こんにちは、開発部の島崎と申します。
今回は、Webにおけるオンライン決済サービスを利用するにあたり、決済サービスを選ぶ上での確認事項をいくつかご紹介いたします。
また、この記事ではいくつかの言葉を以下のように定義します。
言葉 | 定義 |
決済サービス | 決済代行会社のWebサービス。 申し込むことでオンライン決済を利用することができます。 |
運営サイト | 決済サービスの導入対象となるWebサイト。 あなたが運営しているWebサイト。 |
ユーザ | 運営サイトに訪れるお客さん。 |
購入 | ユーザが運営サイトから商品を注文すること。 |
決済 | ユーザが支払を行うこと。 決済方法によって、購入と決済のタイミングが異なります。 |
決済方法
決済方法には、クレジットカード決済やコンビニ決済、銀行決済など様々な方法が存在します。
決済サービスによってはクレジットカード決済のみ、と言ったサービスもあり、要件を満たす決済方法を選択する必要があります。
費用
費用と一括りに言っても、様々な費用がかかります。一般的に決済方法ごとに費用が決まっています。
- 初期費用
サービス導入にあたり、最初の手続きや審査などにかかる費用です。
- 月額費用
月々の利用料が発生します。
- 決済手数料
1つの決済が成立するごとに発生します。サービスによっては「トランザクション料」 「処理手数料」などと呼ばれています。
返金(取消)時にも発生する場合があります。
また、「最低手数料」が設けられている場合もあります。これは、月の合計決済手数料が最低手数料を下回った場合、その月の決済手数料は最低手数料が適用されます。
- その他オプション料
決済サービスによっては、後述する「3Dセキュア」や「定期課金」などが有料オプションとして用意されている場合があります。有料ではなくデフォルトで利用できる場合もあるので、確認が必要です。
審査期間
決済サービスに申し込んだあと、すぐに利用できるようなるとは限りません。決済方法によっては1〜2ヶ月かかるものもあります。すぐに利用したい方は確認すべき項目となります。
サポート
開発や運用にあたり、決済サービスのサポートは欠かせません。以下にいくつか例を挙げますが、開発コストに直結するような項目も存在します。
- 電話窓口は存在するのか
- 対応可能時間帯
- 日本語対応を行なっているのか
- 開発者向けドキュメントは詳細に書かれているのか
セキュリティ
近年、Webサービスからの個人情報の流出が多発しています。クレジットカード番号やユーザ氏名を守ることはもちろんのこと、クレジットカードの不正利用の監視を行なっている決済サービスを選択する必要があると思います。
また、後述する3Dセキュアやセキュリティコードを備えているものは、セキュリティがより堅牢だと言えるでしょう。
接続方法
運営サイトと決済サービスを接続する方法はいくつか存在します。
- リンク型
決済画面は決済サービスが用意してあるものを利用します。つまり購入画面から決済画面へ遷移する際、別のサイトへ遷移します。
- API型
購入画面から決済画面へ別のサイトへ遷移する必要がなく、運営サイトのドメイン内で完結することができます。
テスト環境
決済サービスにはテスト環境を利用できるものもあります。しかし利用開始時期や利用可能時間も確認する必要があります。
申し込みと同時に利用できるのであれば、審査期間と並行して開発を進めることができます。しかし利用開始時期が審査後の場合、開発開始まで時間を要する可能性があります。
また、テスト環境を24時間利用できるとは限らないため注意が必要です。(利用時間帯が平日の10〜18時という決済サービスも存在します。)
入金タイミング
売上を獲得するタイミングは決済サービスによって異なります。基本的には「翌月入金」だと思われますが、「毎週入金」や「翌々月入金」など様々です。入金が遅い決済サービスには、入金を早める有料オプションが存在しているものもあります。
また、入金用の銀行口座を用意する必要があり、基本的には売上から利用料を差し引いた額が入金されます。入金時は振込手数料を支払う必要がある場合もあります。
決済方法ごとの確認事項
ここからは、決済方法ごとに注意すべき項目をご紹介いたします。
今回は、クレジットカード決済、コンビニ決済についてご紹介いたします。
クレジットカード決済
ブランドによる違い
クレジットカードには、VISAやMaster Card、JCBなど様々なブランドがあります。決済サービスによって利用できないブランドがあるかもしれません。また、以前は利用できなかったが最近利用可能になった、と言った事例もあるので、最新の情報を確認する必要があります。
また、ブランドによって決済手数料が異なる場合もあります。
定期課金
運営サイトが月々の会費を徴収したいのであれば、定期課金(継続課金などと呼ばれることも)が可能な決済サービスを選択する必要があります。
また決済サービスによっては、徴収間隔が用意されていたり、柔軟に設定できたりするものもあります。
決済サービスによっては有料オプションとなっています。
仮売り上・実売り上
クレジットカード決済には、決済完了までに段階を踏むものもあります。
- 仮売り上
決済サービスによっては「与信枠確保」とも呼ばれています。
与信枠とは利用限度額のことで、仮売り上では決済は完了していません。
