イランのインターネット事情

イラン インターネット

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 先日夏休みを頂き、イラン旅行に行ってきました。

何故イランなのか疑問かと思いますが、一年半ほど前まで、私は大学院でイスラーム史を専攻し、特にイラン史について研究を行っていました。

研究対象であるイランには長年行ってみたかったのですが、両親の理解が中々得られず、行けずじまいになっていました。

ですが、今回あらゆる事情が重なり、(半ば強引に)イランに行く夢がかないました。

(会社へのお土産はすこぶる不評だったので少々気が引けますが)この記事では、私が体験したインターネット規制大国イランならではの事情についてお話したいと思います。

簡単なイランのお話

 さて、イランについてですか、正式名称をイラン・イスラーム共和国という通り、イスラーム教のシーア派が国教に定められています。最近では、アメリカの対イラン経済制裁もあり、ニュースでも耳にすることの多い国の一つではないでしょうか。

 そんなイランですが、インターネットが規制されることでも有名で、政府の検閲によってブロックされているサイトは国内で閲覧することができません。

 また、いわゆるグローバル企業がアプリ事業を事実上展開できないようになっているため、イランではAppleのサポートも対象外となっています。つまり、App Storeも利用できません。その結果、イラン専用のアプリが数多く存在しています。

①フリーWiFiは使えるの?

 海外旅行の際に気になるWiFi事情ですが、イランにはフリーWiFiはほとんどありません

イランの首都テヘランのエマームホメイニー国際空港でさえ、フリーWiFiは使用できませんでした(もしかするとあったのかもしれませんが)。

(ちなみに、経由地カタールのハマド国際空港ではフリーWiFiを利用できました。快適すぎたのもありますが、トランジットの時間が長く退屈だったので、LINEで電話したりしていました)

イラン国内では、私は知人が契約している国営キャリア「イランセル」のポケットWiFiを利用してインターネットを利用していたのですが、

これもまた長距離移動をすると突然接続できなくなったりと、かなりイライラする状況に何度も陥りました。

何回リセットしてもつながらず、結局充電器をつないだ途端、再び接続するようになりました。

②閲覧できるサービス、規制されるサービス

 上記の通り、イランでは政府の検閲によって閲覧できないサイトが多々ありますが、政治的に利用される可能性があるということから、SNSの多くは規制の対象となっています。ただ、以下の表からもわかるように、何故だかわかりませんがFacebookはダメなのに、Instagramは利用できたりします。

聞いてみるとイランではInstagramの人気が高いそうで、それを裏付けるかのように、街の至るところで自撮りをするイラン人を見かけました。

規制されるサービス閲覧できるサービス
Facebook
Twitter
Youtube
FC2
個人のブログ(Qiitaなどもダメ)
Instagram
LINE
Google

 私はほとんどSNSを利用しないのであまり困ることはないだろう、と思っていたのですが、個人のブログも閲覧できないとなると、旅先でちょっと情報を調べたいときなどさすがに不便に感じました。

特にエンジニアであれば、コードを書く際にQiitaをはじめ、個人のブログを参考にすることが多いと思いますので、要注意です。

Googleは使えるので検索は出来るのですが、いざブログにアクセスしようとするとペルシア語で書かれた警告ページが表示され、事情を知らないと何かやらかしたのではないか、と冷や汗をかきます。

③VPNの利用

 では、上記のようなサイトにイラン国内から全くアクセスできないかというと、そうでもありません。そんなときにイラン国内でのみならず、旅行者からも利用されているのがVPNです。

VPN経由で接続すれば、国外からのアクセスであるかのように見せかけることができ、アクセスが遮断されるのを防ぐことができます

日本でVPNというと、例えば本社と支社のような離れた拠点同士をつなぐネットワークを構築するために導入される技術として認識されていることが多いかと思います。ですが、今回の例のように、対象国外からのアクセスを禁止しているサイトを閲覧するために利用することもできます。

 満足な通信速度を得られないことがほとんどですが、国内で制限されているWEBサービスをちょっと閲覧する程度であれば、利用しない手はありません。(ただ、私は旅行中かなり暇だったのでパソコンでネットサーフィンを長時間やっていたのですが、そういった使い方をすると絶望的に遅いと感じました・・・。)

ただし、渡航前に設定しておかなければ意味がないので、注意が必要です。

*今回私が利用したVPNサービス『FlyVPN

*おまけ アプリ事情

 冒頭でも説明しましたが、イランではApp Storeが利用できません。(アプリを検索するサイト『SibApp』なるものが存在します。)最後に、イラン独自のアプリやイスラーム圏ならではのアプリを少しご紹介したいと思います。

イラン独自のアプリ

 ・配車アプリ『Snapp

   イラン版Uber

イスラーム圏ならではのアプリ

   検索機能、外国語訳、高名な学者による解説あり

   正確なキブラ(メッカのカーバ神殿の方角)を探せます

   正確な礼拝時刻を教えてくれる、通知機能付き 

おわりに

 今回は、少々特殊なイランの事情についてお話しましたが、旅行先もしくは出張先で困らないよう、利用する予定のサービスが利用可能かどうかを含め、インターネット事情がどうなっているのかを確認することが重要です。

 また、インターネットが規制される地域では、情勢によって規制対象も急に変わることが予想されます。エンジニアとしては、アプリやサービスを作成する際、提供予定エリアの情勢をよく認識した上で開発を進めていくことの重要性を改めて実感しました。裏を返せば、事情をよく理解し、規制の対象とならないよう策を練ることで、新たなサービスのアイディアが浮かぶ可能性もあり、ビジネスチャンスにつながるのではないかと感じました。


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