【復習】国家単元
遅くなりましたが振り返り投稿です!◎講義の内容
今回の講義を受けてのまず一番の感想は、短い時間だったけれどもとても濃いものだったなということです。世界の本当の始まりである宇宙に立ち返って、そもそもに何重にも回帰しながら2000年の人間の営みを俯瞰できた時間はとても濃密でした。それもただ流れを追うだけでなく、暴力や虚構、理性といった視点で見ることで、こんなにも歴史はまた面白い一面を見せるのだということがよくわかりました。課題図書であるサピエンス全史でも言及されていましたが、やはり歴史が今のような姿をとっている正当な理由を断定することは不可能ですが、それでもなぜこのような姿になったのかを記述することにも十分大きな意味があるように思いました。そのような視点で歴史を見ることで、人類が共通して取り組んできた問題や、現代で起きている問題の根がどこにあるかがクリアになったように思います。当に歴史のダイナミクスを感じることができた数時間でした。また、講義自体が興味深かったのはもちろんですが、今回の課題と予習MTGは今までよりもさらに面白いだったと思いました。抽象的な問いだからこそ考えられる視点が多くあり、時には妥協や断念をリアルに体感しながら、クニという共同体をまとめあげる視点の難しさを実感できました。特に私たちの班ではベーシックインカムに重点をおいて対話しましたが、そのルール1つとっても、財源をどこから持ってくるのか、支給品はどのような形態が望ましいか、本当に目的を達成するためにベーシックインカムという形をとるのがベストなのか、と次から次に考えなければならないことが出てくる、ということを体験することができました。ルールそれぞれを考えるのはもちろんですが、やはりそのルールを作ることで共同体をどうしたいのかということが各人で違っていて、思いの違いやその思いの表し方の違いなどを体感的に理解することができました。そのような、共同体を作る側の視点を体験した上で歴史を再び見ることで、なぜここでこの指導者がこんな判断をしたのか、その共同体にとってその決まりがどのように働いたのかなど、単に勉強するのとはまた違った視点から考えることができて、とても面白い体験になったと思いました。
◎講義やリフレクションを受けて
講義の中で特に印象に残ったテーマが2つあります。1つは暴力についてです。歴史は、すなわちどのように暴力が生み出され、手に入れられ、支配され、コントロールされてきたかの動きと捉えることができるというのは、目から鱗の視点でした。合戦や戦争などの、単純な暴力の発露とその結果だけに注目するのではなく、共同体による暴力の独占方法とみるだけでもより見えてくるものが違うように思いました。そのお話の中で出てきたことですが、ローマの時代の人々は猟奇的な殺し合いを見世物として楽しんでいたというエピソードを聞いて、何か胸にひっかかるものがありました。今の我々は、理性的に暴力=むやみに使うべきでなく適切に使わなければならないもの、と無批判に思いがちですが、では暴力的なものを好んでいたローマの人々と我々は一体何が違うのだろうと思いました。先史時代の闘わなければならなかった人々も、全員が悲観的に戦いに臨んでいたのかというと、そうではないと思います。人間は暴力を無意識的に忌避するもの、とするのではなく、もしかすると根本的には暴力を受け入れ可能なものとして見ているのかもしれないとするだけでも、現代の様々な問題を考える上で違った見方ができるのではないかと思いました。暴力=悪としてしまうと、暴力は使うべきではないという議論でストップしてしまうので、そうではない捉え方も時には必要ではないかと思いました。もう1つは、最後に言われていた「競争がない社会は不健全。健全な競争を目指さなければならない」という問いです。虚構を用いながらなんとか秩序に近いものを保つことができている現代においては、前時代的な暴力による競争ではなく、より健全な競争を目指すべきではないかというような文脈でしたが、やはりその健全な競争とは一体どのようなものになるのかということが心にひっかかりました。競争を目指そう、競争の中で頑張ろう、というのは少なからず自分自身が競争の中で完全な負けにはならないという自負がある側にしか言えないことだと私は思います。自分が少しでも、完全な負け、負けの負けになる可能性がないとも言えないのならば、競争を目指そうと声高にいうのは難しいのではないかなと思います。競争は競争の時点で構造的に負けをつくってしまうので、どう足掻いても公正や平等にはなり得ないと思います。しかしかといって全員横並びの公正平等を是ともいうことができないとも思うので、やはりここで言う「健全な」とはどのようなものになるのだろうかということが、問いとしてずっと残り続けています。暴力や競争を上手く使ってきた人類は、今度は競争をもっと上手い形で使いこなすことができないのだろうかということを、講義の後もずっとぐるぐると考えています。その上で、今後の社会がどのようになっていくのだろうかということが、問いとして深く心に残りました。虚構を上手く使ってきた人類は、今度はメタバースのような社会が虚構そのものになるような時代に突入していくと思います。それを単純な良い/悪いではなく、それが一体どんな流れの先にあるのか、そうなることにどんな意味があるのかを、これからも考えていきたいと思いました。