日本のスポーツ文化はチャンピオンになることがゴールだと錯覚し、その後の人生について考えず、競技生活を送ることが非常に多いパターンです。それが故に引退した後に苦労するという話をよく耳にします。しかし海外では、名門大学に所属しながらも国際大会で優勝し、のちに経営者、医者、弁護士になっている選手がたくさんおります。これは、スポーツはあくまで人生の過程であるというのがグローバルスタンダードだということです。
私は部員達に「自分という人間を形成し成長するためのツール」としてレスリングを考えてもらいたいと思っています。
自分自身が現役時に全国大会で優勝した時に、チャンピオンが嬉しいのではなく、そこに至るまでの過程が楽しかったのだと気付きました。
食事だって一度美味しいものを食べれば、また味わうためにその店に通う、文字通り味を占めるのと同じように、チャンピオンになった者はチャンピオンの味を占めるでしょう。
私もレスリングで味を占めたことによって、色んな世界でもトップに立ちたいと思うようになりました。レスリングが自分の人生を切り拓いてくれました。
部員達にも、レスリングの先に広がる違う世界でも価値の本質を知り、一人ひとりが志高くレスリングから学び、成長してもらいたい。
そして、社会に出た時に、「中央大学レスリング部の出身は礼儀正しく、優秀で行動力も素晴らしいという」評価を頂けるような人材を輩出できる組織を目指しています。