特撮アクションと実際の格闘技の違いって?その1

はじめまして!

京都特撮企画というサークルで映像作品のアクション監督として撮影に携わっております、久保田と申します。僕自信格闘技も特撮も大好きでございまして、少林寺拳法の大学生全日本大会に出場、キックボクシングアマチュアAクラスで試合を行うなどかなり一般人の中では「デキる」方と自負しております。そんな僕の格闘技好きのルーツ、それこそ特撮、特に仮面ライダーシリーズの迫力あるアクションシーンを見て「僕もあんな風に動けるようになりたい!」と思ったのがきっかけでございました。

さて、前置きはその辺にして、僕がそういったきっかけで実際の格闘技に触れていく中で感じたことをこれからシリーズとして投稿して頂きたいと思います。乱文失礼致しますが、どうかご容赦下さいませ。

詰まるところ、違いは?

一番大きな違いについて今回は触れていきます。

詰まるところ、動きの一番の根本は同じです。どちらも、殴る方の肩を出す、打つ前に脇を締める、リーチの一番遠くギリギリで当たるようにする、この辺は特撮も格闘技も変わりません。一番大きな動きが威力もあって、見栄えもいいからですね。スーツアクターさんに格闘技経験者が多いのもこれらの特徴が色濃くなる理由として挙げられるのではないでしょうか。

下の2つの画像をご覧下さい。


1枚目が仮面ライダーのライダーパンチ、2枚目が先日総合格闘技を引退したUFCのコナーマクレガー選手のパンチです。どちらも腰を入れて、腕が伸びきった位置で相手に当たるようになってますね。こういった動きの根本は、実は両者は一緒なんです。

 じゃあ、逆にどこが違うんでしょうか。それは、動きの目的でしょう。特撮アクション映像作品ですから、映える、かっこいい動きを見せるためにアクションをします。一方の格闘技の方は、まぁ一部の演武専門の武道を除けば大抵は「相手に攻撃を効かせる、倒す」ことを重視しているという違いがあるんですね。

そういった違いがどういうところに出てくるか?それは攻撃の当たる場所です。格闘技はしっかり相手に効かせて倒さなければなりません。ですから攻撃箇所は必然的に顎、こめかみ、溝尾、肝臓といった人体の急所ばかりです。特撮はどうでしょうか。とにかく攻撃している側がかっこよくあればいいので、どこに攻撃が当たろうが食らった方は後退りしますよね。そして何より、どこに攻撃が当たっていようとエフェクト(これこそが醍醐味なのですが)が付くと効いているように見えますし、最後は大抵爆破で〆ますから、そもそも急所なんかを気にする必要があまりないんですね。

それから、もうひとつの大きな違いは目線でしょうか。格闘技はやはり、一回のミスが致命傷となるので相手の動向に常に気を配り、攻撃をするときでさえ相手から目を逸らしません。一方特撮のアクションはやっぱり大振りで少し大袈裟な方が絶対かっこよく映りますから、意図的に攻撃をしていても目線が相手に向いていないシーンが多々見受けられます。

これら2つの違いを端的に表しているのが下の画像ですね

これは仮面ライダーウィザード唯一のパンチシーンですが、いかがでしょう。かっこいいですね。目線は相手より遥か下、当たっている位置もエフェクトであやふやですね。格闘技的には「あり得ない」ことですが、特撮では「当たり前」のことなんです。だって現に最高にかっこいいじゃないですか。


初回はこんなところでしょうか。次回以降もこういった観点から、一個一個の技を切り取って分析して行きたいと思います。次回はライダーキックについて触れようかな。

では‼️

関連記事