就活生との対話からの学び ~自分と向き合う事~

就活生の皆さんとZoomや就活イベントで対話をしている。
当時の自分に爪の垢を煎じて飲ませたいぐらい、皆さん礼儀正しく、非常に素直だ。
初めて就活生と面談する時、正直どんなアドバイスが自分に出来るか不安だったが、たくさんの就活生との対話を経て、私は就活テクニックよりも自分が伝えたい事があると気づかされた。

内定がゴールではなく、自分が納得した人生の選択なのか?
その選択は、自分の価値観と照らし合わせて、自分が本当にやりたい事なのか?

私は20年働いた会社から転職をした。
理由の1つに、この仕事が自分が本当にやりたい事なのか?
に気づいたからである。

今振り返るときっかけになったのは、5年間の東南アジアでの海外駐在だと思う。
赴任当初は海外販社の立ち上げと新規事業の推進として、仕組みの構築、新規事業の文化の醸成、数字の拡大を目標に意気込んでいた。
嬉しい事もたくさんあったし、結果も残せたと思うが、大小いくつかの挫折もあった。

挫折の要因の1つは現地スタッフの離職である。
昇給より転職の方が給料の増加が大きい為、東南アジアでは2~3年で転職するのは珍しい事ではない。
その中でも2人の離職が大きかった。
1人は、私の新規事業の技術支援を行う、セールスエンジニアで、入社後からマンツーマンでOJTを行い、見込みがあるが故に、周りから止められる事があるぐらい、厳しく指導を行った。2年で営業、技術支援、セミナーなどすべて一人で出来るまでに成長してくれ、現地サポートは安心して任せられる様になった。
もう1人は、私が海外駐在する前から長年働いていた現地マネージャーだ。
お客様や代理店様とは長年の付き合いで関係も出来ており、非常に優秀なマネージャーで販社立ち上げで毎日遅くまで働き、苦楽を共にしてきた同志だ。

新規事業も順調に浸透し、数字も伸び、セミナー開催や問い合わせもたくさん頂ける様になった。

そんな中、急激に市場が変化し、需要が増加し、供給が全く追いつかず、商品の提供が出来なくなった。お客様からは「せっかく他社より変えたのに裏切られた、なんとかしろ」と怒鳴られ、スタッフと一緒にただ謝る日々を過ごした。

そして、このタイミングでこの同志2人が会社を辞めた。

当然私の責任が追及されたが、責任なんてどうでもよかった。
残念で、苦楽を共にした同志を守れなかった自分の力の無さに泣いた。

事務所スタッフはほぼ入れ替わり、数年積み上げてきた事が全てリセットされた。

その後、限られたリソースの中で寝る間もなく仕事をするが、一人ではお客様対応や困っている人のサポートも出来ず、ただ忙殺され、感情を失い、防衛本能の殻の中にいた。

1年ぐらいが経過した頃、仲間から自分と向き合うきっかけをもらい、自分の感情を書き留める事を始めたが、感情を表す言葉すら頭に浮かばず、ネットで調べて少しずつ自分に感情がある事を思い出していった。自分と向き合う事で、自分の感情や状態を理解し、予期せぬことやコントロールできない事を受け入れ、役割で働く事から抜け出した自分がいた。この挫折があったから、自分と向き合う大切さを身をもって理解出来たのだと思う。

その後もいろいろ自分の潜在意識の中に楔が撃ち込まれていたのだと思うが、数年後日本に帰任し、与えられた新規プロジェクトを推進している時に本当に自分はこの仕事がやりたいのか?と考え、転職活動を始めた。

就活当時、自己分析なんてしてなかったと思う。
思いもよらず、大手メーカーに入社出来、定年まで働くと思っていたし、その当時転職する友人が理解出来なかった。いろいろな経験をさせて頂き、大きな失敗もなく仕事してきたが故に自分と向き合うきっかけが20年もなかった。
小さな成功の中には大きな幸せは無く、苦労や挫折を経て大きな幸せと成功がある。
挫折をきっかけに自分と向き合い、自分の感情や価値観に合った仕事をする大切さを学び、社会人の折り返し地点でリセットして自分の本当にやりたい事をやっていこうと思った。

これからも自分と向き合い、自分の心の底からやりたい事は何なのか?を聞き、無意識に一歩を踏み出し続けたい。

手島智美
2021.07.02

記事をよんで、感銘と尊敬と共感を感じています。
松永さんの生きて来た道が今の選択に繋がっているんだと知りました。
私自身、新卒から盲目的に働き「会社のためになること=自信の幸せ」と疑わず、自分の心からやりたいことが何なのか?を本気で考えるようになったのは転職というきっかけがあったからでした。何も出てこないことに絶望を覚えました。未来ある学生に「納得出来る人生」という選択をしてもらえるよう、尽力したいと改めて感じてます。またお話させてもらえると嬉しいです!

松永祥武
2021.07.03

ありがとうございます。私は自分に「会社のために」をよく唱えてました。そしてそのまま後輩やスタッフ達にも「会社のために」と言っていました。みなさんに自分のやりたい事を自分で選択して欲しいと思います。一緒に尽力しましょう!
是非お話しさせてください。手島さんのお話も聞かせてください!

篠田圭介
2021.07.01

驚きました。仕事がいつも順風満帆に行くことはないですが、こんな苦労をされているとは思いもよりませんでした。想像もしていなかった松永さんの一面がみれて感銘を受けました。
後世が素晴らしい時代になるよう、これからもお互い頑張りましょう!

松永祥武
2021.07.02

ありがとうございます。常に課題やチャレンジがあるから、皆さん仕事をするのかもしれませんね。
後世の時代の為に、お互い挑戦を続けましょう!

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