京都大学エスノ3ジョウとは?

《団体の理念》

人口減少が深刻化し「地方の活性化」の取り組みが全国各地で広がりを見せる中、短期間で劇的に成功したものは多くありません。またその地域では成功したものの、他の地域では同じ方法で成功するとも限りません。そのような現状の中で、我々は『新しい地域創生モデルを確立しそれを全国に浸透させる』事を目標としております。地方で課題となっている大きなものの一つに「担い手」の問題があります。若年層の流出が激しい地方では高齢化率が高く、地域再生に向けた取り組みあるにも関わらず若者の意見が取り入れられず上手くいかない事があります。また、兵庫県洲本市では島内に大学がないため大学進学を考える学生は必ず高校卒業後に島を出ることになります。そして若者の人口が都市部へと流出して、市の高齢化率は全国平均を大きく上回っているのです。そのような状況で洲本の活性化を取り組む団体は多数存在するものの、担い手の高齢化により取り組みが後退している状況です。一方で、大学は「就職予備校化」しています。多くの大学生は何かやりたいことを持って大学に入学するものの機会に恵まれず意欲とエネルギーを持て余しています。しかし、大学生は地域に対し柔軟な考え方で外部の視点をもたらすことができます。この事から我々は意欲を持て余す大学生が地域の中に入っていき、大学生と地域の両者が手を取り合うことで今までにない地域の未来づくり、つまりは新しい地域創生のあり方を提案していくことができると思っております。ところで、我々の理念である「新しい地域創生モデルを確立し・・・」などのように我々は意識的に地域創生という言葉を使用しています。一般的には「地方創生」という言葉が広く用いられているのに対して、我々はあくまでの「地域創生」を行う団体であるということです。「地方創生」は第2次安倍晋三内閣で唱えられたもので、人口減少や雇用減少に苦しむ地方自治体の活性化を目指すものです。この時期から「地方創生」が広く世間に認識されるようになりましたが、「地方創生」という言葉には行政からのトップダウンの政策的なイメージを持たれる傾向と、「都会(urban)」に対する「田舎(rural)」というイメージが強く、地方の方々の中にはよく思わない方々もいます。その為、我々は「地域創生」という言葉を使用しているのです。これからの地域社会、さらに言えば日本・世界を持続可能に発展させていく活力は地域内のサイクルにあると思っています。私たちは地域の中にお金・ココロの良い循環を「地域内循環」と呼びます。それを生み出すには地域の人々が地域の発展に向けてボトムアップ的に主体性をもって行動していく必要があります。今までの日本は、中央集権的でトップダウンの地域開発が行われてきました。確かにこの中央集権的開発は戦後の焼け野原に高度経済成⻑をもたらし、日本を世界有数の経済大国にしました。しかしそれが招いたのは大都市部と地方部の格差を伴った不均等な発展に加え、地域の自然や環境を破壊しながらの開発です。また国家の累積債務が膨らんでいく中で地域は置き去りとなり、地方の衰退が刻々と進んでいます。こうした現状を踏まえると、「地域内循環」を生み出すイノベーションを起こす必要があります。そのために我々はそのイノベーションを起こすための活動をしています。イノベーションは境界面上に発生するもの、つまり異なるものが交じり合うところにできます。地域の人と我々大学生が交わる、そこにイノベーションが起き、「地域内循環」が生まれる源泉となる、と考えています。人間はいくら技術革新で移動が自由になる、と言っても地理的制約の中で生きなければなりません。となれば何百年先の未来でも人間の生活基盤は「地域」となるでしょう。その「地域」の持続的可能な発展はその「地域」の人の暮らしを支えるモデルであることにとどまらず、日本、世界の持続可能な発展モデルともいえます。我々はこの「地域内サイクル」を生み出すために活動をしていきます。

どんな活動をしているのか?

主な活動地は兵庫県洲本市と南あわじ市で2018年1月の創立以来、様々な活動を行ってきました。
以下では主な活動を4つ取り上げています。

①「一日限定洲本大学」

兵庫県県政150周年の資金を獲得し実施した模擬大学イベントです。淡路島は大学が少なく、大学という存在に馴染みがなかったりイメージがわかなかったりするのが現状です。そこで私たちは、洲本市中央公民館を利用し、模擬授業や講演会、ミニ学園祭をはじめ受験相談会などを行開き、地域の子どもたちや保護者に大学というものを知ってもらえる場を作りました。

②「レトロこみちパンフレット作成」
レトロこみちとは兵庫県洲本市の市街地に位置する観光地です。洲本の活性化を⽬指す城下町洲本再⽣委員会が整備しました。江⼾時代から区画整備がされていない路地に並ぶ古⺠家をリノベーションし、島外からお店を誘致することで若者の定住を⽬指しているところです。大学生の若い感性で作られたパンフットが求められ、レトロこみち組合と協議し、各店舗の取材からデザインまで全てS3でパンフレット作製に取り組みました。完成したパンフレットはレトロこみちの各店舗はもちろんのこと洲本市各所や東京のアンテナショップにも置かれています。

③「学習カフェstu場」
大都市圏では大学生がたくさんいるため、予備校や塾に通うと名門大学の学生による
サポートを受けることができます。
しかし地方では大学生がいないためそもそもそも受験情報を聞ける場所が少なく、それが教育の地方格差を生む原因になっています。
私たちは夏休みにワンドリンク制の自習カフェ「 stu場」をオープンさせ、名門大学スタッフを常駐させていつでも質問できる体制を整え、合格体験談を話すミニイベントを行い教育格差を改善しようと努力しております。

④「すもとっ子∞塾 京大生による出前講座」
2018年度から洲本市教育委員会と共に取り組んでいるプロジェクトです。
大学がないため⼦どもたちのキャリア選択の幅を狭めています。
またこれからの時代は柔軟で多面的に思考する能力を鍛える必要があります。
しかしながら通常の事業ではそのような力を養う機会は少ないのが現状です。
∞塾はそのような状況を解消することを⽬標としてアクティブラーニングを取り入れた講義を行い、それが高い評価をいただいております。

⑤「第1回 大学生地域創生会議」
⼤学⽣地域創⽣会議とは、⼤学⽣が地域の中に⼊っていき地域住⺠や⾏政,⺠間企業などと共に地域創⽣について考える合宿形式のアイデアソンです。この創⽣会議のよって得られる効果は以下であると考えます。

・⼤学⽣の斬新なアイデアによって地域活性化の取り組みに新しい⾵が吹く
・地域創⽣に対する⼤学⽣の感度を上げる

もちろん短期間でも⼤学⽣が真剣に地域創⽣に取り組むことは有意義なことではありますが、ただアイデアを考えるだけなくそのアイデアの実現に向けて動き出すことも重視しています。その第1回目として5⽉3,4⽇に兵庫県洲本市で「第1回⼤学⽣地域創⽣会議」を開催しました。京都⼤学⽣を中⼼に20名が参加し「地域内再投資に留意した上で洲本の活性化を考えよ」をテーマに1班5⼈に分かれ1泊2⽇の合宿を⾏いました。京⼤で事前学習会も⾏い、合宿当⽇も全ての班が深夜まで議論を続けるなどとても有意義でした。

他にもエスノ3ジョウは地域のお祭りに出店したり、ゴミ問題などの地域課題に取り組んだり、地元の人々に愛される活動を行ってきました。また今後活動の幅と活動地域を広げていくことを目指します。また毎週京都大学でミーティングを行い、プロジ ェクト会議だけでなく勉強会も実施しています。