監督の独り言 -速さの秘密-

 自転車競技というのは面白くて、サッカーなどの様にチーム全員で勝ちに行くのではなく、チーム全員で一人(エース)を勝たせるような形のスポーツなんですよ。おそらく初心者の方はこれが理解できずに、プロがどの様な立ち回りでチームを編成しているのかわからないまま観戦している方が多いです。

 自分としてはチームは選手の感じたことを優先していきたいですし、レース本番時は私の指示よりも選手本人の判断を優先させます。(それをするためには選手との信頼関係が大切な訳です。)しかし、監督が何もやらないのかと言われるとそうでもなくて、チームによって少しずつ違うのですが、僕は主に「戦術研究」「他選手の分析」などを主にしています。特に選手たちが公道で練習中は近くのスタバなり、ドトールなり、コメダ珈琲なりでレポートを書いたり、レース中の動画を見て改善点などをみる、いわゆるチームの「分析官」な訳です。

 そんなチームの「分析官」をしている僕はどんな生い立ちなのか、少しだけ自分語りをさせていただいます。(遅くなりましたが、今回はそういうまったりしたつぶやきです。)
 そもそもをいうと、僕は全く自転車というものに興味がありませんでした。むしろ車のレースに夢中でSuperGTやF1といった速い車に幼い頃から憧れていました。中学生の時にアイツに出会うまでは...
 中学生に上がると、平和な僕に茶々を入れる奴が現れたんですね。そいつがまぁ、うるさいことで、すぐに「俺の方が車だの、自転車だの詳しい!俺の方が上!」って奴だったんですよ。僕もまぁ子供でしたから、すぐにカッとなっては悔しくなって、競ってる内にいつの間にかそいつの口車に乗せられて、自転車沼にハマっていく訳ですね...(ちなみにその「アイツ」とは、現在国内で活躍中の関口拓真選手です。今では良き友ですね笑)

 そんなこんなで僕の日常がガラリと変わった訳ですが、レース展開も変わりました。監督をやり始めた頃は何をすればいいのかわからずに、手探り状態でチームを始めたので、選手にアドバイスできることなど素人に毛が生えた程度です。どうしたらいいアドバイスができるのか、色々やってみました。しかし、どれもあまり良くなかったので、次に文章化することから始めました。人は記憶してもすぐに忘れてしまうので、とりあえず何事もメモです。その後それをレポートにして、自分で見返していました。これがとても良かったんです。実は速さの秘密はここでした。なんでもメモすることが大切でした。
 そんな訳で今ではなかなか的確なアドバイスができているんじゃないかなと思っています。

↑つい最近、レースに向けて選手に書いたレポート。

 オチが思いつかないのでこのまま書き終わりますが、いまこの記事を読んでいて、自転車競技をやりたいと思っているそこの君、とりあえず走ったらそのまま寝るんじゃなくて、今日何があった、こうしたらこんな挙動をしたなど簡単でいいからメモしよう!そうすれば絶対に速くなる、僕が保証しよう笑。