【予習】ジェンダー単元
◎事前課題に対する仮説
【1】正直なところ、パンデミックが直接的にジェンダーギャップに影響を与えるとは考えていませんでした。様々な要因でジェンダーギャップが未だに解消されていないことは理解していましたが、それは以前から続いていたことで、この感染症によって遅れたという感覚は、始めはありませんでした。
【2】「働く」にまつわるジェンダー平等は、現時点で働くことに対して困難を抱えている人々(シングルの親や、派遣社員など)の問題だと考えていました。また、そこにジェンダー不平等があることで、まず第一に仕事の生産性に繋がらず、また働いている人にとって豊かな生活がおくれないことは、ひいては日本全体の活力が失われ、結果として持続可能な社会の実現にストップをかけてしまうのではないかと考えていました。
【3】バイト先で、立ち仕事(ただ立って見守るだけ)を男性のみが任され、女性は室内での仕事を任されること、そして自分自身がそれに対して「ラッキー」程度にしか捉えていないかったことは、改めて考えるとアンコンシャスバイアスだったと思いました。いかに生物学的に体力的な男女差があるとはいえ、面倒なだけであるはずの仕事を優先的に男性が担い、またそれが当然で是とされてしまう風潮は、一旦足を止めて考えるべきだと思いました。
◎課題図書・資料・フィールドに触れて
以下は予習&MTG後に考えたことです。
【1】パンデミックによりジェンダー平等が遠のいたというよりは、もともと遅いスピードであった平等への道が、パンデミックによりさらに遅くなってしまった、留まってしまったといった方が正しいような印象を受けました。自粛要請により、家庭内の家事負担がさらに女性にのしかかる、パンデミックで最も影響を受けた契約社員などの末端の仕事に女性が就きがちであった、ということはパンデミック以前から起こっていたことだと思います。最近でこそ、そのような状況を改善しようという動きは少しずつ出てきましたが、パンデミックにより、まずは自分自身の状況を考えなければならなくなった結果、平等への道が一旦止まってしまっているように感じました。MTG内でも、従来の価値観により、女性の家庭内での負担が重くなったのはなんとなく予想できたが、仕事の面でのジェンダーの問題が関わっていることには気づかなかったという声が多く出ました。家庭内だと我々にも容易に想像がつきますが、仕事のような、同職種でないと気づかないところに実は問題が潜んでいるのだと感じました。
【2】「働く」にまつわる不平等は、決してジェンダーの問題のみに帰結出来るわけではないと感じました。もちろん、男女の賃金格差なども大きな要因ではあると思いますが、それ以外にも男性に対する稼ぎ手としての期待や性による職分離なども関わっているとわかりました。その要因はジェンダーへの偏見だけではなく、従来の日本型就業構造にこそ問題があるように感じました。この従来型の構造に乗り切れない人々が、男女関係なく困難を抱えているのではないかと思いました。MTGの中で、海外のジョブ型の話もでましたが、これまでの構造が現状にそぐわないからといって、安易にジョブ型を採用するのも、それはそれで危険ではないかという意見もでました。また、他の方の話の中で、この「働く」に関するジェンダー不平等の具体的なエピソードを色々と聞けたのも非常に興味深かったです。
【3】自分でも思いもよらなかった、まさにアンコンシャスなバイアスのお話がたくさんでて、とても興味深かったです。個人的には、MTG内で出てきた「言葉狩りになっていないかは注意しなくてはならない」という言葉が印象的でした。確かに、この言葉は差別化もしれない、配慮に欠いているかもしれないと考えるのは重要だと思いますが、それに過度に過敏になりすぎるのも息苦しいように感じました。昨今のSNS上での騒動を見る限り、根本の思想としてはジェンダー平等を目指すものであっても、「言葉狩り」かもしれないという意識を持たずに闇雲に主張することで、多くの人から批判をかうというパターンが多いように思います。このことに対して、MTG内で結論として、こういった場合にこそLAPで求められる「対話」の姿勢が重要になってくるのではないかという意見がでたのが個人的にはすごく面白かったです。お互いに表象の主張だけを見ていると対立するように思えても、根本の部分まで目を向けると目指すところは同じだったということもあると思います。ただ迎合するのではなく、相手を肯定し、そしてまた謙虚に自分も主張していくという姿勢は、ジェンダーの問題においてだけでなく、あらゆる面で大切にしていきたいと感じました。
【残った疑問】
・ジェンダー不平等と聞くと、男性と女性の二項対立のように思われるが、実はそうではないのではないか。男性の中での不理解/不平等、女性の中での不理解/不平等にも目を向けなくてはならないのではないか。
・言葉そのものが悪いのではなく、使う人/使われる人の印象や認識であるのならば、その言葉によって起こる問題を、どのように顕在化させていけばいいのか。(言葉狩りにならないためには?)
・我々が目指すべきなのは本当に男性と女性が完全に平等である社会なのか。その場合における平等とはなにか。