理系に進もうと思ったキッカケ~3冊だけ紹介します~

私はいま「理系学生団体RikeJoy」で活動しています。

全国の理系学生で構成された、私たちRikeJoyの活動理念は「理系をとことん楽しむ!」というもの。

理系の学部に進学してから、授業や実験、レポート作成などに楽しく取り組めていた私にとっては、周りの友人たちがそれらの活動を楽しめていない様子は違和感のあるものでした。そんな私にとってRikeJoyの活動理念は非常に共感できるものでした。

現在は、RikeJoy主催のイベント紹介記事を書いたり、RikeJoyメンバーへのインタビューを行なって外部に発信する活動をしています。

さて、前置きが長くなってしまったのですが、今回は私が理系に進むきっかけになった本について紹介したいと思います。もちろん私が理系進学を決めた要因を100%、本の影響に帰することはできないと思います。

しかし「本との出会い」という切り口で、私自身が「理系」のどんな部分に魅力を感じたのかを振り返ることは、RikeJoyの一員として理系の楽しさを発信するために重要なことに思われます。

そこでこの記事では、理系進学を決めるきっかけになった3紹介したいと思います!

目次
①『海底二万マイル』 ~世界の海をめぐる冒険
②『ソロモンの指環』 ~生態系の精巧さに感激~

『動物のお医者さん』 ~大学って楽しいところ~
振り返ってみて

①『海底二万マイル』 ~世界の海をめぐる冒険~
言わずと知れたSFの名作。パリ博物館の教授アロナクスとその使用人コンセーユ、銛の名手ネッド・ランド、そして謎に包まれたネモ艦長の冒険を描いた作品です(ディズニーシーのアトラクションを通じて、この作品を知っている方も多いのではないでしょうか)。

この作品の魅力の一つは、作中に登場する高性能潜水艦「ノーチラス号」です。ノーチラス号は流線形のボディをした潜水艦で当時、最新鋭と言われた船舶よりもはるかに高速で航行することができ、硬い船首で他の船の底を突き破ったり厚い氷板を突き割ることができます。

クルーが生活するために必要不可欠な設備(寝室や食堂、調理場、ボイラーなど)はもちろん、図書館やピアノまで備え付けられているから驚きです。

私がこの本を初めて読んだのは小学3年生頃だったかと思います。科学技術を駆使すれば、海底火山や大きな真珠貝、海底に潜む巨大生物など、素晴らしい世界を見ることができるのだ、と感激したと記憶しています。

『ソロモンの指環』 ~生態系の精巧さに感激~
この本は「カモの刷り込み」を発見したことで有名な動物行動学者のコンラート・ローレンツ博士のエッセイです。

この本を渡されたのは、中学2年生の職業体験で近所の動物病院に行かせてもらったとき。院長先生から「体験期間中に是非読んでみてね」と言われて読みました。私が特に衝撃を受けたのは第2章「被害をあたえぬもの アクアリウム」でした。

そこで紹介されていたのは、ろ過装置やエアポンプを使わないアクアリウムでした(あとで知ったのですが、そのような水槽のことを著者の名前にちなんで「ローレンツ・アクアリウム」と呼ぶ人もいるそうです)。

当時からアクアリウムには興味があって、自宅の水槽で魚を飼育していたりしたのですが、水が汚くならないようにろ過装置を回したり、生体が酸欠にならないようにエアポンプを使うのは当たり前、という認識でした。

それだけに、この本が薦める楽しみ方は斬新かつ新鮮なものでした。もちろんローレンツ博士はなんの理由も無しに、このスタイルを薦めているわけではありません。

ローレンツ博士が説くのは、水槽という閉じた空間で起こる自然そのものの営み、つまり水草が太陽の光を受けて酸素を産生する、微生物や魚たちは酸素を消費して炭酸ガスを排出する、そして水草が再び光合成する…、というエネルギーの流れと物質循環に手を付けずアクアリウムを自活させるべきだ、ということです。また人間が余計なこと(生体を入れすぎる、水替えをしすぎる等)さえしなければ、アクアリウムの中の小さな生態系は維持されていくということも。

この本を読んだ私は、人間が手を加えずとも個体数や資源の増減を繰り返して安定な状態を保っている「地球という大きなアクアリウム」の神秘さを感じざるを得ませんでした。

『動物のお医者さん』 ~大学って楽しいところ~
最後は小説でもエッセイでもなく漫画です。

舞台は日本の北に位置するH大学。獣医学部に入学した西根公輝(通称・ハムテル)と二階堂が獣医師を目指して奮闘するストーリーです。

「H大学」のモチーフは北海道大学で、この作品がヒットしてから北海道大学獣医学部の志願者数が増加した、という話を聞いたことがあります。

作者の佐々木倫子さんは非常に丁寧な取材に定評があり、この作品でもその点が遺憾なく発揮されていると思います。登場人物は、H大学獣医学部の学生、教授、研究室の先輩、そして沢山の動物たちなのですが、その日常が細かいところまで描かれていて「リアル感」がすごいです。

当時の私は中学生。大学の生活など知るはずもないのですが、この本を読みながら「理系学生ってこんな感じなんだ!」と、きたるキャンパスライフに胸を膨らませていました。

私が今通っている学部は獣医学部ではないし、大学も自然とはかけ離れた都会にあります。しかしもしかすると、この漫画を読んでいたから「大学って楽しいところ」という考えをもって大学生活を過ごせているのかも…、と思ったりしています。

振り返ってみて
自分が理系を選ぶきっかけとなった(と思われる)本について振り返ってみました。どの本も最後に読んでから何年も経過していたのですが、やはり何度も繰り返し読んだからなのか、本の内容や面白いと感じたこと、感激したことを結構思い出すことができました。

この記事で紹介した作品のような素晴らしい作品を作るには、今の自分では力不足を認めるしかありません。しかしRikeJoyが主催するイベントやメンバーの記事を読んで「理系楽しいかも!」と思ってくれる方がいれば幸いです。

お付き合いいただきありがとうございました!

Zuzu
2020.09.28

海底二万里、私も小学生の時に読んで超ハマってました!憧れますよね〜