ある社長さんはふるさと納税だけで、4人の食費を賄っているとか…
なかなかその域に達する方は多くはいらっしゃいませんが、少ない寄附金であってもふるさと納税制度を利用することはできます。
みなさんは「ふるさと納税」って、どんな制度かご存知ですか?
既にふるさと納税制度を利用されている方も多いかとは思いますが、ふるさと納税制度についてよく分からないという方に向けて、ふるさと納税の制度内容・仕組み・手続き方法、ふるさと納税のポータルサイトについてご紹介します。
(1)ふるさと納税の制度内容
ふるさと納税制度とは、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意志で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されました。
2008年の安倍政権で、市区町村の合併が盛んに行われ、過疎化などで悩む自治体に対する改革として、新しく取り入れられた制度の一つがふるさと納税制度です。
ふるさと納税制度は所得税と個人住民税の寄附金控除の制度に個人住民税の寄附金控除の上乗せ分としての特例が導入されたものです。
正確に言ってしまうと納税というよりは寄附金制度の特例ですが、ふるさと納税制度を利用することで、実質的には個人住民税の納税負担が寄附された金額に応じて軽減されるため納税という表現が使われています。
(2)ふるさと納税制度の仕組み
- ふるさと納税制度で税金の控除を受けることができる
- 自分の選んだ自治体へふるさと納税(寄附)をすることができる
- ふるさと納税(寄附)の使い道を決めることができる
- ふるさと納税(寄附)をした自治体からお礼の品をもらうことができる
1. ふるさと納税制度で税金の控除を受けることができる
ふるさと納税制度を利用して自治体へ寄附した場合、寄附金額のうち2,000円を超える部分については、一定の限度額まで所得税と個人住民税の控除を受けることができます。
<確定申告>
確定申告をされた場合、所得税分はふるさと納税(寄附)をされた年の所得税から還付という形で控除され、個人住民税分はふるさと納税(寄附)をされた翌年6月以降に支払う個人住民税から減額という形で控除が行われます。
<ふるさと納税ワンストップ特例制度>
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用された場合、所得税からの控除は行われず、ふるさと納税(寄附)をされた翌年6月以降に支払う個人住民税から減額という形で控除が行われます。
また、ふるさと納税制度を利用される方の給与収入、家族構成、その他の控除内容などによって、税金から全額控除される寄附金額や自己負担額は変動します。
何としても自己負担額を2,000円で抑えたいという方は、お住いの市区町村へ確認されてからふるさと納税制度を利用されることをおすすめします。
わざわざ確認するなんて…
という方は、税金から全額控除される寄附金額の目安よりも少ない金額で、はじめてみてください。
<税金から全額控除される ふるさと納税(寄附金額)の目安>
寄附者の給与収入 | 独身または共働き※1 | 夫婦※2または共働き+子1人(高校生※3) | 夫婦+子1人(大学生※3) |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 15,000円 |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 29,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 44,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 66,000円 |
700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 83,000円 |
800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 116,000円 |
900万円 | 151,000円 | 141,000円 | 138,000円 |
1000万円 | 176,000円 | 166,000円 | 163,000円 |
※1 「共働き」は、ふるさと納税制度を利用される方の配偶者の給与収入が201万円以上で、配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。
※2 「夫婦」は、ふるさと納税制度を利用される方の配偶者に収入がなく、配偶者(特別)控除の適用を受けているケースを指します。
※3 「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
※4 中学生以下の子は控除額に影響がないため、計算に入れる必要はありません。
詳しくは 総務省ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ」 でご確認ください。
2. 自分の選んだ自治体へふるさと納税(寄附)をすることができる
ふるさと納税は、自分の生まれ育った「ふるさと」であるかは関係なく、自分の選んだ自治体に寄附することができます。
進学や就職を機に上京された方は、自分の生まれ育った「ふるさと」への寄附がおすすめです。
最近では、被災地への支援としてふるさと納税制度を利用される方も増えています。
3. ふるさと納税(寄附)の使い道を決めることができる
寄附金はほとんどの自治体で「子育て支援」「健康・福祉」「環境保全」「観光復興」などの使い道が設定されています。
一部対象外の自治体もありますが、寄附金の使い道は寄附者自身が選ぶことができます。
ふるさと納税制度により、自治体は寄附者に地域の魅力を発信することができ、寄附者は自治体の発展や問題解決に貢献することができます。
4. ふるさと納税(寄附)をした自治体からお礼の品をもらうことができる
多くの自治体では、ふるさと納税制度を利用して寄附された方への感謝の気持ちとして「返礼品」が用意されています。
ふるさと納税の返礼品は、お米・お肉・お魚をはじめ、その自治体の特産品・工芸品など、さまざまな品がそろっています。
おせち料理などをふるさと納税の返礼品として用意する自治体も増えていますので、お正月の準備を兼ねて、ふるさと納税制度を利用されてみるのはいかがでしょうか?
