特に最近、新型コロナウイルス感染症の蔓延で様々なものの「オンライン化」が進んでいますよね。私たちが運営しているアイデアソンイベントはもちろん、就職活動も対面式で行うことが困難となり、企業側が選考の手段として学生に課しているグループワークもオンラインで行われるようになりました。こうしたこと以外にもオンライン授業やテレワークの導入などリモートで作業をする機会が飛躍的に増え、みなさんの多くはこうした「オンライン化」の流れを感じたのではないかと思います。
「オンライン化」したことで通勤・通学の必要性が減り、時間をより有意義に使うことができるようになったという方もいると思います。その一方で、オンラインのグループワークに関しては普段よりも円滑に進まず、「話が行き詰まってしまったことで沈黙の時間が多く生まれ、ちょっとしんどいな」と感じてしまう場面が多くなったのではないでしょうか。
そこで、今回の記事ではそうした話の行き詰まりをどのようにして減らしていくかということに焦点を当てて、私自身がアイデア出しにおいて必要不可欠だと思うポイントを簡単にお伝えしていきたいと思います!ぜひ最後までお読みください!!
なぜ「アイデア出し」は難しいのか
突然ですが、みなさんに以下の問いに対する自分なりの答えを考えてもらいたいと思います。
「50年後の新聞の姿を考えてみよう」
時間がある方は一旦ここでこの記事を読むのをやめて想像を膨らませてみてください。どうでしょうか。すぐに思い付いた方がいれば、今すぐにでも新聞社にその壮大なアイデアを売り込みに行った方がいいかもしれません(笑)逆に何も浮かばなかったという方もいると思います。その方には特にこの先読み進めてもらえればなと思います
なぜこの問いは答えるのが難しいのでしょうか。
その一つは模範解答が存在しないことにあると思います。たとえば「日本で一番面積が広い都道府県はどこですか?」という問いに対してはすぐに「北海道!!」と自信を持って答えることができますよね。もし不安になっても日本地図を手にさえすれば、もしくはアプリや検索エンジンで調べさえすればその答えが正しいことをすぐに確認することができます。しかし、「50年後の新聞の姿を考えてみよう」と言われてもそれに対する解答は見当たらないでしょう。それらしきものを見つけたとしてもそれは客観的な事実ではなくて、推測の域を出るものではないでしょう。つまり、新しく自分なりに答え(それが50年後に正しくなかったと分かっても...)を作らなくてはならないのです。
二つ目に挙げられるのはこの問いは複雑なもので一筋縄に答えを作ることができないということです。問いに前提条件がほとんどなく、考えのきっかけとなるヒントがないのです。ある意味では、最近流行している真っ白なジグソーパズルを解くようなそんな感覚に襲われるのかもしれません(笑)しかし、グループワークの場などで途方も無い時間を一人でずっと考え込むことなんてできませんよね。そこで、次の章ではこの複雑な問いに対してどのような工夫を行えば考えるのが楽になるのかということを記していきたいと思います。
問いを細かく設定する
送別会を企画してと言われたら?
複雑な問いに答えなくてはならない時にみなさんはどのようにしますか?少し大袈裟な例ですが、次の場面を思い描いてみて下さい。ある大学生Aさんが急に友達のBさんから「アメリカに留学するCさんの送別会を企画してちょ(^○^)」と言われたとしましょう。Aさんは「急に言われても」と言いながらもBさんの押しに負けて引き受けてしまいました...
このとき、みなさんがAさんであれば、どのように考えて企画しますか?おそらくまず考えるのが「何日の何時から何時までの会にしたらいいのか?」ということでしょう。これをBさんや呼びたい人の日程を聞いた上で決めると、次に考えるのは「その会で何をするか?」です。レストランに行って駄弁るのがいいのか、それとも遊園地に行って楽しい思い出を作るのがいいのか、はたまたCさんの大好きなカラオケで喉が枯れるまでみんなで熱唱した方がいいのかなどなど。「誰を呼ぶべきなのか?」「場所はどこを想定した方がいいのか?」「プレゼントを送るならば何が良いのか?」といったことも考えなくてはなりませんよね。送別会を1から企画するとなると、こんなにも多くの問いに答えないといけないのです(>_<)
ディスカッションの場面
実は先ほどの「50年後の新聞の姿を考えよう」という問いに対しても同じことが言えます。つまり、細かい問いを立てて、それに答えていくという作業が必要なのです。ではこの作業の過程を具体的に見ていきたいと思います。
問いをどのように細分化するか?
先ほどの送別会の例では時間的な制約や内容に関する疑問文を作って、問いの細分化を始めてみましたが、「50年後の新聞の姿を考えよう」という問いに対してはどのように手をつければよいでしょうか。私がこうした際に意識することは問いのキーワードを見つけ、そのキーワードを中心に疑問文を作るということです。この例では「50年後」と「新聞の姿」という言葉に私は目を付けます。その上でそれぞれに対してグループ全員が答えやすいような簡単な疑問文を作り出すのです。出てきた答えの中で鍵となるような言葉があれば、また再度それに関する疑問文を作っていきます。この作業を繰り返していくと、話が広がりやすくなり、多くのアイデアを拾うことができるのです。
実演タイム
私が考える立場だとしたらまず「50年後の世界ってどんな感じだろう?」という問いを設定します。この問いに対してはIT技術が今よりも発展しているだろう、グローバル化が加速して日本で生活する外国人の数が増加しているかもしれないといった無難そうな回答とともにその頃には火星への移住が可能になり、宇宙規模で人々の交流が盛んに行われているのではないかという回答もできてしまいます。グループワークだと特に回答に多様性が出やすく、魅力的でもっと聞いてみたいような回答にも多く出会えると思います。もし宇宙規模の人々の交流が盛んになるという回答がグループ内で盛り上がるきっかけとなれば、それが「どのように人々の生活に変化をもたらすのだろうか?」「火星に住む人たちが欲する情報って何だろうか?」などなどさらに細かい問いを立てて、議論をしていくことができますよね。
一方で、「新聞の姿」という部分に関しても似たような手法を使うことでアイデア出しを活発に行うことができます。たとえば、「なぜ人々は新聞を取るのだろうか?」といった問いを設定してみましょう。これに対して私であれば、新聞は記事の内容が濃く、世の中のことを詳しく知るために必要だと思われているから、ふとした時に見返すことができるからなどといったことを考えます。続いて「逆に新聞を取っていない人たちはなぜ取らないのだろうか?」を設定してみるのも良いでしょう。その回答の一つとしてかさばるからというのが出てくれば、「新聞って紙でなければいけないのだろうか?」というように徐々に問いを発展させていくこともできます。このような問いを繰り返し立てていくことで、その後も50年後にも新聞という媒体が重宝されているためには何が必要なのかということを知ることができます。問いを細分化していくと、グループのメンバーが回答しやすくなるとともに自分たちが大きな問いに答える上で必要な要素が徐々に見えてくるのです。
最後に
ここまで難しい問いに対する攻略法を紹介してきました。でも実際には送別会の例に見られるように、問いの細分化という作業は無意識の間にみなさんが日常的にしていることであり、別に特別なことではありません。ただ、時間の制約などによってすぐに答えを出さなきゃという焦りが生まれるとその作業をできなくしてしまうのです。是非グループワークなどで仲間たちが問題を直視しすぎるあまり、混乱してしまった時には「もう少し簡単な問いを設定してみて、そこから糸口を掴もうよ!」と言ってみてもらえたらと思います!!