今日は、内田語録として、先の「大東亜戦争」で、日本軍の組織的敗因を分析した70万部のベストセラー『失敗の本質』を現代社会の問題と重ね合わせて紹介すると伴に、日本とアメリカの「失敗」に対する考え方の違いについて、書きます。
~副題:「超」入門『失敗の本質』日本軍と、現代日本に共通する組織的ジレンマと視点!~

●まず、『本』の概要から。 名著「失敗の本質」は、1984年(昭和59年)に発行された 旧日本軍の戦史研究を社会科学面で、6人の研究者が分析した(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎)共著です。 この本の大前提として「大東亜戦争は、客観的に見て、最初から勝てない戦争」であったとしています。 それでも 各作戦に於いては、もっと良い「勝ち方」「負け方」があったのではないか、という考え方で書かれています。
各作戦は「失敗」の連続で、それは日本軍の「組織特性」によるもので「戦い方」の『失敗』を研究することを通して、「組織としての日本軍の遺産を批判的に継承、拒絶」する事を目的としたものです。
【なぜ 今『失敗の本質』なのか?】
2011年の東日本大震災時の国の対応、そして ここ数年 相次いだ巨大企業の「組織的隠ぺい」「都政への不信感」などから、この本が再び脚光を浴びました。なぜ、日本は組織的な「失敗」を繰り返すのか? どうすれば 日本は変われるのか? その答えこそ、日本軍の組織的敗因を分析した『失敗の本質』に隠されていると述べられています。
この本は、初版以降35年間、毎年売れ続けている驚くべきロングセラー書籍ですが、大震災後は有識者の記事でも多く引用されました。また、東京都知事となった「小池百合子氏」が同書を"座右の書"として言及したことで、改めて多くの注目を集めました。
そして かつて世界市場を席巻した「日本製品」と「日本企業」が販売競争に負け、出口の見えない閉塞感と業績が続きました。
昨今の巨大企業の不正発覚から、都庁の意思決定機構の不透明さ。これら日本的組織原理による「失敗」や「破綻」、「不祥事」が改めて『失敗の本質』を手に取る人々を増やしていると言われています。