英語の得意な林くんの知恵をお借りしました。英語で社会人っていう言葉がなくて焦りました…(知りませんでした)
まとめ
本記事ではさらっと書いていますし、実際手を動かしていた工数的は10時間にも満たないのですが、プライベートの時間で結構頭を悩ませていました。
ロゴを作成する際にキーワードの洗い出しをたくさんしておくと、何のために作成するのか、ストーリー立てがしやすかったように感じます。
次回はロゴ規定の作成についてをUPしたいと思います。
NEXT>>> ビジュアルアイデンティティとロゴデザイン(2)
一般財団法人 社会人教育振興財団
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ロゴデザインのモックアップイメージを一瞬で作る方法
ビジュアルアイデンティティとロゴデザイン(2)