依然として新型コロナウイルス蔓延の影響で対面でのイベント開催が難しく、今まで対面で行ってきたアイデアソンをオンラインで行っております。そのような活動の中で、改めて「(オンラインになっても失われない)アイデアソンの本質は何なのか」「何をもってアイデアソンをアイデアソンたらしめるのか」などについて考える機会となったので、この機会に考えてみたことを整理しながらお伝えしたいと思います。
アイデアソンについて全く知らない方にも、すでに知っている方にも新たな魅力をお伝えできればと思っております。
アイデアソンの辞書的な意味:アイデアソン=アイデア+マラソン
まずアイデアソンの辞書的な意味を見ていきましょう。
アイデアソンとは、同じテーマについて皆で集中的にアイデアを出し合うことにより、新たな発想を創出しようとする取り組みのこと、および、そうした取り組みを主とするイベントのことである。(IT用語辞典バイナリ)
端的でわかりやすいですね〜。
歴史をみていくと、元々はハッカソンの前段階として生まれたもののようです。ちなみにハッカソンとは
ハッカソンとは、同じテーマに興味を持った開発者が集まり、協議・協力しながら集中的にコーディングを行う催しである。(IT用語辞典バイナリ)
そう、元々はまるで「マラソン」のように、与えられた時間の中でプログラミングに没頭し、アイデアや成果を競い合う開発イベント=ハッカソンの「アイデア出し」の部分だったのです。それが近年ではアイデアソン単独で開催されるようになり、ハッカソンより参加の敷居が低いイベントとして確立されました。
さて、ここで「マラソン」というキーワードが出てきました。もうおわかりかと思いますが、「アイデアソン」という言葉は「アイデア」と「マラソン」をかけ合わせたもので、つまり「決まった時間で集中的にアイデア創出をするイベント」だと言えるでしょう(ちなみに「ハッカソン」はハッカーなどでも馴染みのある「ハック (hack)」と「マラソン」をかけ合わせた言葉です)。
ある日、友人と、居酒屋で。アイデアはいつだって突然に。
ところで全然関係ないですが、僕には友人がいます。その友人とはよく一緒にご飯に行き、過去のことから将来のこと、自分の専門についてや恋バナなど、本当に様々なことについてお互いに話します。ある日、ひょんな話の流れでアイデアソンについて説明をしました。
その時僕はこう思ったのです
「友人とのこんな雑談もアイデアソンに似てるな」同時に友人は聞いてきました
「アイデアソンって新規事業立案に似てるのかな」この2つのキーワード「雑談」「新規事業立案」に沿って、アイデアソンについて改めて考えていきましょう
アイデアソンは雑談なのか。
僕がアイデアソンと雑談が似てると思ったのには理由があります。
辞書的な意味の中でわかったとおり、アイデアソンとは要は「あるテーマに対してアイデアを出すイベント」だと言えますが、日々誰もがアイデア出しはやっているものです。小学生の頃、掃除当番みんなで「効率的に掃除を終わらせるにはどうしたら良いだろう」なんて考えてましたし、「いかにバレずに授業をサボるか」という画期的なアイデアを探し続けていました。大人になってからも斬新なアイデアに基づくサービスはお金に繋がりますし、些細な問題もちょっとしたアイデアで解決してQOLは向上するものです。
そしてそんな日常的な問題を友人との会話の中で面白おかしく解決しようとするのが雑談です。同僚との会話の中で会社での取り組みのきっかけに気づくこともあるかもしれません。アイデアソンもチームでアイデア出しをするという意味で似ていると思ったのです。
ではアイデアソンと雑談の違いは何でしょうか。
僕はズバリ「明確なテーマがあるかどうか」だと思っています。雑談は特に何かについて話したいわけではなく、制限なく幅広くいろんな話をします。その点はアイデアソンも一緒です。例えば、第5回わっかそんのテーマは「新しいボドゲを考えよう」でしたが、まずゲームの対象となる層を考え、それが例えば中高生なら、ゲームの設定は学校が良いのか、とか。学校と言っても色々あります。男子校や女子校だけでなく、進学校や専門学校、などなど。そんな中で参加者同士で自分の学校行事の流れについて話すこともあるだろうし、自分が受けた中で面白かった授業や自分が所属していた部活について話す人もいるでしょう。しかし、こんな話をしながらも全員の頭の中心には「新しいボドゲを考えよう」という意識があるのです。いろんな派生的な話をしながら、それをどうやってアイデアに落とし込んでいくのかを考え続けているのです。「幅広くいろんな話をしながら根本では一つのことを考え続けること」これがアイデアソンであり、雑談との違いです。
アイデアソンは新規事業立案なのか。
では次に友人の率直な感想である、新規事業立案について考えてみましょう。
新規事業立案というのは、その名の通り「企業が注力すべき新規事業を発案、計画すること」です。擬似的に就活等に取り入れられることもあるそうで、友人は就活で経験していたからこその発言でした。
仕事や就活の文脈での新規事業立案は今の僕にはわかりませんが、話を聞く限り確かに似ているなと思います。如何に企業の抱える・掲げる問題に対応したアイデアを出すか。如何に実用的なアイデアを出すか。如何にアイデアを斬新で印象に残るようにするか。如何にクリアにアイデアをまとめ、発表するか。目標・テーマに対してアイデアを出す、というのはアイデアソンと共通する部分かもしれません。
しかしやはりアイデアソンと新規事業立案も違います。
これはわかりやすく「会社や立場が関係あるか否か」であると思っています。ざっくり言ってしまえばアイデアソンに責任はついてきません。ただアイデアを出し、話し合いながらそのアイデアを洗練させ、まとめ、発表する。中高生から社会人までそこに差はありませんし、誰が出したアイデアなのかも関係ありません。あるのは出てきたアイデアと人だけです。そういうフラットな環境の中で話し合いが進んでいくのです。この意味でアイデアソンはとても気楽であり、気軽に参加できるものなのです。
新規事業立案との兼ね合いでさらに言うなら、先ほども言ったように、新規事業立案とアイデアソンとでその内容は似ています。つまり、やるべきことや必要なスキルはほぼ同じなのです。アイデアソンに参加することは、新規事業立案を始めとする様々なアイデア・議論が必要な場面において必要な力をつけることにつながるのです。練習舞台・場数という意味を持つことが新規事業立案との大きな違いだと思います。
まとめ:アイデアソンとは
つまり!アイデアソンは雑談であり、新規事業立案なのです。そして、そのどちらでもないのです。これこそが、このアイデアソンの持つ振れ幅こそが、何よりもアイデアソンの最たる魅力であり、アイデアソンをアイデアソンたらしめていると私は思うのです。
要するに、アイデアソンとはその「雑談ぽさ」からわかるように、とても敷居は低く、気軽に考え始められる、議論を始められる、いわばコミュニケーションの場です。そしてその一方で、「新規事業立案ぽさ」からくる、議論で必要なスキルやアイデアを出す発想力、目標に向かって進んでいく力を養える場であり、場数を増やすことにもなります。価値にこれだけの幅があるということがアイデアソンの一番の価値であり、魅力なんだと私は思います。
さて、今回はアイデアソンの魅力について語ってきましたけれども、改めてアイデアソンについて、一から考え言語化してまとめてみると、無意識に感じていたものにも気づけて面白いものだな、というのが率直な私の感想です。なるべくわかりやすく伝えようと思って書いてみましたので、アイデアソンの魅力が少しでも皆さんに伝わっていたらうれしいです。