君と僕と誰かのはなし

今回、初の試みとして「写真から小説にする」というテーマのもと冊子を制作展用に制作しました。
小説は基本的に目に留まるようなイラストがなく、なかなか手に持ってもらいにくいものです。実際、去年参加させていただいた制作展でそれを痛感し、何か新しいことが出来ないか、と考え企画させていただきました。

下記に記載している太字は添付しているファイル名になり、そのファイル名の下にあるものは物語のタイトルになっています。
一番見てくれるであろう一作品目とラストの作品はどうしようかと悩みましたが、それ以外は「前後の写真と作風の雰囲気」を意識しながら決めていきました。あとは「五十音順」「学年別」に記載するという、自分の中である程度ルールを決めて考えていきました。
読む順番は強制ではないですが冊子と同じ順番で載せているので、海と瓶から順に読んでいくとより楽しめるかと思います。

題材にした写真の右下に使わせていただいた、実際に活動されている写真家の方のIDになるので、気になる方はチェックしてみてください。


*若干の仕様は冊子とは異なりますが、記載している内容・順番は冊子と変わりません
*冊子に記載した前書き・作品目次・奥付も添付しています。
(本来なら表紙画像・前書き・作品目次・各作品ファイルをひとつずつ添付したかったのですが、一記事に添付できるファイルが10個ということで、表紙画像を記事内に、前書きと作品目次を同じファイルに記載しています。ご了承ください)









上記の二枚は表紙・背表紙になったものになります。使わせていただいた写真をillustratorで編集し、CLIP STUDIO PAINTで冊子のタイトルを手書きで付け足したものになります。

この企画で八枚の写真が使用されているのですが、せっかくなら表紙に全部載せたいと思い、ラストを飾った飛行機雲を背景に七枚の写真をillustratorで明度を薄く調整して見栄えが良くなるように配置しました。

冊子タイトルは、書いてくださった方々の小説を編集していく中で、物語の中に君(相手)と僕(主人公)が居て、その二人が織りなす物語の中で登場しない「誰か」の話も含まれているのではないかと思い、このタイトルになりました。


今まで過ごしてきた学生時代の中で自ら何か提案し企画するということはなく、編集ももちろん初めてで小説専攻として初の試みということもあり、本当に成功するのだろうかと不安に感じることもありましたが、無事に冊子という一つの形として実現させることができ、嬉しく思います。
前書きにも書かせていただきましたが、改めて、小説を書いていただいた同専攻の方々をはじめ、協力していただいた方々には感謝しかありません。この場をお借りしてお礼申し上げます、本当にありがとうございました。

企画者としても編集者としても、感慨深い大切な作品集になっています。制作展では冊子を展示させて頂くので、興味が湧いた方は実際に手に取ってご覧になっていただければと思います。

  • 海と瓶.pdf
  • 海と猫.pdf
  • 男女.pdf
  • 白フレームと空.pdf
  • 桟橋.pdf
  • .pdf
  • 夕陽とオブジェ.pdf
  • 飛行機雲.pdf
  • 前書き&作品目次.pdf
  • 奥付.pdf
げんたろう
2023.03.15

海と瓶、2話目の小田さんの作品ですが、
豚というタイトルはトリュフを探す豚と、神秘的なものを求める好奇心というか、深夜テンションというか、そういったものを重ね合わせているのでしょうか。
もし、そういった意味でタイトルをつけていたら、とても面白いと思いました。ほかの意味合いでつけたのなら、なおのこと聞いてみたいです。
時間が経つと興味が無くなるのは、時間制限のあるガラスの靴みたいですね。

さて、感想ですが、
全体的に、かなり事細かに動きを書いていますが、一人称には合ってないかも知れません。
一人称は登場人物の感情や感覚を表現することに向いていますが、
シャワーのお湯が流れる順番や、服を着る時の片足、タオルで頭を拭く強さ(ごしごし)など、動作を表現するなら三人称が有効です。

一人称
──十分に温かくなったシャワーを頭から浴びる。寒さで冷えていた体が、お湯が流れ頭からつま先にかけてじんわりと温まっていくのを感じ、心地よくて思わずため息が出た。
「ふぅ……」

三人称
──十分に温かくなったシャワーを彼は頭から浴びた。全身にお湯がかかるように体を動かす。次第に鳥肌の立っていた彼の肌は、お湯に濡れると次第になめらかになり赤みを帯びていった。
「ふぅ……」
心地良さからか、ため息が漏れる。

あくまで例ですが、大まかにするとこのような違いがあります。
3.1人称なんてものもありますが、それは講師の先生に聞いてください。コメントで教えるのは難しいです。

その他のところですが、日が出ていないのであれば、海は遠くから見れば見るほど輝きません。街灯が近くに沢山あったり、何か明かりが海上にあるなら話は変わってきますが、車も通らないのであれば、空との境目も分からないくらい真っ黒です。

それと、ロータリーと言っても、読む人が知っているロータリーが同じ形をしている訳ではありません。その後の駐車場の位置関係もです。
近くを歩くならば、周囲の描写は想像出来るように書くべきだと思います。

以上です。

げんたろう
2023.03.15


『海と瓶』、読ませていただきました。
私たちの制作展の時にはなかった試みで、とても面白いと思いました。
では、前置きはこのくらいで感想を。

まずは上野さんの1話目。
全体的に話の伝えたい点が、よく分かりませんでした。
彼女とそのお姉さんが水棲神で、神を存続させるには彼女を人間界に避難させる必要があった。

でもお姉さんは普通に生きているし、彼女は寂しそうにしていた訳でもなく、しかし姉と会うと、突然「寂しかった」と言っています。
ボトルメールも思いつきでなんとなくやろうと言いながら、楽しみにしていたのに、瓶の挙動には、なにか確信めいたものがあることを感じさせます。

じゃあボトルメールを最初から流しておけばよかったんじゃね?
そう思わずにはいられないほど、筋が通ってないように感じました。

なので例えば、この話が恋愛小説の冒頭であるならば、彼女との出会いや、彼女が前からどこか寂しそうにしているシーンを入れたり、ボトルメールを既に何回も試している様なシーンが序盤にあると、違和感がないように思います。海の神の関係者であることも説明しやすくなります。

あと他の作品にも言えますが、1話目で言うなら最初のボトルのシーン。
コルクから瓶の中の手紙に目が行き、最後に瓶全体に視点が移っていますが、基本的に物や人を見るときは、全体のパーツ(大きいもの)から見て、徐々に細かなパーツ(小さいもの)を見ます。でないと、視線の動きに違和感が起きます。

それと時々難しい言い回しを使っていますが、一人称はキャラの心情であり、没入感を得やすい書き方です。主人公も若い男のようなので、わかりやすい言葉で素直に書くのがいいかもしれません。