皆さんは、「黄金のさなぎ」をみたことがありますか?
日本最大級と言われている蝶であるオオゴマダラのサナギは、とても美しい黄金色をしています。私はオオゴマダラの黄金のサナギを、図鑑でも教科書でもなく、何よりも先に、自分自身の目で見ました。
私の故郷・宮古島は、緑豊かな自然に恵まれ、固有種を含む数多くの生き物が生息しています。先ほど紹介したオオゴマダラも野生に飛んでいることがあり、今ではあまり見かけなくなってしまいましたが、黄金のサナギも自然の中で見ることができます。独特の島方言を話す心温かい人々が住むこの島は、息をのむほど美しい海に囲まれた、沖縄の孤島です。
私は、自分の故郷の魅力を、メディアを通して世界中に伝えたいと考えています。しかしながら、今の宮古島は、豊かな緑も、多くの生き物も、美しい海も、生き辛くなっているのではないかと感じます。
宮古島には毎年、国内外から多くの観光客が来島します。その数の増加に伴い、島の海沿いの土地は県外の企業に買い占められ、どんどんとホテルやヴィラの建築が進んでいます。草木を伐採してホテルが建ち、これまで市民の共有だったビーチはホテル管轄のプライベートビーチになってしまいました。
美しい島は、島外の人の手によってどんどん破壊されてしまっているように思えます。観光客のためにはそれでいいのかもしれませんが、住民に受け入れられないような開発では、いつかガタがきてしまうと思います。住民も納得して進んでいく開発こそが、地域創生といえ、まちづくりに繋がっていくのではないでしょうか。宮古島市民の協力なしで宮古島が活性するはずがありません。
まずは「観光客のため」の開発をやめ、「市民のため」の開発から進めていかなければならないと思います。しかしそのためには、宮古島で起こっている現状について、宮古島の市民がよく知っておく必要があると考えます。
知らないフリではなく、まずは目の前にある故郷の問題を「知る」ということから初めて行きたいです。
宮古島には、「宮古上布」という昔ながらの上質な織物があります。しかし宮古上布の作り手は次第に減り、後継者がいないことが問題となっています。今では、その上質な仕上がりが認められ、どの家庭にも機織機があり献上品として納めていた時代があったことすら忘れられています。その一方で開発されているのは「リゾート」と題されたホテルやバー、ヴィラなどの観光目的の建築物ばかりです。
昔ながらの古き良き伝統を無視してどんどん開発が進むこの島は一体どこに行き着くのでしょうか。その問題をまずは島の人たちに意識させるために、再び宮古上布の良さを世界に発信していきたいと考えています。
自分たちで守らなければ、誰も守ってはくれません。今の私では力不足です。今は知識と経験を積むために、知り合いの人をつたって宮古上布の織物体験や図書館で資料を借りてその歴史や製造過程について勉強中です。
宮古島には沢山の観光客が来てくれていますが、そのほとんどが「リゾート満喫」を目的として来島しています。いつの日か、「宮古上布」を目的に来島する方が増えることが私の夢です。
Arisaさんのビジョンに共感