変な方向を指差しておいて言うのも恐縮なんだが、この記事は読んで損しない。
古賀大勢渾身の文章だから。
さて、断言しよう。
楽しく人生を過ごしたいなら、瞬間を操るスキルが必要だ。
『瞬間』は意図的に、しかも簡単に、創り出すことができる。
2020年もあと少しでクローズ!!
人は誰しもいつだって「早いな」と言う。
(ちなみに私は「今年は早くはなかったな」と思っている。えへん)
「早いな」を言うことは恒例行事だ。
みんな「早いな」を言うようにプログラミングされた機械なのだ。たぶん。
うん、早くアップデートしなさい。
冗談は縦置き...
あと数日で、「早いな早いな」と言っていたあいつが来るんだ。
あいつが来るんだ...
そう!年越しの瞬間だ。はっぴぃはっぴぃ!!ヒャーーい!
でも今日、話したいのはいかに「年越しウェイ!」のプロになるかについてではない。
(今年の1月1日は渋谷カウントダウンに行ってきました!が、来年そんなことをしたら小池都知事に首をしめられてしまうねっ。)
『瞬間』
私の好きな言葉ランキング上位に入る。
でも、みんなも実は好きなんだよ。
言葉が好きなのではなく、「瞬間」というものが好物なはずなのだよ。
例えば......
「新年のスタート」を例に挙げてみよう。
あなたは新年のスタートと同時に、自分が白紙の状態だと感じている。
感じる、でしょ?!
(だって、ほら、新年を契機に新しい目標を決めようとするでしょ?)
過去の失敗は全て去年のもの。
「失敗したのは今の自分ではない。」
「失敗したのは過去の自分であり、今の新しい自分ではない。」
「新たな自分なのだから、そんな失敗はあり得ない」
という”思い込み”がある。(ただし、これに関してはポジティブだと思う。)
つまり、新年の決意は実質的には決意ではないらしい。
というのも、気持ちに変化が起こっているわけではないからだ。
あなたはきっと前日の12月31日にも体重は減らしたかったし、貯金をしたかったはずなのだ。
元旦に決意を表明するのは、「心の会計のごまかし」のようなものだ。
(※心の会計:行動経済学の用語。同じ金銭であっても入手法や使途によって扱いを変えるという非合理的な行動のこと。)
過去の失敗は「過去の自分」の帳簿に残し、
今日からは「新しい自分」を始めるのだ。
そうなると本来、「新年の決意」ってのは「新年の免罪」ってなる。
そうかそうか。。。
ならさ...
こういうこともできるよね。
それを逆に利用しようぜ、、ってこと。
新年だけじゃない。
言ったでしょ。瞬間は創ることができるんだよって。
例えば、日曜日を自分の中で節目にしてもいいし、
月初&月末を「自分の振り返りだけを行う日」にしたっていい。
そういうのがあれば、自分をコントロールできそうな気がしないかい?
すごいね。いいこと学んじゃったね君。わらわら。
(少しでもやってみたいと思ったら、今すぐ新宿の巨大な温泉施設の会員になって、
月初は昼からそこへ籠って、
牛乳飲みながら、今月のタスクをすべて手帳に整理して、
「ああ最高! 今月も目標達成に向けて努力するぞぉ!」とかって
言いながらマッサージチェアで仮眠とって、
起きたら好きな本でも読んで、夜ご飯の時間になったらおうちに帰って、、、
ってナイスプランじゃない?)
自分はある大手熱血塾で集団授業の講師をしていたが、最近退職した。先生をやるという夢を一つ叶えてしまったわけだが、その「先生をやりたい」という夢のきっかけを与えてくれたのも中学時代に1年間通ったこの塾だった。
日本でナンバーワンの塾だが、そこの先生たちの熱がすごいのがこれを1位たらしめる所以だ。
自分の恩師の中に、烈士という先生がいた。(名前からして熱血や。)
彼は声が大きいし、授業で生徒も笑わせてくれるし、
そして時には凄まじい怒り方をする。
いわゆる激情タイプだった。
自分のクラスは、トップ2のポジションだった。トップのクラスとは埋めようがない差があったことは、生徒たちも感じられることだった。(先生の側を経験してわかったことだが、本来はそれで仕方のないことではある。)
しかし、彼は「漢字テストの平均点でトップクラスと対決を挑もう。」と言った。
トップのクラスと同じテストを行い、平均点で勝負するというものだった。
「漢字テストならば勝機はある。しかし、あいつらは必ず全員100点をとってくるだろう。だから君たちも絶対に100点を取りにいかなければならない。」
ただならぬ緊張感で、その日のテストは行われた。
何度も何度も練習してから本番に臨み、見直しも5回した。
(今思えばたかが漢字の暗記にとてつもない集中をした。いや、当時中3の自分たちマセガキたちでさえも「たかが漢字」と思う年頃だった。けど、先生は本気で漢字を覚えようとする雰囲気を作り出した...)
