ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました。

ボクはおとうさんと山奥の村で幸せに暮らしていました。

毎日畑で採れたトウモロコシとイモを食べて、川で魚を捕まえ、山で鹿を狩り、一日中一緒に過ごしていました。

 

しかしある日、村にボランティアというやつが来ました。

そのボランティアはニホンという海の向こうから来ました。

そして、ボランティアはボクたちにこう言いました。

「トウモロコシとイモばかり食べていたら栄養不足になる。これからはヤサイを育てて食べなさい」

 

 

その日からおとうさんはヤサイを育てるために、一日中畑で働かなければならなくなりました。

トウモロコシとイモは育てるために手間はかかりませんが、ヤサイは毎日世話をしなければいけません。

おとうさんと一緒に川で魚を捕まえる時間はなくなりました。

食事にはトウモロコシとイモの代わりに、ヤサイが出てくるようになりました。

ヤサイとは、葉っぱが何枚も重なった丸い草やとても苦い緑色の実でした。

ヤサイは初めて食べる味と触感で、また食べたいとは思いませんでした。

それに我慢してヤサイを食べても、トウモロコシとイモと違ってすぐにお腹が空いてしまいます。

 

 

またボランティアが来て、言いました。

「君たちは貧乏で何もモノを持っていない。次はヤサイを売ってお金を稼ぎなさい」

おとうさんはヤサイを売るために、毎日町と村を往復しなければならなくなりました。

しかも、今までは自分たちで食べる分だけのヤサイを育てていましたが、これからは売るためにもっとたくさんのヤサイを育てなくてはいけません。

おとうさんはヤサイを売ったお金でテレビを買いました。

しかし、おとうさんと一緒に山で鹿を狩る時間はなくなりました。

 

 

ある日、またボランティアが来て言いました。

「もっと幸せになりたかったら、もっと働いてもっとお金を稼ぎなさい」

おとうさんは一年中お金のことを考えるようになりました。

今は昔よりもたくさんモノが家にあります。

しかし、もうおとうさんにボクと一緒に遊ぶ時間はありません。

ボクのことを考える時間もありません。

おとうさんは朝早くから夜遅くまでお金を稼ぐために働いています。

 

 

その様子を見て、ボランティアが満足そうに言いました。

「この山奥の村も、ようやく幸せな暮らしに変わった」

ボクの大好きだったおとうさんはもういません。

ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました。

 

めでたし、めでたし?


(引用)https://jiburi.com/seigi/

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昨日の記事を書いてて、みんなに読んで欲しいものがあったので、引用させていただきました。今日はボクの記事じゃないです。そして、どう感じるかもみんな次第です。



髙橋 菜々恵
2020.06.20

すごい胸に刺さる投稿。
この前の思いやりは想像力の話と通ずるね、、、

荒川 ゆかり
2020.06.19

すごく考えさせられますね
ある人にとって何が本当にいいことなのかって個人の物差しでは測れないし、その人たちにしか分からないですよね…
だからこそ、現地の人たちとの繋がりとかコミュニケーションって大事だなって思いました。。

タロウ
2020.06.19

俺これ一年生の時に読んで、自分の中の価値観がむちゃくちゃ揺らいだんだわ笑

ボランティアに答えはないけど、
途中式があるとすれば、
その計算方法はコミュニケーションだと思う。

荒川 ゆかり
2020.06.20

途中式か…
ずっと続いていく計算ですね。。