(3)ふるさと納税の手続き方法
ふるさと納税の手続き方法として、いずれかを利用しなければなりません。
- 確定申告
- ふるさと納税ワンストップ特例制度
ふるさと納税(寄附)をされただけでは、税金の控除を受けることはできませんので、忘れずに行いましょう。
1. 確定申告
確定申告で寄附金控除を受けるためには、原則としてふるさと納税(寄附)された翌年の2月15日頃から3月15日頃までに手続きを行う必要があります。
確定申告をする場合、ふるさと納税(寄附)をされた自治体が発行する寄附金受領証明書などの書類が必要ですので、破棄しないようご注意ください。
税金からの控除金額は変わりませんが、確定申告よりも簡易的な手続きをご希望の場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の利用をおすすめします。
2. ふるさと納税ワンストップ特例制度
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税(寄附)される方が寄附した自治体への申請を行い、その自治体がふるさと納税(寄附)された方の住所地の市町村へ控除申請を代行することで、寄附金控除を受けることができる制度です。
寄附した自治体への申請といってもふるさと納税ワンストップ特例制度の申請書に必要事項を記入し、必要書類と合わせて寄附した自治体に郵送するだけです。
特に難しい手続きはありませんので、ご安心ください。
※自治体によっては郵送での受付を行っていない場合もありますので、ふるさと納税(寄附)された自治体へご確認ください。
<ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用するための要件>
①確定申告をする必要がないこと
次の方はふるさと納税ワンストップ特例制度の利用はできません。
・ 自営業の方
・ 給与の年間収入金額が2,000万円を超える方
・ 株式、為替などの所得を確定申告される方
・ 医療費控除などの控除を確定申告される方
・ 住宅ローン控除を受ける方 ・・・など
②1年間のふるさと納税先(寄附先)が5自治体以内であること
同じ自治体に複数回ふるさと納税(寄附)された場合は、1自治体となります。
6自治体以上にふるさと納税(寄附)された場合、ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請は無効となりますので、十分ご注意ください。
③ふるさと納税(寄附)を行った翌年1月10日までに申請すること
ふるさと納税(寄附)されただけでは、個人住民税の控除を受けることができません。
また、ふるさと納税(寄附)を行った翌年1月10日までにふるさと納税ワンストップ特例制度の申請をさせれた方でも、その後、確定申告された場合、ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請は無効となりますので、十分ご注意ください。
<ふるさと納税ワンストップ特例制度の必要書類>
①寄附金税額控除に係る申告特例申請書
寄附金税額控除に係る申告特例申請書は、総務省のホームページからダウンロードすることができます。
ふるさと納税した自治体から郵送される場合もありますので、事前に確認されることをおすすめします。
寄附金税額控除に係る申告特例申請書に記入する内容は、住所、氏名、住所、マイナンバー(個人番号)などです。
②マイナンバー(個人番号)に関する本人確認資料
【マイナンバーカード(個人番号カード)をお持ちの場合】
マイナンバー(個人番号)と本人確認のため、マイナンバーカード(個人番号カード)の写し
【マイナンバーカード(個人番号カード)をお持ちでない場合】
(1)マイナンバー(個人番号)確認のための資料
通知カードの写し、または住民票の写し※個人番号(マイナンバー)の記載あり
(2)本人確認のための資料 (①または②)
① 写真表示があり、氏名、生年月日、または住所の記載があるもの(いずれか2点)
- 運転免許証の写し
- パスポートの写し ・・・など
② 写真表示がなく、氏名、生年月日、または住所の記載があるもの(いずれか2点)
- 健康保険証の写し
- 年金手帳の写し
- 児童扶養手当証書の写し ・・・など
(4)ふるさと納税のポータルサイト おすすめ10選
ふるさと納税の対象期間は1月1日~12月31日で、ふるさと納税の窓口となっている民間各社のポータルサイトなどを通じて、いつでも申し込みすることができます。
・ 「ふるなび」
・ 「さとふる」
・ 「ふるぽ」
・ 「ふるり」
※この他にも自治体が運営されているふるさと納税のポータルサイトなどがあります。
※ふるさと納税のポータルサイトを装った偽サイトには、十分ご注意ください。
最後に
「ふるさと納税」は、自分で税金の使い道を決められる制度です。
生まれ育ったふるさとや思い入れのある自治体への貢献、被災地への支援をすることができて、返礼品をもらうこともできる、とても魅力的な制度だと思いませんか?
返礼品をもらうなんて…
という方もいらっしゃいますが、ふるさと納税の返礼品の多くはその自治体の特産品、工芸品など地域の活性化に繋がるものですので、遠慮する必要はないと思います。
※返礼品を受け取らずにふるさと納税制度を利用することもできます。
また、ふるさと納税の返礼品をめぐっては、2018年9月11日に野田聖子総務相が法規制の方針を示されたことにより、ふるさと納税の窓口となっている民間各社のポータルサイトでは駆け込み需要も起きています。
ふるさと納税の返礼品の見直しや廃止を決定する自治体もあり、今後の動向には目が離せません。
次回はふるさと納税のポータルサイトのひとつで、ふるさとチョイスが主催するふるさと納税のイベント「第4回ふるさとチョイス大感謝祭2018」について、ご紹介します。
家族で楽しく得する!?ふるさと納税イベント~第4回ふるさとチョイス大感謝祭2018~