『読むライトノベル創作術』

『読むライトノベル創作術』
 
目次
 
一章 ライトノベルを書くにあたって
・ステップ1 文章を仕事にするために必要な2つのこと 4p
・ステップ2 好きな作品を模写すると格段に文章力が上がる 6p
・ステップ3 小説ではない本を読んでインプットをする  9p
 
二章 経験値をためる
・自身のストーリーに着眼点を置く 10p
・自発的に変化を起こす 11p
 
三章 読者と空想を共有しあえる喜び
・読んでもらうことを恐れない 12p
 
 
 
 まえがき
 
 好きな漫画やアニメや映画を鑑賞しているとき。ふと、自分も「こんな作品を作ってみたい」と感じたことはありませんか?好みの世界観やキャラクターに触れ、「自分ならこの場面であのキャラクターを使って事件を解決するだろう」と考えたことがあると思います。
 本著は、数ある創作ジャンルのなかでも“ライトノベルを書く”ことを目的としています。
 そのうえで本著を手に取ったあなたに、のちの文章を読むことで得られるメリットを先にご紹介します。
 
 好きな作品を読むだけで文章力が上がる
 小説サイトに投稿すればするほど自信がつく
 読了後すぐに実践できる心持ちが身につく
 
 この三つを念頭に置いて読んでもらえば、きっとあなたはライトノベル作家になれるでしょう。夢の印税生活のなか座っているだけで収入を得たり、憧れの声優さんから作品へ息を吹き込んでもらえることも現実的になるでしょう。
 本著を読んで、ぜひライトノベル作家になってください。
 
 
 
 
 第一章 ライトノベルを書くにあたって
 
ステップ1 文章を仕事にするために必要な2つのこと
 多くの職業において、文章を書ける人というのは重宝されます。
 ビジネス面にしてもエンターテインメント面にしても、人に物事を伝えるには文章は必須のツールになるからです。
 例を挙げると、企業の広報担当やゲームのシナリオライター、そしてもちろんのこと純文学やライトノベルといった作家など。調べるだけで40以上の仕事があります。
 また、文章を書く技術を身につけると、本業の傍らでフリーのWebライターやコラムニスト、ブロガーとして収入を大幅に増やすことも可能です。
 
 しかしながら、侮っていけないのはどんな職種にしても文章を仕事にするためには、必ずと言っていいほどに『読者』のことを考えておかなければなりません。
 読者にどんな情報価値を求められているのか?
 難しいようですが、この情報価値を求めて読者は小説を買ったり、漫画を買ったり、ネット上で知りたい情報が記載されたサイトを開き、読むのです。
 もし、その求められた情報が分かりにくい内容で、読みにくい文章で書かれていたらいかがでしょうか。求める内容と異なっていたり、読みにくい表現だと嫌ですよね。
 だからこそ文章を仕事にするためには①『読者を意識』、②『わかりやすく書くこと』することが重要なのです。
 
こちらの文章をご覧ください。 
 
わかりにくい文章
 当店の人気メニューといえば「オムライス」ですが、もともとは店員たちが余りもので作った「まかない」で食べていたことがはじまりで、とある常連さんからの「卵料理はないのか」という要望にお応えしてお出ししたところ、たいへん気に入っていただき、通常メニューに新メニューとして加えてからというもの、いまでは当店の一番人気となっています。     
 
前文を書き直してみると・・・
 
わかりやすい文章
 当店の人気メニューといえば「オムライス」。もともとは店員たちが「まかない」で食べていたことがはじまりでした。常連さんからの「卵料理はないのか」という要望にお応えしたところ、たいへん気に入っていただきました。その出来事がきっかけで新メニューに加えたところ、いまでは当店の一番人気となりました。                        
 
 いかがでしょうか。
 前文で分かりにくい文章を、後文にて分かりやすく書き直してみました。
 前の文章では、句読点を多用し、一文にて説明でしたことにより読者側にとって分かりにくい文章になっています。理解はできます。しかし読み終えて「いったいどんな説明だっただろうか」とふたたび読み直すことになるのです。
 その点を改善した文章が後文です。要点を区切り、必要な情報だけを選んで書いたことで文章がすっきりしています。
 
