「作品ばかり作ろうとしないで、あなたが作品になりなさい」
これは、美術の道を志していた私のアートに対する認識を根底から覆し、アートが目指すべき方向性も、自分がアートと共に進むべき方向性も示してくれた、私の大きな転機となった言葉である。
アートとは、一体何なのだろうか?
多くの人々が、アートという言葉を耳にする時、絵画や彫刻など美術館に展示されている作品群を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、そのような物質的な作品だけが果たしてアートとみなされるべきなのだろうか?また、これに付随して、そのような作品を創造する人々だけがアーティストと呼ばれるべきなのだろうか?
近年では多様なミディアムを用いた作品が広くアートして認識されるようになり、アートという言葉はその定義に広がりを見せている。また、「つくる」という行為をアートの核的な要素と考えれば、アートとは広義には「私たちがつくり出すもの」とも言うことができる。
「つくる」ことはたくさんあるが、個人レベルの活動では、私たちは働いてお金を「つくり」出しもするし、資格や能力を身に付けることによって社会的地位を「つくろう」ともする。また、社会レベルの活動では利便性を向上させるために新たなテクノロジーを開発して「つくり」出し、様々な社会問題を解決するために団体を「つくって」活動したりもする。
このような数ある創造の営みの中でも、私たちart societyが最も重要とみなすものは「自分自身をつくること」である。そして、私たちはこの「自分をつくること」こそがアートであり、最先端の作品とは「わたしたち自身」だと考える。また、これをより広げて捉えるならば、「自分」という一つの作品を一生かけて作り上げることが人生であり、この意味で、全ての人は自分自身を彫刻する”アーティスト”なのであると私たちは考える。
アートとは目に見える物質的な作品に限られたものではないという考えを示した有名な現代アーティストとして、ドイツ出身のヨーゼフボイスがいる。ボイスは理想社会の実現を成す全ての社会活動を「社会彫刻」(Social-sculpture)と呼び、新たな芸術の概念を提示した。私たちart societyは、この社会彫刻を真に成し遂げるには、その前に私たち個人が理想的に自己彫刻(Self-sculpure)されることが大事だと考える。
自分と真に向き合うことのできる機会は、現代の社会においてとても限られている。そのような社会において、art societyは
①自己彫刻
②社会彫刻
この二つの理念をモットーに、現代の社会において人々が自己/社会彫刻できるプラットホームを様々な媒体を通して提供していきたいと思っている。少し硬い文面になってしまったが、これからも様々な新しい分野の活動にチャレンジしてしてきたいと思っているので、art societyの活動を応援よろしくお願いしたい。また、art societyの考えるアート論を今後も定期的に発信していきたいと思うので、是非お楽しみに!