光る石があった。

手が届きそうだったので少し背伸びをして取ってみた。
そうして得た美しい石をうっとりと眺めていた。

しばらくすると周りに人が溢れていた。
彼らは皆、同じ光る石を持っていた。
当然のことだとわかってはいたが、あまり面白くなかった。

一人、その石を必死に磨いている少年がいた。
彼を見て内心嘲った。

『ああ、此奴はこれ以外の生き方を知らないのだ』

と。

しかし、その少年の瞳はあまりに穢れがなかった。
だから、その場から逃げるように去ってしまった。


酒を吸い妄言を吐くだけになった私の横に光る石はまだ転がっている。
その輝きが眩しすぎて今日もまた上手く眠れないのだ。



(始め、東大のマゾヒズムについて書いていたが公序良俗に反しそうなのでやめた)