引退ブログ みる

女子ラクロス部4年 主将の松崎千夏(みる)です。
まず初めに、日頃より武蔵大学女子ラクロス部の活動にご支援、ご声援をいただいております、保護者の皆様、OBOGの皆様、学校関係者の皆様、いつも本当にありがとうございます。
ここ数年は幾分か元の生活に戻りつつある年ですが、まだまだ予断を許さない中で変わらず活動ができているのは皆様のご理解、ご協力があってこそだと思っております。本年も多大なるご支援を頂きましたこと、この場をお借りして感謝申し上げます。今後ともこの武蔵女子ラクロス部の変わらぬご支援、ご声援の程、どうか宜しくお願い致します。


早速ですが、僭越ながら、引退ブログとして今シーズンを終えた私の率直な想いをここに綴らせていただきます。

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これから、私が引退ブログに綴ろうと思っていることを3つに分けて挙げようと思う。

1、自分について
2、今期について-試み-
3、最後に



1、自分について


「主将をやるなら覚悟を決めて欲しい。」


1年前、HCのじょーさんからそう言われたとき、私は覚悟を決めることが怖かった。私なんかに主将が務まるのか、やっぱり辞めた方が良いんじゃないかと、正直心の中で何度もそう考えていた。自分を卑下しているつもりはないが、私自身リーダーの様な素質も経験ももっぱら無く、むしろそのようなことは苦手とさえ思っていた。


じゃあ、なぜ主将になったのか。


1つは周りの存在の大きさ。ふと、周りを見たらこんな自分でもずっと信じてくれている人達が居た。
そして、これはある意味自分自身への挑戦でもあった。自分には残りの時間が限られていて、その中でどうやってチームと向き合えば良いのか見つめ直し、私はこのとき主将になることを強く誓った。

正直、この1年間は毎日が模索の日々だった。私は武蔵のいち選手でありながら、このチームの主将として、自分の存在意義やチームとの向き合い方について最終戦を迎える日まで悩み続けた。情けない話だが、何ならなるべく気付かれないように泣くことも多々あった。



「自分はこのチームに何を残せているのか」考えるのではなく、「何を残したいのか」
「自分がどういう存在なのか」他人に委ねるのでは無く、「どういう存在で居たいのか」

そんなとき、じょーさんのこの言葉で気付かされた。




「普通の大学生では経験できない瞬間に出会ってみたい」

最後の学生生活で何か本気になれるものに打ち込んで、楽しい瞬間も辛い瞬間も含めて初めての経験を沢山してみたい。そんな純粋な想いでラクロス部に入って気付いたら4年が経っていた。

思えば下級生の頃、早く上手くなって武蔵の戦力になりたい一心で自主練に励んでいた。特に自分は人よりも体力や技術で劣っていると感じていたからこそ、とにかく食らいついていく為には人一倍努力をしないといけないと思っていた。
だからある日、自分のためにやってきたと思っていたことが、頑張っている人MVP賞として部内で選ばれて、そんな自分の姿を見て力をもらったと多くの人に言われたときは、こんな自分でも輝ける場所があったんだと思えた。それでも結果が伴わないことの方が殆どで、自分が直接ゲームで貢献出来たことは一度も無かった。

3年生のとき膝の大きな怪我をして、手術をした。本格的に競技復帰が出来るのは来年のリーグが始まる前だと医者から言われたときは流石に絶望した。上手くなりたい一心で自分なりに頑張ってきたつもりだったのに、4年目にしてリーグに間に合うかすら分からない。始まったリハビリ生活は、ひたすら自分との戦いだ。それでも、手術を決めたことも、その先にリハビリ生活が待っていることも、全部それを乗り越えた先に見たい景色が待っていると、それを信じて覚悟を決めたことだったから、ただ前を見続けた。

いつだって、誰かにそう思われたいと思ってやっていた訳では無い。ただ上手くなりたいその一心だった。他人の評価を気にしてやるラクロスほど楽しくないものはない。私の4年間は、例え上手くいかなかったときの方が多かったとしても、どの一瞬一瞬も最後まで自分自信が楽しむことを忘れたくないと、そう思った。