与信枠を確保せずに実売り上処理を行なった場合、もし利用限度額を超えていると決済することができなくなってしまいます。
決済完了前に、在庫の確認や予約商品、返金対応などを行う場合に利用されます。
- 実売り上
決済サービスによっては「即時決済」「キャプチャ」とも呼ばれています。
仮売り上状態で在庫確認などを行い、問題がなければ実売り処理を行い、決済完了とします。
決済サービスによっては、仮売り上を経ずに最初から実売り上とすることも可能です。
返金(取消)・金額変更
決済を取り消したい場合や金額を変更したい場合があると思います。しかし、前述した「仮売り上」「実売り上」などの状態によっては可能期間が異なっていたり、中には不可能な場合もあります。
セキュリティ
前述したように、クレジットカードの不正利用を防ぐために、以下の機能があります。決済サービスによっては有料オプションとなっています。
- 3Dセキュア
ユーザが設定したパスワードを要求する本人認証サービスです。ブランドによってはこの機能がないものもあります。
- セキュリティコード
カードの裏面に記載されている番号(セキュリティコード)を要求する機能です。
- PCI DSS
PCI DSS(Payment Card Industory Data Security Standard)とは、クレジットカード会員の情報を保護することを目的に定義された、クレジットカード業界の情報セキュリティ基準です。
こちらは機能ではありませんが、PCI DSS認証を取得している決済サービスは、一定の基準を遵守していることを認められているため、安心して決済できることが保証されています。
詳細は下記の参考(※1)よりご覧ください。
コンビニ決済
利用可能なコンビニの種類
決済サービスによっては利用できないコンビニの種類があります。(セブンイレブンが利用できない決済サービスもあります。)
支払方法
コンビニ決済の中には以下のような支払方法があり、決済サービスによって用意された支払方法が異なります。
- 払込票
決済サービスによっては「支払票」とも呼ばれています。
公共料金の払込票と同じ形式で、バーコードが印字されたものを指します。ユーザまで郵送されるものや、ユーザが購入後にWebで印刷できるものもあります。
郵送の場合は、払込票の印刷代、送料、その他利用料が発生する場合があります。
- 支払番号(ペーパーレス)
ユーザには支払番号が渡され、コンビニに設置してある端末(FamiポートやLoppiなど)に支払番号を入力すると、支払票が印刷されるものです。
Amazonのコンビニ決済と似ていますね。
審査
前述したように、決済方法ごとに審査が設けられており、審査を通過しないとコンビニ決済を利用することができません。
また、以下のような他の決済方法とは異なる条件もあります。
- 取り扱えない商品がある
- 運営サイトにECとしての機能を含んだ上で、外部に公開できる状態である
- 金額が30万円以下である
詳細は下記の参考(※2)よりご覧ください。
支払期限
クレジットカード決済とは異なり、購入から決済までに期間があるため、支払期限が設けられています。
決済サービスによっては支払期限を柔軟に設定できるものもあります。
返金(取消)・金額変更
私が調べた限り、コンビニ決済では返金も金額変更もできません。返金の場合は以下のような対応が必要となります。金額変更の場合は取消後に再決済を行います。
- ユーザが未決済の場合
支払期限が過ぎると自動的に取消となります。
- ユーザが決済済みの場合
個別に返金します。(ユーザ指定の銀行口座に送金するなど。)
まとめ
今回は、決済サービスを選択する上で、確認すべき項目をまとめました。
また、クレジットカード決済およびコンビニ決済を選択する上での確認すべき項目をまとめました。
私がこれまで調べて大事だと思った項目をまとめたまでですので、「他にも大事な項目がある」などのご意見がございましたら、教えていただけると幸いです。
最後に
費用が安いからと言ってあまり知名度の無い、利用者数が少ないような決済サービスは避けるべきだと思います。
導入後にそのサービス自体が閉鎖してしまうと、新たに別のサービスを探すことになってしまいます。
さらに、決済サービスを探していると、「サービス比較サイト」というものが多く存在していることがわかります。
中には、決済サービスを紹介することで報酬を得ている業者もいるようです。(全てではありませんが。)
そういったサイトで安易に決めてしまうのも、避けるべきだと思います。
決済サービスではありませんが、以前似たような事例を教えていただきましたので、参考(※3)をご覧いただければと思います。
参考
※1 『PCI DSSとは』
http://www.jcdsc.org/pci_dss.php
※2 『コンビニ決済導入時の審査における必須項目とは?』
https://www.sonypaymentservices.jp/column/onlinepayment/convenience-store-screening.html
※3 『【危険】カオスなイギリス製ペットフード祭り 購入はよく考えて! | +獣医のペット病院ウラ話!?』
http://pet-net3.sakura.ne.jp/pet-urabanashi/pet-kiken/petfood-kaosu/