私のやりたいこと

 運命の出会いというのはある日突然やってくるものです。私の将来は、もしかすると生まれた瞬間に決まっていたのかもしれません。そう思うほどに、今目指しているものは私に合っている気がします。勉強していてこんなに楽しくていいのかと思えるほどです。

 私の夢は言語聴覚士になることです。この職業を始めて知った時、私は何故か「私はこれになる、ならなければいけない」と思ったのです。“ビビビときた”という表現が正しいかと思います。本来ならば「こういう経験があったから私はこの職業を目指しています」というべきなのでしょうが、私の場合は順番が逆です。

 私の母は特別支援学校で働いています。母に連れられて小学生の頃から障害のある子どもたちも参加するイベントに行って多くの人と触れ合ってきました。母に少しだけですが手話や点字も教わりました。この時「将来はお母さんのように教育や福祉に関わる仕事がしたい」と漠然と考えていました。

 中学2年生の秋、私は職業体験学習として高齢者支援施設で5日間働きました。実をいうと、ここは抽選に外れて行かされたところでした。ですが私は両親が共働きで祖父母に育てられたので、高齢者と関わることは全く苦ではありませんでした。仕事の1つに入居者さんの食事の介助があったのですが、そこで私はあるおじいさんが気になりました。その方は飲み込む力が弱くなっており、食事はもはや原形の残っていないペースト状になったもの。それらを全て丼に入れてぐちゃぐちゃと回し、ぼろぼろとこぼしながらスプーンで食べている姿は、食事という行為がただの作業になっているように思えるほどでした。ご飯は楽しく食べるべき、という考えを持っていた当時の私は「この人たちの日常にもっと彩りを加えたい」と思ったことを覚えています。

 進路について本格的に考えるようになった高校1年生の夏、私は母に「あんたはこれに向いているんじゃない?」と言語聴覚士という仕事を紹介されました。言語聴覚士の仕事は摂食・嚥下機能が低下し食事をするのが困難な方のケアや、構音障害のある子どもの発音指導、聴覚障害を持つ方の補聴器適合など多岐に渡ります。これを知って「私は言語聴覚士になる」と決めました。子どもと関わるか、障害のある方と関わるか、高齢者と関わるか、という悩みが一気に吹き飛んだからだと思います。

 勉強していて楽しいと思える気持ちを維持したまま、今までの経験を活かして強く優しい言語聴覚士になりたいと思います。