 文章を仕事にしたいならば、読者に快適に読んでもらうことを常に意識しながら分かりやすく文章を書きましょう。
 
 
 
ステップ2 好きな作品を模写すると格段に文章力が上がる
 
 作家を目指す心構えがあるとき、あなたには少なからず好きな作品と出会っています。それが小説であれ漫画であれ、映画であれ。あなたが感動させられた作品が無いとオリジナルのストーリーは書けません。
 しかしながら、いざ書こうと構えてペンを持ち原稿用紙を前にしたとき。「書けない」と思い悩んだことはありませんか?頭の中に構想は浮かんでいるけれど、文章にすると途端に困惑してしまう。初心者作家の悩みの種です。
 ではなぜ書けないのか?
 理由は簡単です。書けないのは、あなた自身が触れ合ってきた作品を読み解いていないからです。
 いきなり読解力を求められても困るという方のために、ここからは実践的な説明をしていきましょう。
 
 まず初めに、白紙を用意したらそこにあなたが好きな作品を思いつくだけ書き起こしてください。数はいくらでも構いません。多ければ多いほど作家として、引き出しの多さにもつながります。
 次に、そのなかで一番に好きな作品を挙げましょう。もしくは好きな作家でも大丈夫です。
 最後に、この二つの工程を終えたら読み直します。好きな作品ならば、あの場面はこうだった、あのキャラクターの代表的なセリフはこうだ、と記憶していると思います。
 しかし、それはエンターテインメントを考慮して作られた、いわば「売れる商品」なのだということを覚えておいてください。
 人気のある作品というのは、商業として成功している商品とも置き換えることができます。ターゲットとなる客層にヒットする「ジャンル・キャラクター・要素」を常に念頭に置きながら作品は制作されています。
 そして人気作品の作家ほど、過去の人気作品を模写していたという話が多く聞かれます。
 お客さんの心に届く作品を作ろうと思ったらまず、自分が感動した作品の真似をしましょう。
しかし、ただ書き写すのではありません。作家になりたいのであれば、次のことを考えましょう。
 
①           物語の構成を読み解く
②           キャラクターの魅力を考える
③           他作品とは異なる「要素」を見つけ出す
 
 これさえ踏まえて模写すれば、あなたの文章力は格段に上がります。
 細かく説明すると、①の項目は「必要なドラマを抽出する能力」を身に着けることにつながります。
 既存の作品を読んでいて、「この場面いらないな」と思ったことがあると思います。そのような要らない場面が多い作品ほど売れていないのが現状です。なぜなら、読者にとってその不要な場面というのは商品価値がないと言い換えることができるからです。
 物語の展開に必要なドラマだけを抽出する能力が身につけば、読者を長く自分の作品に惹きつけておけます。
 そして②の項目は「魅力的な人物像を研究する能力」につながります。
 人気作品のキャラクターというのは、その作品を知らない人でも知っていることがあります。ドラゴンボールやワンピースがそれに該当しますね。たいていの人が「悟空」や「ルフィ」というキャラクターを、作品は知らなくても名前は知っているかと思います。
 ではなぜ、そのような現象が起きるのか?
 それは「キャラクターが立っているから」なのです。
 例えばルフィ。彼は海賊王になるという目的のために行動していますよね。その行動のなかで、ほかの海賊とは異なる善悪の価値観で人助けをしたり、冒険への好奇心から事件に首を突っ込んだりというドラマが展開されるわけです。
 そしてそのドラマを面白くする、あるいは魅力的に読者が捉えてくれるように設定してあるのが「ゴムゴムの実」なのです。
 ゴムの特性を持つ超能力者が事件をどのように解決していくのか、読者はここにキャラクターの魅力を感じて読み進めていくのです。
 だからこそ模写する際には、好きな作品のキャラクターがどのような魅力を持っているのか客観的に捉えることが、売れるキャラクターを作り出すことにつながります。
 さて、③の項目についてなのですが、これが模写する際に一番の難所となります。
 例えばあなたの好きな作品がファンタジーだったとしましょう。
 ファンタジージャンルの作品は数多く、それこそ数えきれないほどに世に出ています。そこで「なぜ自分がそのファンタジー作品を手に取ったのか」――これが要素になります。
 魔王を倒すために勇者が立ち上がる物語、というのはもはやテンプレートですよね。
 しかし、これが逆になれば・・・
 勇者を打倒するために魔王が立ち向かう物語、とすればどうでしょうか。
 同じ要素でも、主人公の立場を替えるだけで新たなストーリー展開になるのです。そしてその「新しい」を読者は常に求めています。
 
