鎌倉✖︎わっかそん

本記事では2020年の8/16(日)に開催された「鎌倉×わっかそん」のご報告をさせていただきます!

それでは、早速ですが、本題へ!

 
イベントの概要

今回の内容は、鎌倉学園ESS部のみなさんが企画されている「オンラインツアー*4」に、社会人の視点を取り入れてより良いものにしていこうというものでした。鎌倉学園ESS部では、例年鎌倉を訪れる外国人観光客の方に対して、英語で観光地をガイドする取り組みをされています。しかし、コロナ禍の影響で、今年はZoomを用いたオンランツアーの準備が進められています。具体的には、生徒さんが自ら鎌倉の観光地に赴き、ゲストの方と対話をしながらその場所の魅力を伝えるというものです。

「鎌倉×わっかそん」が開催される少し前に、私もツアーのリハーサルに参加させていただきました。中高生とは思えないほど丁寧なガイドが企画されていました。

一方で、「オンラインのツアーであること」が障害になっている部分もいくつか見受けられました。最も大きなものは「臨場感の不足」です。カメラワークや音声のやり取りのラグ、オンライン特有の説明と質疑応答のリズムの単調さなどにより、「観光地を訪れているときのワクワク感」が減衰してしまっているように思いました。

しかし、本当は「オンラインで、しかもLIVEで行うツアー」だからこその良さを出していくことができるはずです。中高生である彼らが観光地の「現地」に赴き、そこで様々な企画を展開し、さらにはゲストと相互にやり取りできる状況は、「YouTubeに上がっている観光地の綺麗な動画」などとは明確に差別化ができます。

そこで、共催してくださったかまくら英訳観光協会(KETA*5)の皆さんや、ESS部の顧問の先生と協議をした結果、

臨場感あふれるオンラインツーリズム

というテーマでイベントを開催することとなりました。

なお今回の「鎌倉×わっかそん」はコロナ禍の現状を踏まえてオンラインで開催しました。中高生2-3人のグループに社会人の方(と、班によっては運営メンター)を加えたメンバーで話し合いを行いました。ビデオ通話特有の疲労を考慮に入れた結果、今回のイベントも3時間30分という時間設定で行いました。(実際には少し延長をしてしまいました。次回以降はタイムスケジュールをうまく調整できるようにいたします。)

イデアソンの内容

本編のアイデアソンの時間。まず中高生から社会人の方に、自分たちのオンラインツアーの概況を共有してもらいました。その後、テーマである「臨場感あふれるオンラインツーリズム」に沿って、「オンラインのLIVE配信ならではの良さはなにか」「旅行での臨場感はどのように生まれるのか」「現状のオンラインツアーが抱える課題はなにか」などといった問いから議論を進めてもらいました。

私がメンターをしていた班での様子を紹介します。

オンラインのLIVE配信ならではの良さについては、「ゲストとの相互交流ができる」「家にいながらにして観光ができる」「旅費がかからない」「見所を整理して伝えることができる」などの意見が挙がりました。

また旅行での臨場感については、「小さく見えていた大仏が近づくにつれ大きくなっていくとき」「気になるお土産屋さんを選んだり、実際の品物を物色したりしているとき」「人力車に乗って視点が高くなったとき」などに感じられるという話になりました。

そして現状の課題については、「ゲストが実際に体験できる内容が欠けている」「名所を巡る際、その中での移動時間が間延びしている」「ゲストが買い物できない」「五感と結びついた感動が欠けている」などが挙がりました。

これらを踏まえて自由にブレストを進めるなかで、「夜の人がいなくなった鎌倉など”通”な鎌倉をPRしたい」「観光客の消費を増やすことを考えると、コロナ禍が終わった後実際に鎌倉に来てもらうことを目標にしたい」「生で見に来てくれたときに気づきにつながるような、豆知識を提供してはどうか」などと話が膨らんでいきました。

最終的にはこれらを総合して、「参加したあとに実際に訪れたくなるツアー」としてプレゼンを行うこととなりました。具体的な内容としては、

  • お土産屋さんに入って地元の名産品について語ってもらうが、その場であえて購入できないようにすることで、実際に来たときに立ち寄ってもらえるようにする
  • 生で見て気づいてほしいポイントをたくさん伝える(鎌倉大仏の背中の扉など)
  • 人力車の目線映像など、臨場感のあるカメラワークを採用する
  • 夜の鎌倉など、東京に泊まることの多い観光客が見過ごしてしまいがちな情景を見せる

などを盛り込みました。

プレゼン紹介

今回は7チームを2グループに分けて予選を行い、勝ち残った2チームで決勝を行いました。
本記事ではその2チームのプレゼン発表を紹介していきたいと思います!

