こんにちは。カスタマーサポートを担当しております、なかがわです。
クインテットに入社する前までは、長年お電話での顧客対応の仕事をしておりましたが、現在はメールでのカスタマーサポートが主となっております。
日々の返信メール作成のなか、「電話では適した表現ができるのに、ことメール、特にビジネスメールになるとうまい表現が浮かばない」と四苦八苦することもしばしば。
弊社のカスタマーサポートでは、そんな疑問点をみんなで解消すべく、ビジネスメールの適切な表現を学ぶための勉強会を開き、より正しい、丁寧なメール作成に努めています。
そこで、私が担当した勉強会で、他メンバーへお伝えした内容のうち、カスタマーサポートだけでなく、通常のビジネスメールでも使っていただけそうな表現をいくつかご紹介したいと思います。
カスタマーサポートではどちらが正しい表現?
カスタマーサポートとは、直訳の通り「顧客を手助けする」仕事なので、ユーザー様の問題を解決するために、ユーザー様へ依頼やお願いごとをする機会が多々あります。
それではビジネスメールでもよく目にする下記の表現、どちらが正しい表現だと思いますか?
「お願い申し上げます」と「お願いいたします」
こちら、実はどちらも正しい表現です。
少し詳しく解説しますと、
「申し上げます」は、言うの謙譲語である「申す」と補助動詞の「上げる」そして丁寧語である「ます」で構成されています。
「いたします」は、するの謙譲語である「いたす」と丁寧語である「ます」で構成されています。
どちらも何かを依頼、お願いする敬語として使用ができます。
では、違いは何でしょうか?
違いは動作の対象として「送り手にかかるか」「受け手にかかるか」にあります。
「お願い申し上げます」は、動作の対象が送り手に、つまり言葉を発した側が主となり、「お願いいたします」は、受け手、つまり相手が主となります。
お願いするということは相手に何かをしてもらうことが多いわけですから、『受け手が何かをしなければいけない』状況であると容易に想像できると思います。そのため、「お願いいたします」がより正しい敬語と言われています。
では、動作の対象が送り手にかかっている「申し上げます」はどのような場面で使用するのが良いのでしょうか?
答えは、自分から何か行動するときです。
といっても分かりづらいですよね。「御礼申し上げます」「お詫び申し上げます」といった自分が動作の対象になるときに「申し上げます」を使うと良いようです。
しかし、「お願いいいたします」が1つのメール本文中に何回も出現すると、くどい文面になってしまいます。そのため、同じ言い回しを回避するために、1度は「お願い申し上げます」を使用してもそれは問題ないとされています。
「お待ちいただきますよう」と「お待ちいただけますよう」
これは「いただき」と「いただけ」の一字違いなのですが、さてどちらが正しい表現でしょう?
こちらも両方正しいといえば正しいのです。では、同じく詳しく見ていきましょう。
「いただきます」は、もらうの謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」で構成されています。
「いただけます」は、もらうの謙譲語「いただく」と可能形「できる」の変化形「ける・れる」と丁寧語の「ます」で構成されています。
両方とも「○○して欲しい」の丁寧な言い方のイメージですが、「いただけます」の方が「○○できるならして欲しい」と、より低姿勢でお願いするイメージがあるので、カスタマーサポート的目線で見ると、「いただけます」がより丁寧な表現といえます。
ビジネスメールに限らず、電話応対などでも使える表現
次にご紹介する表現は、カスタマーサポートやビジネスメールだけでなく、電話での応対や取引先での営業トークなど、会話する場面でも注意すべき表現です。
「~になります」と「~でございます」
「こちらが資料になります」「ご案内は以上になります」とよく耳にしがちな言い回しですが、これはどちらとも間違い表現です。
「なります」は「なる」の丁寧語ですが、「なる」という動詞はさまざまな意味を持つものの、変化や移行した結果を表すときに使われる言葉です。
よって、
「来年から小学生から中学生になります」(→ 状態の変化)
「お店を開業して5年になります」(→ 時間が経過して変化)
が正しい表現です。前出の2つの表現に関しては「こちらが資料でございます」「ご案内は以上でございます」が正しい表現です。
「お世話様です」と「お世話になっております」
「お世話様です」という表現もビジネスシーンでよく聞く表現ですよね。「お世話様」の表現はどちらかというと、少し自分の立場が上のときに使われます。例えば、自宅に荷物が届けられた際、配達員に向かって「あら、お世話様」というイメージです。
しかし、ビジネス上、相手が自分より立場が下だからといって、ビジネスメールで「お世話様です」は使わないほうがいいかも知れません。「親しき中にも礼儀あり」という言葉もありますしね。
「よろしかったでしょうか」
カスタマーサポートに携わったことがある人であれば、もうご存知かもしれませんね、これが間違い表現であることが。
レストラン、居酒屋など若い人からよく聞かれる表現です。
こちらは過去の事柄を確認するのではなく、現在の事実について確認をしなければいけませんので、おのずと現在形の「よろしいでしょうか」が正しい表現であることはお分かりいただけるかと思います。
まとめ
日本語って難しいとつくづく思いますね。
敬語1つにしても、丁寧語・尊敬語・謙譲語に加え、美化語というものもあり、使いこなすのはなかなか難しいものです。
しかし、少しずつでもより美しいビジネスメールの表現、言葉の引き出しを増やしていくことで、ユーザー様のカスタマーサポートに対する信頼度は上がると信じています。
今後もカスタマーサポートに限らず、意外と知らない役立つ情報を、皆様にお伝えしていきたいと思います。