模写する際には、似通った共通点の中から異なるアプローチをかけている部分を見つけ出してください。この能力が身につけば、もう作家になれる一歩手前のところまで来ています。
 
 
 
ステップ3 小説ではない本を読んでインプットをする
 さて、最後の一つをご紹介しましょう。
 それは「小説ではない本を読むこと」です。
 いざオリジナル作品を書こうとすると、ついつい自分の好きなモノばかり設定しがちです。例えばラブコメディ。好みの容姿・性格をしたヒロインを多く登場させることは良くありません。
 なぜ良くないのかというと、キャラクターに奥行きがなくなってしまうからです。
 好きなキャラクターばかりを物語に登場させると、のちのストーリー展開で確実にストップがかかります。どのシーンでキャラクターを退場させていいか迷ってしまったり、愛着がわいて余計なセリフや行動をさせてしまうわけです。
 その結果、読者に「ストーリー展開が遅い」や「このシーンであのキャラは要らないよな」と思われてしまいます。
 ですが、やはり自分の作品には好きなキャラクターを多く登場させたいですよね。
 そこでその問題点を打開する方法こそが「小説ではない本を読むこと」なのです。
 自己啓発本やビジネス書、ジャンルは問いません。小説からいったん離れてみて、異なる視点から、あなたのキャラクターに新しい要素を付け加えてみましょう。
 たとえばコミュニケーション能力をアップさせるノウハウ本があったとしましょう。人との会話作法が書かれているものが大半です。“柔和な態度・動作でコミュニケーションをとれば、大半の人は「この人は話しやすいな」と感じます”などが書かれていることが多いでしょう。
 しかし、それを逆手に取ってみてください。例えば、会話が苦手だったり、人に話しかけるのが苦手、声をはっきり出せないキャラクターを登場させてみるといったように、王道な本に出てこない内容をイメージして、キャラクターを創出するのです。
 この方法を使うと自然とオリジナリティが出ます。
 つまり、既存のキャラクターに囚われることなく物語を展開させられることにつながります。
 たとえあなたの作品が好みのキャラクターであふれてしまったとしても、この方法を用いることができれば、魅力的なドラマを読者に見せられます。
 あのシーンにあのキャラは要らないと思わせるのではなく、あのキャラクターがいてこそストーリー展開が面白かったと思わせるように心がけてください。
 
 
二章 経験値をためる
 
・自身のストーリーに着眼点を置く
 
 ここでいう経験とは、あなた自身がこれまで体験・経験してきた出来事を指します。
 つまり、経験値をためるとは「これから様々な体験・経験を積んでいく」ことです。
 小説を製作するにあたり、最も必要なのがストーリーです。このストーリーとは、登場するキャラクターたちが自ら事件や困難に直面し、問題の解決に向けてそれぞれの考え方・行動で織りなされるものだと覚えておきましょう。
 では、魅力的なストーリーをつくるにはどうすればいいのでしょうか。
 魅力的なストーリーを作る、それこそが『経験値をためること』につながります。。
 普段、自分が経験・体験している出来事があるはずです。
『朝起きて、朝食をとり、仕事・学校に向けて身支度を整え、通勤・通学する』
 右の例は何気ない日常の一コマです。しかし、その日常の中には自分が気づいてないだけで必ず昨日とは異なる部分があるのです。
 そのため、経験値をためる手段としてまず、昨日とは異なる部分を探す行動をしましょう。自分がいつも使っている道にあるはずのないモノやいるはずのない人を見つけだせれば成功です。
 
