アイデアが実行へ

今回はスーンのちょっとした授業つくりのお話。
スーンではその期ごとに新しい授業を一から作る。去年の授業は参考にすれど同じものは作らない、教える教科から考えていくのがスーンの伝統だ。
私が一年生の時、教科は算数に決まり、授業内で扱うアクティビティについてそれぞれメンバー授業案を持ってきた。

私が持っていったのは「猛獣狩りに行こうよ」に似たゲームだった。音楽を流し、曲が止まったら、プラカードに書いてある数字の人数でグループになり、その場にしゃがむ。低学年向け授業ともあって私なりに考えた一つのゲームだった。

しかし、先輩方の持ってこられたゲームはレベルが段違いに高かった。さいころを使ったすごろくゲームや、おはじきを使った計算問題など、ラオスの子供たち目線で楽しそうな授業案が考えられていた。「あぁ自分の持ってきたゲームはなんて稚拙なのだろう」そう思って少し落胆してしまった。

しかし、先輩方は私のアイデアを採用してくれた。採用してからは「どう曲を流そうか」「どんな曲がいいか」「安全面は大丈夫か」「プラカードは何にしよう」「先生方にはどう協力してもらおう」など、案を出した自分でも想像していなかった様々なことを話し合った。

「授業をつくる」とはそういうことなのだと知った。一人のアイデアを尊重し、実行に移すために様々なことを比較検討、リハーサルを繰り返して、改善する。スーンは誰一人の案も無下にしないし、それを実行に移すために手間暇をかける。この文化だけはしっかり繋いでいきたいと思った。