何もないがある

高校の時、初めてきちんと東京に行った。


東京にはなんでもある。

首が痛くなるほど高いビル群が立ち並び、

美味しいものが食べたいと思ったら歩いて行ける。

欲しいものはなんでも手に入る。

すごく驚いたのを覚えている。


そして大学一年の春、アメリカに行った。


初めて行ったそこは思ったより、ずっと何もなかった。

そこにはただ、「何もない」が広がっていた。

その不便さからくる居心地の悪さが、

一発で好きになったのを覚えてる。

荒木 昌三
2020.09.26

今の時代は情報が多すぎて生きにくいのかもね。
だからたまにゆったり流れる時間が恋しくなる。