バットマン作品として読み解く「JOKER」

ダークナイトIMAX/4D再上映記念!!と言う事で今日は僕が大好きな映画「JOKER」バットマン作品としての観点から考察していこうと思います。
※お気づきと思いますが、この記事少なくとも「JOKER」を観てない方は面白くないかもです。あとネタバレあります。

この映画、主人公のアーサーがバットマンの宿敵ジョーカーに変異するまでの物語なので、直接的にバットマンが出てくることは無いです(バットマン誕生以前の時間軸なので)
故に「本作中のジョーカー(アーサー)は後にバットマンの宿敵になるジョーカーとは別人説」とかが結構出回ってるんですね・・・
僕的にはそれは100%あり得ないと思います。
ではでは、もう少し詳しく語っていきます。

上でも言ったようにジョーカーはバットマンの宿敵なのですが、この二人の関係性がすごく面白いんですね。
バットマンはヒーローなので市民を守るためにジョーカーの悪行を阻止し捕まえるのですが、ジョーカーはバットマンに対して敵意ではなく、構って欲しいみたいな感情で極悪な犯罪を犯し続けます。
自分が悪いことをするとバットマンと遊べるから的な感覚。
原作コミックでバットマンが引退すると、なんとジョーカーも引退すると言う回がある程にジョーカーの犯罪の動機はバットマンと遊ぶため。
バットマンが居るからジョーカーがいる(逆も然り)的な皮肉たっぷりな関係なんですね。
そして実はこの「JOKER」という映画、ジョーカーがいつか出逢うバットマンに向けた笑えないジョーク盛沢山のラブレーターでしかないと僕は思っています。
そのラブレター要素をもう少し詳しく、箇条書きスタイルで紹介していきます。

スーパーラットとスーパーキャットのジョーク
映画序盤、主人公アーサーが大好きなTV番組「マーレイ・フランクリンショー」内でMCのマーレイが「ゴッサムシティがゴミ収集ストにより大量発生してるスーパーラット(突然変異の生命力鬼強なドブネズミ)の対策としてスーパーキャット(おそらく突然変異の生命力鬼強なネコ)の導入を発表したよ」みたいなジョークを言います。
人間じゃできないネズミの対処をネコに頼ったよって意味でしかないジョークに見えますが、よく考えるとこれは正にジョーカーバットマンの事なんじゃね?と思います。
警察ではどうしようもない犯罪者ジョーカーに対処する為、素性を隠し自警活動をするバットマンに頼るしかないという皮肉な境遇へのジョークである上にジョーカーバットマン両者ともある出来事から1人は最狂犯罪者にもう1人はヒーロー突然変異します
これは恐らく2人の関係性を比喩した制作側のジョークだと思います。

アーサーブルース
中盤である流れからアーサーが後にバットマンになる少年ブルースウェインに会いに行くシーンがあります。
そのシーンでアーサーはピエロの鼻を着けブルースを笑わそうとするのですが、全く上手くいきません。そこでアーサーはブルースの口に指を添え無理やり笑顔を作らせるんですね。
このシーンどっちもまだジョーカーにもバットマンにもなっていませんが猛烈にジョーカーバットマンの関係なんです。
ジョーカーは常にバットマンを笑わせる為にジョークを投げかけます。
この先もずっとアーサーは自覚なくブルースを笑わせようとし続ける的なシーンなんだと思います。また今作で監督が参考にしたと公言してる原作コミックKIlling Jokeではジョーカーのジョークに初めてバットマンが笑うシーンもあります。
映画を見た方はとっくにご存じだと思いますが、終盤ではジョーカー誕生のきっかけバットマン誕生のきっかけになる出来事に間接的に影響を与えていたみたいな描写もありますね。

That's Life
この「That's Life」は作中で2度流れるフランク・シナトラの曲なのですが、実はこの歌詞にもバットマン愛がふくまれているんです。
「4月に絶好調に上り詰めても5月にはどん底に落ちる。でも僕は6月にまた頂点に上り詰めるんだ」と浮き沈みの激しい人生を必死に生きるアーサーを現したような歌詞なのですが、この曲の最後の部分But if there's nothin' shakin' come this here July   I'm gonna roll myself up in a big ball and die 」と言う歌詞で終わります。訳すとでも、もし7月に心躍るような事が起きなければ 僕は身を丸めて死んでやろう」みたいな意味。
映画のラスト、精神病棟から逃走するジョーカーの背を映しながらこのThat's Lifeが流れ、この歌詞と共に映画は終わって行きます。
アーサーからジョーカーに変異し、一度は逮捕されるも小躍りをしながら楽しそうに精神病棟を脱走していくジョーカーですが恐らくその後、居場所はないでしょう。
そんな彼の境遇を現している歌詞にも見えます。では7月に起こる心躍る出来事とは一体なんでしょう?
それこそがバットマンとの出会いなのでしょう。
映画のラストに「僕はこの先も君(バットマン)に出会えなかったら死んじゃうよ」と言うジョーカーからバットマンへのメッセージで終わっていくんですね。

Send In the Clowns
こちらは映画のエンドロールで流れる曲です。
近くを漂いながら決して交われない恋愛を笑うしかない物として歌ってる曲なのですが、JOKER作中にこれと言った恋愛要素はなく何故この曲なのかと考えるとこれも完全にジョーカーとバットマン(アーサーとブルース)の関係を現してるのだと思います。
アーサーは人を殺し注目を浴びジョーカーに、ブルースは両親を殺され半ば復讐心でバットマンに覚醒します。
どちらも社会から見たら狂人。違うのは人を殺すか殺さないのかと言う点だけ。
2人とも心を病んでおり非常に近い所を漂っているのですが決して交わらない関係なんですね。

少し長くなっちゃいましたが、アメリカンニューシネマをジョーカー使ってやりました。
みたいな印象を受ける今作ですが、バットマン作品として観ると色々と気づくポイントが多いんですよね!
どこまでが現実かわからない作りになっているのは全てジョーカーがいつか出逢うバットマンに向けたラブレーターだからなのだと思っています。
きっとジョーカーがバットマンの為に語り掛ける自分の生い立ちでしかなく、それを観た部外者の我々が色々と考察し勝手にジョーカーに心酔していく。上手な作りだなと思います。
そんな歪なジョーカーとバットマンの関係性が楽しめる名作「ダークナイト」が全国の劇場でIMAX/4Dで再上映しています!是非見に行ってみてください!(綺麗にまとまった気がする)

高橋 紀如
2020.07.17

考察レベルの高さえげつない
結局何回見たんだっけ?

カイト
2020.07.17

ありがとうございます笑
映画館で11回くらいでBlu-ray合わせると30超えくらいだと思います笑

SasakiJun
2020.07.16

2-3行ごとに改行したら、もっと読みやすくなるで〜😊

カイト
2020.07.16

なるほど〜後で直すはサンキュー