だからこの言葉を思い出して考えるようになって、自分の捉え方を客観的に見直すことができ、チームへの向き合い方が明確になれた。


2、今期取り組んできたこと


この写真は、最終戦の試合後の1枚であるが、今期22チームを良く表した1枚だと思っている。それは、クロスの並べ方に始まり、身の回りの整理整頓、お辞儀の仕方、決して今の環境を当たり前だと思わず感謝の気持ちを忘れない

当たり前のように聞こえるかもしれないが、これらの行動が全てに繋がっている。もちろんそれは、今期私たちが掲げていたビジョンとも。

今期のビジョンは、

『日々、ラクロスという舞台を楽しみながら、 自分の中で誇れる在り方を模索し、 成長のために挑戦した自分と仲間を 尊重し認め合う。そうすることで、自分たちがまずMUGLを心から大切だと想うことができ、その姿勢を周囲に魅せていくことで、

愛し、愛されるチームを実現する。』

当然ながら、このビジョンは私たちだけでは達成することが出来ない。ビジョンの根本には、部員一人一人が、ラクロスという舞台で楽しみながら、自分の可能性にチャレンジし、それをサポートしてくれた仲間との関係性の中で自分たちが自分たちを愛する。そんな私たちの姿を見て、OG/保護者の方々に始まり、関わる全ての方々に応援したいと思えるようなチームを目指すこと。

技術は組織と常に表裏一体で、どんなに技術で優れているチームも組織が穴だらけだったら意味が無い。本当の意味で強いチームになる為には、当たり前の基準を超えることが求められるが、それ以前に当たり前のことが出来ているのが前提である。

ここで、今期のことについて振り返りたい。
元々少人数な上に、今期は上級生が極端に少なく下級生が多いという異例とは異なる体制で始まったこの22チームは、覚悟はしていたが想像以上に幾度となく困難にぶつかった。それでも、普段の練習や、今年は特に怒涛のリーグ期間の4戦を重ね、もちろんまだまだ課題もあるが、確実にビジョン達成のために一人一人が沢山の葛藤の中で模索し続けて何かを見つけ出すことが出来た、そんなシーズンになったのではないかと思う。


11月12日
筑波と帝京の試合が終わり、その結果私たちは3部残留で今シーズンを終了した。そしてまた、2部昇格の壁を超えることは出来なかった。
「結果よりその過程」という言葉を良く耳にするが、もちろん結果で得られなかったものは当然ながら経験することが出来ない。一番は過程をしっかり組み立てて結果が2部昇格という成功なら目指してきたものとなるだろう。でももし目指してきたものが果たせなかったとき、過程を重要視していれば、それが次の成功への鍵となるんじゃないかと。一斉を風靡したあのサッカーFIFAワールドカップでの言葉を敢えて借りるとするなら、結果として新しい景色を見ることは出来なかったけど、間違いなく武蔵の新しい時代を築くことが出来たのではないかと思う。 

初めはこんな当たり前のことでも出来ていないことの方が多かったのに最終戦を経て、ピッチで一緒に戦う仲間、ベンチ、応援席をみて、ああこれが私がずっと見たかった景色だったんだな、と思った。

​OG、保護者の方々をはじめ、学校関係者の方々、他大学の方々、武蔵女子ラクロス部に関わって下さる全ての人から愛されて、まさにビジョンである「愛し愛されるチーム」に近づく為に1歩ずつ体現していけたのではないか。


そしてそんなチームに所属する私が目指してきた主将とは、
例えどんな局面に立たされたとしても、目指すべき軸を決してブラさず、その端々で伝え紡いでいくこと。​その為に主将として、最後までチームの舵をきれる存在でありたいと考えていた。そして、私はこの1年間で特にこの「伝える」にフォーカスした。

