かわけんのロシア留学譚No.2(食と人について)

この記事はかわけんの留学譚No.1の続きです。ストーリー性はないので読む順番は問いませんが、No.1も読んでいってください。
ここでのテーマは、 
・食 ・人柄と思考傾向 ・美男美女
です。

・食 

 ロシアの料理は美味いものはガチで美味いです。思い出のメニューを一通り食べるためだけにロシアに帰ってもいいぐらいです。 
 ではまずハズレから。学校が出す飯はダメです。食べられません。同じ学校に来ていた留学生は皆早々に食堂との契約を打ち切り、昼休みにマックへ行くようになりました。水の染み出たマッシュポテト、ケミカル風味のソーセージ、極め付きはフルーツ+砂糖水の伝統的なジュース。砂糖過多によりベタベタで果肉の風味が化け、何より見た目が酷いです。家やコンビニのジュースは美味しいのに、何故なのか。 
 自分の学校食堂がハズレなのだと思っていたら、全国共通な模様。留学団体主催のキャンプで他地方の大学に4日間滞在したのですが、そこの給食が酷すぎて38℃の熱を出し、2日間寝込みました。食べるものが無いので5kg痩せました。他の留学生たちも辛そうでしたね、何しろ大学敷地外に出てはいけないという謎ルールのせいで逃げられなかったので。 
 さて、ハズレは以上です。これ以外はだいたい全て美味い(思い出バイアス)です。食べすぎ注意です。いくつか簡単に紹介していきます。補足:ロシアでは食費が信じられないほど安く、新陳代謝は激しくなるので食べる量が増えます。 太るか否かは体質次第。
 
 ボルシ 
 ボルシチと日本で呼ばれるもの。ビーツと人参の千切り、羊肉/ヤギ肉をダシにした野菜がちでサラサラで真っ赤なスープ。スメタナ(サワークリームの仲間)がパーフェクトマッチする。 
 
 ペリメニ 
 水ギョーザに近い。スメタナが(ry。ファミレスにもあるし、専門店もあるし、スーパーでも冷凍で売ってる。一口サイズで美味いので無限に食べられる。 
 
 シャシュリキ 
 串肉。メジャーは羊、ヤギ、豚。あばら骨がついたPCアダプターぐらいのサイズのブロック状の肉を50cmぐらいの鉄の串で貫く。ヤギは匂いが強いけど今思えば美味しかった。 
 
 グレーチカ 
 蕎麦の実を炊いたもの。白米のポジションで、ほぼ毎朝食べる。イチゴ、キイチゴ、ブルーベリーのジャムorスメタナorバターと一緒に食べる。自分が醤油とのマッチングを見出し、ホストシスター達は以来醤油をかけるようになった。 
 
 カーシャ 
 穀物を炊いたもの全般。ほぼ毎朝食べる。グレーチカはカーシャに包含され、カーシャと呼ばれることもある。白米を牛乳で炊いたもの、オートミールもカーシャと呼ぶ。バターやジャムと一緒に。白米のカーシャは案の定醤油と合い、ホストブラザーは以来(ry。炊き加減に拠る味と食感の振れ幅が信じられないくらい大きい。 学校が出すカーシャはヤバい。
 
 クヴァース 
 日本語ではクワス。黒麦から作られるうっすいビール。アルコール5%未満で未成年でも合法で飲める。500mL~2Lで売ってる。黒麦の味と微炭酸が最高。もし日本で見かけたら条件反射で手を伸ばす。 無限に飲める。
 
 ブリヌィ 
 薄いクレープの生地のようなデザート。大量に焼いて積み上げ、一枚づつ食べていく。各種ジャム、スメタナを載せて丸めて食べる。挽肉やジャガイモを包めば昼ご飯にもなる。自分のおすすめはキイチゴのジャム。そのままも十分美味しい。簡単に作れるのでググって作ってみてはどうだろう。 無限に食べられる。
 
 ピラフ 
 油っ濃くてこげ茶色のチャーハン的なもの。人参やニンニク、羊/ヤギ肉等を入れ、ドデカい黒鍋で炒める。人参と肉の油でほんのり甘い。パクパクですわ。 
 
 黒パン 
 白パンと比べ酸っぱい。酸味が強すぎるのは好みではないが、ちょうどよい酸味なら絶品となる。中まで硬いが切りやすく、これを薄切りにしてかぶりつくのが良い。各種ジャム、バター、そしてスメタナが合う。醤油は合わない。自分の中でのパン二大巨頭は黒パンとフランスパン。 
 