採点をするときは肝を冷やした。危ねえ、、百点だった。
先生が一人一人点数を聞いていく。順調に100点が続く。
しかし、2人が92点、を取ってしまった。
トップクラスの先生がニヤニヤしながら、うちのクラスにやってきて、結果を伝えた。
「もちろん、100点でした〜」
ちょっとした、修羅場だった。
でも、今もその時のことは鮮明に覚えている。
これが俺の人生における「決定的な瞬間」。
烈士先生は、ゆっくり話し始めた。
「やっぱりね〜。そう簡単にはいかねえよな笑」
少し、笑っているが、震えている。
「あいつらは絶対、100点しか取ってこないって予想してたけど、やはり完璧にしてきてくれたな〜。」
俺も含め、みんなトップクラスの実力を刻まれたような気がした。
「悔しいな」
そして、次の瞬間
「おめえらは!いつになったら戦うんだよ!!!!!」
今まで聞いたこともないほど大声で、絞り出された声で、彼は言い放った。
後ろの方の席に座っていたのに、身体が痺れた。
先生の顔には涙が流れていてぐしょぐしょだった。
唇は震えていた。
「俺は...君たちの夢が叶うんなら、裸で踊れって言われてもできるんだ。そんなんで、君たちに幸せ約束してくれるんなら、喜んでやってやるよ。でもな、最後はお前がやらなきゃダメなんだよ。自分の人生決める受験会場に俺は隣でついていってはやれないんだよ。」
戦っていたのは、トップの生徒たちではなかった。
戦っていたのは、自分だったのだ。
そう教えられた。
そして、自分の生徒を本当に疑わずに、
勝負に勝つことをただ直向きに目指してた教師の姿からは、
信じることの大切さを教えられた。
教えられたというよりも、刻まれてた。
不可能なんてない。
不可能だと言う最後の敵は自分なんだといつも信じるようになった。
<こっからが本番>
〜あなたが瞬間プロデューサーになったら...?
こんな決定的瞬間をくれた場所には感謝しているし、
自分も与える側になりたいと思った。
そうして、すごく憧れた場所で教師をやることになったが、職場はあまり良い環境とは思えなかった。自分が生徒として通っていた校舎とは雰囲気が少し違った。もっと、新入教師を歓迎をするべきだし、職場の上司がもっと夢を語ってくれればいいのにと思った。オリエンテーションもないし。なんだか、すぅっと新しい環境に入れられてしまった感覚だった。
本当に説明が少なくて困った。そういうシステムがなかったのだろう。社員の先生たちも話してくれない。「自分から行かなきゃ教えてくれないんだな。そういうスタンスなんだな」と思いながらやっていたが、やはり瞬間を大切にしろよと今は思う。
退職した時も、やけにすぅっと終わった。怖いほどに。
じゃあねーバイバイ。
本当にこんな感じで終わっちまった。
自分がオフィスで「退職します!!お世話になりました!」って叫んでやろうかと思ったくらいだった。でも、そんなのもしなくていいや。ふーんだ。バイバイって感じで去った。
全く...
瞬間を大事にしろっての!
私だったらこうデザインする。
入社初日はさ、校舎の入り口で校舎長が外に立って待っててくれればいいのに。
笑顔で自己紹介され、握手を交わしてさ、
そして、初めてのオフィスに挨拶をしながら入ると、
拍手と高揚に包まれながら自分のデスクに案内され、
座って見ると机の上に手紙があって「ようこそ、〇〇先生」と書かれていたらどうか?
先生になるのか...そう感じながら、これから始まる新生活に期待を膨らませることができるのではないだろうか。
デスクにはちょっとした幟(のぼり)がセッティングされていて、それに気づいた他の社員が肩を叩いて挨拶してくれたらどうか。
パソコンにログインすると、スクリーンに「これまでのどんな職場よりも重要な職場へようこそ」という一文が添えられていたら?
最初の研修動画には、社長からのメッセージがあり、「我々の使命は...」と語ってくれたらどうか。
最後は「残りの初日を楽しんでください。〇〇塾、〇〇校舎のチームの一員として成功し、充実したキャリアを長く続けられることを願っています」と締め括られていたらどうか。
机の上には、記念品が置いてある。その塾のオリジナルのペンだ。
傍にある手紙には、このペンにまつわる歴史と生み出してきた偉業について書かれている。
退社する時は、また上司と握手をし、
帰宅する頃には、やる気に満ち溢れている。
大切なのは、こういった瞬間に気付けるかどうかである。
大事にしたいと思えれば、自然と日常に潜む瞬間に気づけるようになるはずである。
そう。それはもう、人生を左右するほど大切だろ?
長い長いお話を締めくくる前に、風の会のみんなに問いかけたい。
君の人生において重要な転機となった瞬間はなんだ。
今も思い出すだけで、やる気が充満する出来事はなんだ。
今の君を君たらしめる瞬間はなんだ。
それを他者のために、君自身が作ってやれることはできるか?
できる。
やろうと思えばできるんだから。
そして、
今、
国際協力のチームに所属しているわけで、、
いったい何があなたをここに来させたのだろう?
それぞれ十人十色、
違った志を持った中で、
みんながここに集ったことに奇跡を感じる。
感謝している。
ああ、すごいなぁ。すごいことだなぁ...
みんながいてくれて本当に面白い。
みんながいるから、
また新たな瞬間が生まれるんだ。
ほら、
君の未来にとって重要な瞬間が、また、
生まれようとしている...
今度は、あなたが現地の人々にとって、
最高の瞬間を作ってあげる番。
何ができるかな?
どうしたらもっとワクワクするかな?
どうしたら彼らは希望に満ちあふれるかな。
どうしたら俺たちは彼らから面白いことを学べるんだろ。
尽きない問いだけど、悩めば悩むほど楽しいね。
以上。
読んでくれてありがとう。
最高の瞬間を全力で共有しよう。
特定非営利活動法人国際協力NGO風の会 第24代 代表 古賀大勢