世界平和に向けて(18)

介護の外国人技能実習生受け入れ活動を展開するケア・イノベーション事業協同組合

ケア・イノベーション事業協同組合は「日本の将来のために」を理念に掲げて、技能実習生の受け入れ事業を行う非営利の協同組合。団体の活動内容について、田添史郎理事と三好茂雄副理事に話を聞いた。

事業目的と内容

――事業内容についてお聞かせください。

三好 ベトナムからの外国人技能実習生を受け入れる非営利の協同組合です。主に介護人材を受け入れます。現在はベトナムの送り出し機関で6カ月の研修期間中ですが、COVID-19の影響で入国が複雑な状況のため、現地の研修期間が終わっても入国時期は未定です。主な人材の受け入れは介護ですが、今後は農業や食品加工の分野でも予定しています。

――ケア・イノベーション協同組合事業組合を設立された目的は?

三好 所属するスタッフは、それぞれの分野で自身の事業を行っています。外国人技能実習生事業を行う際に、人材をご紹介する日本側の受け入れ企業で、さまざまな課題や問題があると、各専門分野のスタッフが相談を承ります。たとえば、中小企業にとってとくに重要な債権回収が滞らないための対策、事業再編や事業承継対策、相続や節税対策など、さまざまなコンサルタントが相談を承ります。

田添 私たちは「日本の将来のために」を掲げて、技能実習生の受け入れ事業を行いながら、掲げたことを実現しようとしています。日本は世界中でも際立って少子高齢化が進んでいます。とくに日本の製造業では、日本人の労働力だけでは将来的にも人手不足が現実的なのです。外国人に助けてもらわないと手が足りていないという問題は解決しないのです。

人手不足の問題を解決しながら、受け入れ企業が抱えるさまざまな課題や問題も同時に解決できるなら、私たちの協同組合との接点が人手不足解消のお役立ちだけにとどまりません。企業の良好な経営が実現できることで、外国人技能実習生を受け入れる企業が正しい雇用を行える経営環境に改善されれば、技能実習生と会社の労使間における各種問題の発生がなくなります。志をもって来日した外国人技能実習生は、この制度の本来の目的である技術や技能を習得し、安心安全な職場環境下で身に付けた能力を帰国後の仕事でも活用できると考えています。

――外国人技能実習生を受け入れて雇用する企業に向けて、監理団体からアドバイスをお願いします。

田添 これまで日本人だけを雇用してきた企業が、外国人を雇用する際には、慣習や習慣、考え方や捉え方、理解させる手順や教え方のスピードなど、日本人とは違うことを、実習を行う側の日本人が正確に掌握し理解して、外国人に合った実習計画を策定して進めていく心遣いや配慮が必要だと思います。

技能実習生は勤勉で真面目ですから、技能実習先の企業で指示・命令されたことを正確に覚え、それを実行して働きます。つまり、クオリティーの高い製品をつくり、提供できる能力が高いのです。外国人を雇用して使う企業は、外国人と付き合っている意識を忘れてはいけないということです。

――「日本の将来のために」を掲げる思いについてお聞かせください。

三好 中小企業のなかでもとくに製造業では、働き盛りの年齢である労働力が慢性的に不足しているため、外国からの人材を労働力として受け入れざるを得ない現実的な事情があります。また、ケア・イノベーション事業協同組合が主に受け入れを行う介護の人材も足りていません。

この先、さらに日本は少子高齢化が加速していくわけですから、日本の経済や社会福祉は現在の水準を維持しながら成り立っていきません。これからも多くの企業に頑張ってもらうために、私たちそれぞれの専門分野の手助けが必要な企業を応援することが推進力となれば、日本の将来のためにもなると信じて、事業協同組合からの人材の提供でご縁ができた各企業へ、労働力だけでなく経営環境改善のお力添えを行っていきたいと考えています。

経営コンサルたんとのプロフェッショナル集団として

事業協同組合は、それぞれが普段から自身の事業所で企業経営者の経営コンサルタントとしても良きパートナーとなって、実務上のサポートで活躍するプロフェッショナルのスタッフ構成になっています。ほかの協同組合のスタッフ構成にはほとんど見られない、この上もない安心安全な協同組合と言えます。外国人技能実習生の受け入れだけでなく、法務やさまざまな相談や課題問題の解決にも役立つことは利点です。

ベトナムの人材送り出し機関と、人材を受け入れる日本の協同組合、そこから企業へ送り出す関係のなかで、違法で多額な裏金が動いている実態も騒がれている昨今であっても、ケア・イノベーション事業協同組合のスタッフの各コンサルタントに依頼されるなら、外国人技能実習制度を安心安全に有効活用できるものと確信します。

(上記文章記述 岡本弘一)