エッセイ本『悩むのが正解 ~人生をラクに生きる四つの悩み方~』

『悩むのが正解 ~人生をラクに生きる四つの悩み方~』

 制作中のエッセイ本の一部を、Pandoにて掲載中。


悩み方その1『悩んだら忘れよう』

 そもそも悩みへの対処法がわからなくて辛いことってありますよね。
 悩み始めた時期は、とにかく
「どうしてこんなことで悩んでいるのか」「こんな気持ちになるのは良くない」
と、悩むこと自体を否定してしまいがちです。

 また、長く悩み続けている場合でも、
「ずっと同じことで悩んでいる自分は成長してないのではないか」
と、やはり否定的になりやすい傾向にあると思います。
 悩むのは、泥沼に足を踏み入れているようなもので、悩めば悩むほど、もがけばもがくほど、深く沈んでいきます。

 そんなときは、いっそのこと『忘れて』しまいましょう。
 そもそも悩むのが辛いのは、そのことについて考えているからです。
 思い出してみて下さい。ホラー映画のワンシーンで心臓が飛び上がったとき、お笑い番組でふと笑みがこぼれてしまったとき、悩んでいたことなんて考えてもいないですよね。
 もちろん、それは一瞬のことであったり、その後すぐに悩みの波が戻ってきて不安に襲われるときもあります。ですが、ほんの一瞬でも悩みから解放されたことは事実で、あなたには『悩まない才能』もあるという何よりの証明となってくれています。

 『忘れる』というのは、悩みに対して最も特攻があります。悩みは考えるから悩みなのです。
 その特効薬である『忘れる』ことについて、これからスポットライトを当てて、悩みとの楽な付き合い方を解説していきます。




【忘れることを忘れよう】
 とはいえ、「一度悩みを忘れてみよう」と、気軽に文字だけで指示されても、忘れることなんて簡単にはできないかもしれません。
 私自身も、買ったエッセイ本で勧められたようなことを、そのまま実行できる自信なんてありません。不器用ですから。
 だからもう『忘れなくていい』です。
 矛盾しているように感じられるかもしれませんが、「忘れることを忘れること」こそ、『忘れる』への最短の近道なんです。言葉にまとめてみると、「忘れるを忘れると忘れてしまう」でしょうか。
……読んでもよくわかりませんよね。でも、この『よくわからない』が肝心なんです。
 悩むのと同じで、忘れるということも、考えすぎるとできなくなってしまうタイプの心理現象です。ならば、悩みを忘れる以前に、忘れようとしていることを『忘れる』必要があります。



【よくわからないまま、悩みごと忘れてしまおう】
 ここで示すのは、忘れるまでの三段階です。

「明日、テストがある」→「考えないようにしても不安で眠れない」
→「開き直ってゲームをしていたら、いつの間にか寝落ちしていた」

 この例は、少しふざけていると感じられるかもしれませんが、本質的に翻訳すると、以下になります。

「不安・悩み事」→「忘れようとして忘れられない」
→「いっそ忘れる努力をしない」

 忘れようとする努力を放棄することで、逆に不安や悩み事を忘れることができています。
 ここでさきほどの言葉に戻ります。『忘れなくていい』――とりあえず、違うことをしてみましょう。
 別に『忘れる』ために、無理にスポーツで汗を流したり、本を読んで教養をつけたりはしなくていいです。例えで挙げたように、好きなことや楽しいことをしてみる。

 お気に入りのアーティストさんが出した新曲や、YouTubeの配信を聴いたり、寝る間を惜しんで好きなゲームに入り浸ったり。また、何もない日に時間を気にせずにぐっすりと眠ったり、いつものコンビニで少し高めのスイーツを買ったり。あのときの幸福感は何にも代えがたいものです。

 悩む前に、忘れようとする前に、好きなこと・楽しいことをすると、さっきまでの自分が何をしていたのかさえ忘れてしまいます。
 あなた自身が熱中できることであれば何でも、悩みとの『心の距離』を適切に、そして手軽に作り出すことができます。こういう安全基地としての機能をしてくれる、あなた自身の「好き」「楽しい」を引き出すと、結果的にではありますが、不安や悩み事を忘れることが出来ます。




【「違うことをする」と忘れられる】
 忘れるためには、やはりあなたの「好き」「楽しい」と直結したコンテンツが必要です。
 コンテンツといっても、決まった形があるわけではありません。大まかな行動のジャンル分けのようなものと思ってもらえると、分かりやすいかもしれません。
 ここでは大きく分けて3つのコンテンツ、

