19回に渡った「THE TEAM 5つの法則」の投稿も終わったことで、本日からはまた気になった記事についての投稿を再開したい。今回紹介する記事は「高校野球・公立が強豪私学に勝つ方法。米子東・紙本庸由の「監督は経営者」なる仕組み作り」という題名のもの。題名にもあるように取り上げられているのは、昨年、春夏連続で甲子園出場を果たした米子東高校・紙本庸由監督についてである。
米子東高校は、昨年春夏連続で甲子園出場を果たした鳥取県内屈指の進学校である。紙本監督は、自身も同校出身で、2013年夏から母校の監督に就任した。そもそも、公立と私学では、資金力をはじめとした様々な環境において差があるのは現実である。資金力に優る強豪私学と公立が互角に戦うには、チーム力を突出させる“何か”が必要不可欠になる。教育の一環とされる高校野球だが、「ヒト、モノ、カネ、情報」の4大経営資源なくして現代の戦いを勝ち抜くのは難しいと言われています。それらの観点を重視して、チームのマネジメントを行い、古豪復活に寄与したのが紙本監督である。昨年の春夏連続甲子園出場も春の出場は23年ぶり、夏は28年ぶりの快挙だった。
「監督は経営者と一緒。部を経営しているわけですから」
齢38の紙本監督は、いかにして古豪「米東(べいとう)」を復活させたのか。身体動作やトレーニング、心理学などさまざまな観点から強化を進めるなか、チーム運営の根底にあるのが「経営学」である。
○「監督は経営者と一緒」チーム運営の根底にある経営学
米子東は、「学校からの部費はあってないようなもの」だという。そんな米子東は「後援会費」や「OB会費」を重視している。
実際に甲子園出場を決めたチームは億単位で寄付金が集まることも珍しくない。「金農旋風」を巻き起こした金足農業は総額約2億9000万円の寄付金を集め、1億9780万円が手元に残った。米子東も甲子園に出場したことでOB会や後援会からの支援も増え、資金も集まるようになったという。それだけ設備投資などやりたいことがやれるようになったという。
○プロテインは不要。「お母さんの食事で十分」
味方につけるのはOB会や後援会だけではない。選手の最も近くにいる母親たちには、保護者会の際にこう語りかける。
「世の中の監督は『いつもお世話になっています。皆さんのおかげで』と言うけど、僕は本当にそう思っています。支援とかではなく、皆さんは戦力です」
紙本監督は、近年のトレンドであるプロテインやサプリメントには否定的。そんな米子東が取り組むのが栄養士を学校に招き、母親と部員、コーチとともに調理実習をすること。ここでは、上級生の母親が先生役となり、後輩の母親に指導する。そうすることで自然と繋がりが生まれる仕組みだ。プロテインより母親の食事を重視した米子東は結果的に強豪私学など周囲よりも体格的に劣ることはなかった。
○“共に戦う仲間”を増やし、一緒に成長する
米子東は、様々な部門において「スペシャリスト」を活用している。身体動作は前田健氏、トレーニングは高島誠氏という日本トップの専門家に学び、普段の歩き方や自転車の漕ぎ方から筋肉や関節の働き、地面半力や重力などを考え、体を効果的に動かせるように意識している。
★自然と人が集まってくるチーム
OB会や後援会に積極的に働きかけることで、野球部に興味・関心を向けてもらう。結果が出せれば、お金も集まるし、OB関連の会社にも支援してもらえる可能性が高まる。
選手の母親も戦力と捉え、母親側にもその意識が浸透。そうした意識が相互にあるからこそ、母親たちは地元の中学生に対して「野球をやるなら米東だよ」と優秀な営業マンになってくれる。結果的に、優秀な選手も多くなる。
また、選手や母親、OBなど多方面に渡って働きかけ、魅了してきたおかげで理学療法士もボランティアとして志願してくれるまでになった。
「いろんな人が自然と集まってくださるチームにしたかったんです。『いいです』って排除することは簡単だけど、僕は逆。みんなで成長して、みんなでいい思いをできるようにしたい。それが地域に返っていくようにしたい」
紙本監督はこのように語っている。まさしく自然と人が集まる集団となりつつある。2008年から夏の地方大会で5年連続初戦敗退した低迷を脱することができたのは、紙本監督が「ヒト、モノ、カネ、情報」の4大資源が集まりやすい仕組みをつくったからだろう。
紙本監督が示しているように、これからの監督やチームに問われるのは、現実を変えていくための「経営力」だ。
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引用記事:https://real-sports.jp/page/articles/355569534880449558