・自発的に変化を起こす
 
 次は、なぜ昨日とは異なる部分があったのか考えます。過大な解釈でも構いません。
 どうしてそこにあったのか、またはいたのか。自分なりに答えを出してみてください。
 この考え方を常日頃していると、ストーリーにおいて状況が動き出すきっかけを作りやすくなります。変化を起こす、という点を考え付きやすくなるのがポイントです。
 そしてここからが重要です。ここまでは「受け身」で経験値をためることについてお話していますが、ここからはあなた自身が「自発的」に変化を起こすお話をします。
 日常生活において、人は一度決めたルーティンを崩そうとは思いません。これは未知の出来事が起こるかもしれないという恐怖があることが原因です。しかし、面白い物語を書きたいなら、自分から動いて変化を起こしてください。
 その結果として、受け身で得る変化よりも、自発的に変化を起こして得たほうがおもしろいことに気づきます。
 例えば、毎日同じ環境(学校・職場)でまったく会話をしたことのない人がいたとします。自分から話かけにいきましょう。相手から接してほしくない雰囲気・サインがあってもです。
 あまりにも鬱陶しく会話をしようとした挙句、事件にまで発展させろとはいいません。ですが、日常的に関わりをもたない人からは自分の知らない体験や経験を聞けたり、実際に同じ出来事を経験・体験できることができる可能性があります。
 
 この方法を明日から実際に実践してみてください。今まで自分が書こうと思っていたストーリーに、新鮮なエピソードとして利用できる出来事が得られるはずです。
 
第三章 読者と空想を共有しあえる喜び
 
・読んでもらうことを恐れない
 
 小説を書くにあたって至高の喜びともいえるのが、自身の作品を知ってもらうことです。
「こういうキャラクターが好きなんだ」
「このシチュエーションが感動するんだ」
 などと、自分の『好き』を詰め込んだ物語は誰かに知ってもらう、もとい読んでもらえることで本当の喜びを得ることができます。ただ自分だけが読むための作品だと、読んだ感想はおろか、もっとこうしたほうが面白かったという改善点も、自分の気づきでしか補えません。
 やはり、小説を書くことは自分の好きなモノ・コトをオリジナルの言葉で紡ぎだして、それを他人に読んでもらってこそ報われるのだと思います。
 例えば、オリジナルのキャラクターを大好きになってくれた読者がいたとしましょう。その読者からファンレターが届いたら嬉しいと思いませんか?
『あのシーンでこのキャラクターのこういうセリフが胸に響きました』
 このような感想をもらえたら、それこそ次回作を書きたくなるモチベーションアップにもつながりますよね。
 実際、小説を書くことは一種の承認欲求です。
 誰かに自分の世界を、考え方を、生き方を、知ってもらいたい。
 そうして知ってもらい、何かの助けになればさらに作者としては幸せなのです。
 物語を書く、というクリエイト精神を持つ人は数え切れないほど世界中にいます。そのなかで、せっかく書いたものを自分だけのものにするのではなく、人に見てもらう心がけをはぐくんでいきましょう。
 面白い、面白くない。つまる、つまらない。
 世間に作品を出せば、当然のことながらさまざまな感想が自分に届きます。
 あるときは、たった一言の言葉で喜ぶこともあれば苦しめられることもあります。
 くじけそうになるときも数多く訪れます。ですが、そこで諦めずに書いてみることが作家です。小説を書く作り手を夢見るのであれば、まず自分の作品を発信していく心持ちをはぐくみ、どんな感想にもくじけず「ああ、そう感じ取ってくれたのか」とうなずいて、感想を寄越してくれたことに喜びを感じる心をもってください。
 いつの日か、書いてよかった、自分の『好き』を知ってもらって良かったと思える日が来ます。それまで書き続けていただくことを私は強く願います。