『熱中コンテンツ』
『リラックスコンテンツ』
『食事コンテンツ』

 にフォーカスして考えてみます。名前を付けて概念化してしまうことで、自分自身の嗜好を見直しやすくしています。
 これらのコンテンツを認識し、利用する立場になることで自発的に、かつ適切に
「忘れる」ことが可能になります。

 まず『熱中コンテンツ』については、ゲームや運動、推し活など、あなた自身が日常生活で積極的に行動しているコンテンツを探せば、すぐに見つかります。
 これら日常の一部になっていることは、あなたの「好き」「楽しい」に繋がっていることが多く、意識が集中している上に、苦も無く行えている時点で、「忘れる」ためには最適なコンテンツかもしれません。

 次に『リラックスコンテンツ』については、「特に何もしなかったなあ」と感じた休日のことを思い返してみると良いでしょう。
 そんな日は大抵、ゆっくりとリラックスする時間が長かったことに気づくと思います。朝遅くまで眠っていたり、音楽や配信を聴き続けていたり。読書や漫画、アニメといったものを楽しんだことも指標のひとつとなります。
 行動ではなく能動的に楽しむことのできるコンテンツは、余計な悩みごとなどについて考えることを回避することができ、また疲れた心を癒す効果もあります。

 最後に『食事コンテンツ』です。
 言葉の通り、食べ物や飲み物に関するジャンル分けとなります。
 帰宅後のビールのために目の前の仕事を頑張ったり、誕生日の食事には小さな贅沢をしてみたり。あなたが楽しみにしている食事に目を向けてみると、努力や喜びの原動力になっていることがあります。
 生活とは切っても切り離せない「食欲」は、人生においても大きな楽しみのひとつと言えます。

 これら3つのコンテンツたちは、忘れることを目標にしていますが、長い人生の中で生活を彩ってくれる楽しみでもあります。
 何かあっても、逃げ込める楽しみを持っておくことで、意外と簡単に悩みから距離を取ることができるようになるでしょう。



【どこでも忘れられるわけではない】
 忘れるためのコンテンツが手元にあれば、一切悩むことがなくなります、と言いたいところですが、これらにも弱点があります。

 それは『いつでもどこでも、使用できるわけではない』という点です。

 例えば、不安な発表やプレゼンでは、直前に好きなものに触れることはできても、その最中、不安や悩みの対象と直面しているときには、イヤホンをつけたり、好きなものを口にしたりなどといった行動は、ほとんどの場合、他人からは受け入れられる可能性は低いでしょう。
 他のコンテンツでも、ゲームだと外でできるものは限られてきますし、そもそも食べ物や飲み物は眠くなったりとパフォーマンスに影響する可能性もあります。
 いつでもどこでも、というのは案外難しいものです。
 しかし、あなたが悩みや不安感と上手く付き合っていくためには、避けては通れない道でもあります。

 あなたの抱えている不安は、いつどこで触発されるかは分かりません。他人にかけられた些細なひと言や流れてくる不穏なニュースが、そんな負の反応を促してしまうかもしれません。
 しかし、こういう不確定要素に対して、不安や悩みをコントロールすることができる方法がひとつあります。
 少し、難易度が高いと感じられるかもしれないのですが、それはアイテムなしで『自発的に忘れる』ことです。




【いつでも忘れられる方法】
 アイテムなしで『自発的に忘れる』というのは、音楽やゲームなどの、あなたの好きなコンテンツに頼らないということではありません。

 今回教えるのは、それらのあなたの「好き」にガンガン頼っていく手法です。
 とはいえ、外で何かするごとにイヤホンをつけたり、ましてやゲーム機を持ち込んだり、という形でコンテンツを摂取するというのも現実的ではないですよね。
 ここでは「アイテム」という概念にとらわれるのではなく、あなたの持っている「好き」「熱情」が重要になってきます。

 例えば、テスト終わりに控えた新作ゲームの配信や仕事帰りの冷えたビールなどが、現在の課題に立ち向かう大きな力になることがあります。
 これらは、あなたの「好き」が根幹にあり、不安や悩みが干渉することのできない、あなたの最大の強みです。
 世界中のどんな人でも、自分の「好き」なもののためなら、目の前の課題を今はどうにか踏ん張ろうと思えるはずです。

 「好き」という心のコアを見つけたあなたには、もうすでに立ち向かえるだけの力が備わってます。

 その「好き」という気持ちがあるだけで、不安や悩みを「忘れ」ながら、前を向いていけるはずです。


2023.10.17.Mon




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