この「伝える」は想像以上に難しい。
ましてや冒頭でも述べたように、人前で話すことが苦手な私にとっては地獄のような難関だった。今の発言はどうだったか?滞りなく本質を伝えられていたか?その為に今まで読んだこともない自己啓発本なんか読んでみたりして、発言しては自分の中で反省の繰り返しだった。


その中で身をもって得たことは、「話の中に自分の想いや経験を盛り込むこと」

思ったより当たり前なことだと思われたかもしれない。
でも、どんなに綺麗な言葉を並べても、内容として聞いている人を動かすにはやっぱりその「伝え方」に限る。そこに話者の気持ちが入ることで、何かその人に親近感が湧いたり、この人と一緒に歩んで行きたい、必ずそう思わせてくれるだろう。



3、最後に

ラクロスに捧げたこの4年間を振り返るのには、あまりにも沢山の時間が必要だ。そして、学生競技生活はあっという間だった。それでもこの限られた時間の中で、これ程沢山の経験をさせて頂いたのだなと感謝の気持ちでいっぱいである。

これはこれから続いていく後輩に向けて、大口を叩いて言うのは非常におこがましいが、当然ながらこのメンバーで戦えること体験出来ることは今しか出来ないし、その状況にいる当事者にしか得られない。ピッチに立てば試合に出場している責任がそこにあるし、もっと言えばこの組織に所属しようと決めたことにも責任がある。武蔵は少人数だからこそ極端に言えばむしろ嫌だと思っていても試合に出れる可能性は無くはない。でも、今のこの環境全体を決して当たり前だと思わないでいて欲しい。そして、その一瞬一瞬をどう過ごすかは、最後(ここで言う最後とは自分が4年間を終えたとき)にそこでどういう姿になっていたいのかを、例えはっきりしたものでなくても良いから考えてみて欲しい。


正直、ここまで来るのに私は沢山遠回りもしてきた。目に見えない不安や重圧に押しつぶされそうになっては毎日、今日の自分は胸を張れる1日であったか、そう問い続ける日々であった。
​けど、あのとき勇気を出して覚悟を決めたから最後まで、個人として、チームとして、あるべき姿を見据え続けられたのだと思っている。

まっさらな基盤作りの状態から、今日までチーム全員で愛し愛されるチームに向かっていることを端々で実感することができ、そんなチームの一員として歩んでこれたことが私はすごく誇らしい。

そんなシーズンを終え、私は22シーズン主将としての役割が終わった。しかし、前主将として自分の役割はここで終わったと思っていない。新しい時代を築くためにやってきたからこそ、これから続く後輩の成長を見守っていたいし、困ったときには手をさしのべられる準備をしていきたいと思う。



​4年間を振り返って言えることは、ただ1つ。この武蔵女子ラクロス部に入って、ラクロスというスポーツと出会って、そこで沢山の人と関わって、自分には持っていない価値観を知って、沢山の経験をさせてもらった。全てが私の人生の財産になった。


やっと、自分を変えることが出来た。
そして、何より楽しかった。


このブログを書いたことは、私のラクロス部での4年間を通して感じたほんの一部に過ぎない。だからこの先、まだ見たことのない景色を経験して、多くのことを学び、これからの人生の道しるべとなる引き出しを沢山増やしていきたい。そう考えただけで、何だかワクワクする。

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これをもって結びの言葉とさせて頂きます。
何かのきっかけで、このブログを読んでくださった方に、武蔵女子ラクロス部にこんなことを言っていた主将が居たんだと、少しでも心にとまって頂けたら幸いです。

どこか目が離せなくて、応援したくなるチーム、武蔵女子ラクロス部が何年先でも多くの人に愛されるようなチームであることを私は切に願っています。

そして、平素より武蔵女子ラクロス部を応援して下さる方々にこの場をお借りして改めて感謝を申し上げます。いつも本当にありがとうございます。
今後とも温かいご声援の程、どうか宜しくお願い致します。
                                                                 
                                                                           #38 松崎千夏(みる)
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