【孤独をテーマに話したら】

小倉でのシンポジウムに参加して、「孤独」問題についてお話ししました。
今回は、場の空気も知りたかったので、ノープラン、ノースライドで会場入り。こんなことをお話しさせていただきました。
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「孤独」って本来は内面の問題。「孤立」という概念を使うこともある。そもそもの良し悪しは別として、「望まない」孤独はなくしたい。いろんな問題の根源にこれがある。
でも、リウマチを患いながら父を失くした母が頑なに同居や外出を拒んだのは、「人に囲まれるほど、孤独は深まるのよ。」という理由から。確かに、三木清は「孤独は山の中にはない。孤独は街中にある。」と言った。
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「望まない孤独」と社会が闘うには。例えば3つのことがある。
①「すべてを受け容れる」こと。
ワンストップであること。英国のGP(家庭医)の友人は、「問題は医者が決めるのではない。問題かどうかを決めるのは患者です。」と言った。医学的か非医学的かにかかわらず、まず、すべてを受け容れる仕組み。そして、非医学的な内容で自分が対処できないなら、地域のリンクワーカーにつなぎ、適切な社会資源と結びつける。必要なサポートは、フォーマルかインフォーマルか、医学か非医学かを選ばない。組み合わせる。
英国は、世界で初めて「孤独担当大臣」を設置し、社会的・経済的問題と定義した。
「孤独」で年間320億ポンド(約4.9兆円)の損失。イギリスでは、900万人以上の人々が常に、もしくはしばしば「孤独」を感じており、その3分の2が「生きづらさ」を訴えている。月に1度も友人や家族と会話をしないという高齢者(65万人)の人口は20万人にのぼった。週に1度では36万人になる。子どもを持つ親たちの4分の1が常に、もしくは、しばしば「孤独」を感じている。
定量的データをもとに”社会として”闘う。日本にも「くらしの保健室」など魅力的な取り組みはあるが、アジェンダ・セッティングの上手な英国の例は示唆に富む。
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②まちのDIYだ。
自分たちでやる。手を加える。レストランの美味しい料理より、BBQで自分たちが参加して作った料理の方がおいしいことがある。「自分ごと」にできるからだ。できあがりだけでなく、プロセス含めて、愛着がわくからだ。最近は住民普請(自普請)といって、道路の補修、草刈り、伐採などを住民が行う例が増えている。核家族(これも死語なくらい常態化)だからこそ、ちょっと声掛け、ちょっと連絡する「少しだけおせっかいなまちづくり」「拡大家族」をつくる実践を。世代間シェアハウス、「シェア金沢」のようなコミュニティづくりが大事になる。英国では、カフェやベンチに"Happy to chat"というポップを立てたら、「誰でもどうぞ話しかけて」というメッセージになる。きっかけづくりの工夫だ。
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③エイジテックの開発と活用。
孤独は若者にも多いが、テクノロジーの手助けもありえる。Amazon Alexaの呼びかけ機能で面会できない老母と孫をいつでも結べる。分身ロボットorihimeでは病気や障害などで在宅にいる方も就労したり、コミュニケーションが取れる。つながりプラスとか、いろんなサービスがある。テックの出番は多い。それに楽しさもある。
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ソーシャルキャピタルをどう形成するか。他者をいたわることで自分も救われる。自分が幸せになるには他者を幸せにする。仏教でいう「自利利他」は本当だ。
瀬戸内寂聴さんは「人間は本来孤独なもの。そこから逃れることはできない。でも、だから、他人を愛せるし、大切にできるのよ。」
この課題はいまや、社会と経済全体を左右する問題。議論し、実践していきたい。


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