日本は国土面積の約8割が森林に覆われた世界有数の森林国であり、日本人は古くから森の恵みを受けて生活してきました。私たちにとって森林は、建築、生活用品、燃料等の資源としての木材やきのこ等の林産物を生産する場となっています。中でも日本の建築は、林業を営む山間地域と密接に関わりながら太古の時代より技術と伝統を受け継ぎ、発展させてきました。
しかしながら、林業従事者の減少や山村の高齢化、管理が行き届かず荒廃してしまう森林、安い外国産材の大量輸入(外圧)による国産材の価格暴落、木を扱う職人の不足など、近年日本の林業と国産木材はさまざまな問題に直面しています。そのような問題があるにも関わらず、現状では建築を学ぶ学生は大学で木や山について学ぶ機会をほとんど与えられていません。
そこで、木や林業、木造建築を現場で学ぶ機会を提供し、学生に木の魅力を広め、国産材や山の問題の認識、改善をしようと始められたのが「木匠塾」という活動です。木と匠の技を学ぶ塾なので「木匠塾(もくしょうじゅく)」というわけです。日本の未来の建築を担う学生がこうして木材に親しむことは、きっと将来の木材の需要につながるでしょう。
・木や山を取り巻く問題の認識と改善を目指す
・木と触れて木の魅力を広める
・建築業界で注目を集めている木造を学べる機会
・正課では学べない木造加工技術「木と匠の技」
近年話題のSDGsや、アマゾンの森林伐採問題等、人類にとってなくてはならない存在である木材を取り巻く現状は世界中で多数の課題を抱えています。日本も例外ではありません。伝統的な木造建築も後継問題等で窮地に立たされていると言っても過言ではないでしょう。では、その中で建築学生ができることはなんだろう。合宿を通じ、意見を交わす中で課題解決への糸口を探っていきます。