どれだけバイキンマンが優勢に立とうとも、アンパンマンに逆転されて負けてしまうのは、物語上では絶対条件となっています。
彼がアンパンマンに勝てない理由は、
彼らの物語が、子供の教育のために設定されているから。
今回は、「ヴィランはヒーローに勝てるのか」について、手短に思考実験を行っていこうと思います。
◆勝てない理由と負けない方法
「悪役」である彼が、「ヒーロー」のアンパンマンに勝つことは決してない。
では、どうすれば彼がアンパンマンに勝つことができるでしょうか?
ここで重要なのは、「悪を成敗する」というシナリオは、教訓として揺るぎないものであること。
まず彼がすべきことは、彼自身がアンパンマンの庇護する他のキャラクターたちと同じように「良心を持った人物」としての地位を確立することです。
前提として、アンパンマンは悪意のないキャラクターに対して、攻撃を行うことはできません。
なぜなら子供の物語に、いじめを行うヒーローは存在しないから。
これで、アンパンマンの脅威を無害化することができます。いままで通りの力負けするような展開を阻止したわけです。
ここまでには、どうにか彼が負けないように、外堀を固めてきました。
さらなる問題は、「いかにしてヒーローに勝つか」です。
◆ヒーローに勝つ方法
次に彼が行うべきなのは、アンパンマンと同じく「ヒーロー活動をする」こと。
アンパンマンよりも「ヒーロー」としての素質があることを証明し、
シナリオでの「ヒーロー」の座を奪うのです。
ここでの障害はそこまでありません。不当にパンチを喰らうことはもうないし、不死身の存在に行動を邪魔されることもない。ただ人助けをすればいいんです。
その上、シナリオの「ヒーローを優遇する」性質が彼を後押ししてくれる。これまでの彼にはなかったバフ効果にあやかることで、彼は悪役時代の数百倍の力を発揮できるでしょう。
不死身でもない彼がかつて、シナリオを味方につけた不死身の存在――アンパンマンと同等の戦いを繰り広げてきたことからも分かるように、「ヒーロー」としてのバイキンマンはアンパンマンを凌駕する存在に十分なり得る能力を持っています。
アンパンマンよりも優秀な彼が、物語の主人公にならないはずがない。すぐにアンパンマンはサブキャラかそれ以下の配役になるはずです。
アンパンマンを「ヒーロー」役から引きずり下ろすことは、
すなわち物語の演者上の「勝利」となります。
これまで彼が「悪役」として目指してきた、「物語のシナリオのなかで勝つ」ことよりも「主役を奪う」という上位の勝利を掴むことで、彼――バイキンマンは真にアンパンマンに勝ったと言えるでしょう。
ー2023.11.07.思考実験おわり
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