【マンガと人情】

ある方からのご縁を得て、北九州漫画ミュージアムへ。
光栄にも、田中時彦館長にご案内いただいた。
田中館長、元新日鉄のビジネスマンで、今も、現役漫画家としての顔も持たれる。あったかな、ほっこりする「畑たいむ」君が行く『ぶらり街歩き』は人気だ。
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田中館長曰く、北九州は、全国で突出して漫画家の数が多い。100名以上を数え、純粋公設の漫画ミュージアムは全国唯一無二だ。
北九州は小説家も多く輩出しているが、“夢の舞台”として才能の発信場であった。
工業地帯として栄え、テレビ局新聞社などメディアも多く立地していた”地の厚み”がもたらしたものという。
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また、北九州は、「どこを見ても絵になる風景」が多いことも、漫画家たちのインスピレーションをかきたてたのではないか、と。
古い建物と新しきビルとのアンバランスさ。路地裏の面白さ。船や鉄道など交通の活気と風情。
それに、人情。
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「あえて人に言わない場所」「知られていない場所」が多いところにアーティストは集うそうだ。
確かに、イタリアの石畳の小径に、ロープに吊るされた洗濯物が見え、窓から女性が手を振ってくれるとき、
国が違っても、その生活感に、得も言われぬ郷愁を感じる。
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北九州にも、時代の流れはあれど、若松の白山、門司の清滝、八幡の木屋瀬などの路地裏に深い味。
“人の気配”が、“生活の匂い”が、アーティストでない私なんかでも、思わず、カメラを向けたくなる。
漫画家が描いたり、小説家が記したりするのも分かる気がする。
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日本は、いわずもがなの漫画大国。世界中に日本の漫画ファンがいる。漫画を通じて日本を知る外国人も多い。きっと、かつての清少納言や紫式部みたいな才能が、今は吾峠 呼世晴さんや柴門ふみさんに移ってきているのかも。
漫画の持つ、ひとつの台詞に、ひとつのシーンに、これだけの絵を書きこむ温度と技量には舌を巻く。
明らかに、日本のソフト・パワーだ。
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館内には、世界の漫画や、読み放題の漫画蔵書(ウン万冊)、原画の展示、四コマ漫画コンテスト(北九州国際漫画大賞)の受賞作品の展示などなど、見どころが数多。
ここが、1階にあったら(実際は5~6階)もっと周囲の空気を温めて、多くの訪問客の目に飛び込むだろうなと思ったりもする。
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例えば四コマ漫画を描くことっていうのは、観察力を必要とし、プロット(筋書)を考えさせられ、パンチラインのアイデアをひねらせ、そしてイラスト化する技も求める。
落語と小説と生物学と美術と、かなりの“総合藝術”だなとも感じる。
子どもが自分で作って見ることは、教育の良いアイテムにもなるのではないだろうか。
そんなことを考えさせていただいた。

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