介護人材事業にかける情熱 (後)

座談会 介護人材事業にかける情熱

(一社)ABN理事長・後藤氏を囲んで(後)

 介護人材事業に協同参画し、第一線で活躍中の業界関係者による座談会が(株)データ・マックス本社で開かれた。

介護人材事業に対する思いや、今後の展望などについて語り合った。

【参加者】

◎介護人材事業発起人:(一社)ABN 理事長

後藤哲哉 氏

◎音響・撮影・編集・映像制作・通信ネットワーク構築など担当:(一社)ABN 理事

溝部領一 氏

◎(協)ASIO 理事長

仲盛昭二 氏(建築構造設計、一級建築士)

◎(協)ASIO 専務理事 兼 (一社)ABN 理事

鍬 健治 氏

◎司会 岡本 弘一

 司会 日本に入国する在留資格取得の方法を紹介しましたが、フィリピン人の介護福祉士候補者を、どの在留資格で入国させて、介護福祉士資格の取得へ導こうと予定しているのでしょうか。

 後藤哲哉氏(以下、後藤) 先程お話ししましたフィリピンの医学大学で、定められた期間、介護士の専門教育研修を受講させます。

その教育研修が修了した後、渡航に必要な各手続きを行ない、日本の介護教育を専門的に学べる専門専修学校で学ばせる在留資格の人材や、既にフィリピンで介護や看護に従事していた経験者などには、それぞれの日本語力や技能習熟度に応じて、前述しています様な(1)〜(3)やA〜Cの方法で在留資格を取得させる予定です。

 司会 大分県由布市の由布岳山麓に介護施設に適した建物が有り、ここを高齢者の介護付施設にする計画が有ると伺っていますが、今後の目標実現に向けた展望を、お聞かせ下さい。

 後藤 今、私は地元大分県別府市に在住していますが、この施設は、由布市の由布岳の間近に位置し、美しい景色と澄み切った空気、静寂な環境の中に有ります。

介護が必要な高齢者の居住施設で有ると共に、介護福祉士資格の取得を目指して来日したフィリピン人の実習生が介護実習を行なう為の研修施設として活用する事を考えています。

私がフィリピンで看護師から受けた慈愛の精神を高齢者の介護に携わるフィリピン人実習生の研修に取り入れ、高齢者の皆さんに喜んでいただけるような運用を目指しています。

そして、由布院のキャッチフレーズを「由布院はアジアのオアシス」として、伝えて行きたいと考えています。

 司会 次に、ご参加いただいた皆さんのご意見やご感想をお聞かせ下さい。

 溝部領一氏 私はフィリピン人実習生に必要な日本語学習教材を制作します。

要介護者との会話は日本語です。介護福祉士の国家資格試験を受験するにもN1レベルの日本語能力が必要ですから、良質な教材を制作します。

 鍬 健治氏 今回の座談会は2回目のミーティングを兼ねた内容となりました。

1回目のミーティング以上に、とても深く濃い内容となり、介護人材事業に対する意欲的な思いや先々の展望について後藤理事長の考え方が理解できて、良い座談会になったと思います。

 仲盛昭二氏 私は建築構造設計が専門で、人材事業の知識はありません。

この人材事業に必要な資金調達を行なう事で、皆さんと共に頑張ります。


《 編集後記 》

 人生100年時代と言われる今日、今年3月で80歳を迎えた後藤哲哉理事長が、20年後の100歳に向けたファイナルステージを成し遂げたいとの意欲的で熱い思いを語っていただきました。

ミュージシャンを生業として活躍して来た人生の中で、更に新たな挑戦を続ける姿には、強い心意気を感じました。

 そして、全国の校歌のほか、多くの楽曲を作られて来ました。

読者の皆さんも聞き覚えのある有名なCMソング「コーヒーにBrite 〜 ♪」も、後藤哲哉理事長の作曲です。

 超少子高齢化が進む中で、2025年には高齢者人口が3,500万人に達すると推定されています。

この中には、認知症高齢者が320万人も含まれます。

いわゆる団塊の世代の高齢者の殆どが該当し、その時には、日本の人口の約20%が高齢者になる推計が出ています。

 これまでの問題は「高齢化が進む速さ」でしたが、これからの問題は「要介護者が増加する数」です。

介護サービスを必要とする高齢者が増加し続ける為、推計で258万人の介護職員が必要となります。

今の増加ペースでは215万2,000人にとどまり、厚生労働省の推計によると37万8,000人も介護職員が不足する事になるのです。

 給料を上げても介護職員の絶対数は全く足りない訳です。

ですから日本人だけに、この問題の解決を求めるのは無策と言えます。

現実を直視し、外国人人材を、いち早く起用する方向へ方針を転換する事について、業界を挙げて検討すべき時期なのでしょう。

【 文章 ・ 構成 岡本弘一 】