「ذكرى(ジクラ)」

このチームが提案したのは、「鎌倉散策の醍醐味を味わってもらうオンラインツアー」です。具体的な内容としては、

  • ゲストに対して小町通りのお土産さんを紹介し、ゲストの希望する食品や雑貨を代わりに購入・送付する
  • お店と連携し、お土産の製造過程を写真や動画を介して公開する
  • カメラを取り付けた自転車で海岸線を走ることで、ツアー中いつでも鎌倉の海の魅力を知ってもらえるようにする

など、当初課題となっていた旅のワクワク感の再現を可能にするとともに、ツアー間の時間を充実させることにも寄与するアイデアがたくさん含まれていました。この班の特徴としては中高生ならではの枠に囚われない思考が色濃く反映されていたことが挙げられます。とりわけ、お土産の購入方法として口座振込の他に物々交換(ゲストの住むエリアの特産品で、購入した鎌倉のお土産と同等の価値があるものを代わりに送ってもらう)が挙げられていたことはその象徴でした。物々交換を行うことでゲストとの相互理解が深まれば、「観光」にまた新たな価値が生まれるかもしれませんね!

「コーララムネ」

このチームが提案したのは、「鎌倉で働く人たちと共に作る体験型オンラインツアー」です。具体的な内容としては、

  • お寺の住職さんや、和菓子店の方などに歴史などを語ってもらい、それを同時に通訳して伝える
  • 座禅のオンライン体験を行う
  • 抹茶のキットを送り、報告寺の景色を画面で見ながら飲んでもらう
  • けんちん汁を一緒に作る

など、様々な体験を楽しむ内容が盛り込まれていました。オンラインの弱点である臨場感の不足を「体験」というかたちで補おうとした案でした。特にお寺の住職さんに話を聞くというアイデアは、中高生という営利目的を持っていない立場だからこそ、実現しやすいものであったと思います。


予選での発表スライドの一部です。この班のプレゼンではゲスト同士にもつながりが生まれるようなツアーが提案されていました。

審査結果発表

今回は、

  • イデアが斬新であるか
  • イデアの実現性が妥当か
  • オンラインならではの要素があるか
  • ゲストに新しい発見の機会を提供できているか

の4つの基準で審査を行いました。
また審査員として、鎌倉市市長長の松尾崇さまや、株式会社KNOT WORLD取締役の河野有さま、そしてKETAのみなさまをお招きし、厳正に選考を行いました。


ドキドキワクワクの結果発表、、優勝は、、、


チーム「コーララムネ」!!


決め手は鎌倉学園の生徒であることを活かして、ゲストに発見をもたらすことができる」ことだったようです。

どのチームもそれぞれ良さがあるアイデアでしたし、さらに審査員の方から各チームにコメントをいただいたことで、新しい視点や学びが得られたのではないかと思います。また個人的には、審査基準にはうまくハマっていなかったものの、「もし実現したら、、」とワクワクするアイデアと出会うこともできました。

今回のアイデアを踏まえて、ESS部の生徒さんたち自身で、実際のオンラインツアーに取り込んでいくべき要素を検討してくれるとお聞きしています。生まれ変わったオンラインツアーが一体どうなるのか、わっかそん一同心から楽しみにしています。

最後に

このイベントを開催するにあたって、KETAのみなさまやESS部の顧問の先生をはじめ、たくさんの方にご協力いただきました。改めましてお礼を申し上げます。ESS部のみなさんはもちろんですが、関わってくださった全ての方にとって、「鎌倉×わっかそん」が何か変化を生むきっかけになっていれば幸いです。

それではまた次のイベントでお会いしましょう!