 ウォッカ 
 濃い。説明不要。非常に冷え込む日は、家を出る直前にこれを微量飲む文化がある。口の中で留めると鼻から入ってすぐ酔うので、一気に飲み下すのが正しい飲み方。パーティーなどで飲むときは、必ず飲む前に「皆の健康を!」「友のために!」等、短い祈りを皆で唱える。 
 
粗方紹介できた気がします。もちろんこれ以外にも美味しいものは沢山ありましたが、ロシアならではのメジャーものとなると、こんなもんでしょうか。他にも書きたい品はあるのですが、あろうことか名前を忘れてしまったものもあり、せいぜい写真を載せるぐらいしかできません。 
 自分のホストファミリーはタタール系(モンゴル系)の人だったので、そちらの伝統料理も360km離れたおじいちゃん家で堪能してきました。おばあちゃんの作るペリメニは筆舌に尽くし難いものでしたが、やはり素朴な伝統料理であるマンティが一番でした。早くロシアに帰れるようになってくれないと、あの料理をもう一度頂く機会がなくなってしまうので、困りますね。 
 
 
 ・人柄・思考  
あくまでも筆者の周囲にいた人間に関する印象であるとご承知おきください。まず前提として、人は結局皆同じ人です。〇〇人という概念は「多少有意かもしれない潜在的な傾向」にすぎません。自分の国民性とは外国に一人身を投じて初めて自覚する程度の軽微な(しかし確固たる)ものなのかもしれません。 
 この前提の上で、あえて強調、誇張して”ロシア人”なるものの特徴を挙げてみます。 
 ロシア人は穏やかな人が多いと言えるでしょう。笑う時も、怒るときも、感情を爆発させる人は記憶にありません。コミュニケーションにおいては控え目とも言えます。なんでも言葉にすることはなく、むしろかなり行間や空気を読み、直接的な表現を避け、相手への思いやりを重視します。そういう意味ではかなり日本人に近い感覚を持っていると思います。おかげで自分はクラスメイトにすぐ受け入れられました。 
 満足にロシア語を話せず、しょっちゅう言葉に詰まっていた自分は、日本人にしてはお喋りがしたい方だったので、皆と仲良くなれているか常々不安でしたが、日本人的な仕草、思考回路がロシアのそれと似通っているおかげか、皆驚くほど自分のことを理解してくれていて、とてもよくしてくれました。 
 ロシア語の基本的な単語とその使い方、ニュアンスも日本と通ずるところが多かったので、それも一因でしょう。
 

・美男・美女

 ロシア人は美男美女が多いという通説は広く唱えられているので、これについても少しふれましょう。まず、皆さんが思い描くような典型的なロシア顔はむしろ少数派です。西洋的な色の強いモスクワでは知りませんが、自分がいたエカテリンブルグではモンゴル系や北欧系の血も多く混ざっています。それでも、美男美女はいて、多種多様な血を引いたそれぞれの美形がいるという状況です。例えば、学校には目を疑い思わず振り返らずにはいられないようなロシアンビューティが何人もいましたが、村にはタタールの民族衣装がこの上なく似合うモンゴル系イケオジも何人もいました。(特にホストファミリーの祖父母は父方も母方も、とても素敵な人たちでした。)多民族の血が混ざった環境で暮らせば、もはや一つの美的感覚というのは意味をなさず、世に「美男美女」と呼ばれる像がいかに狭いものであるか再認識することでしょう。

これにてかわけんのロシア留学譚は終わりとなります。
語ろうと思えばいくらでも語れるし、写真とかも色々載せたかったですが、時間に追われて叶いそうにありません。
サムネの写真ももう少し見栄えのするものを持ってきたかったなぁ。
留学は自分にとって良いものでした。少なくとも自分の心の帰る先が一つ増えました。
留学そのものについて語りかけましたが、明らかに長くなるし留学は一般化できないので別個記事にすらしません。
これで終わりです。

最後にクロスワードのヒントを載せておきます。該当箇所はヨコ14P
街の名前です。実はここ、東京と面積、人口ともにかなり近いんですよ。地下鉄もかなり発達していて、路線図はJRのそれと酷似しています。自分はエカテリンブルグに住んでいたので滅多に訪れませんでしたが、ここに来たときは一気にヨーロッパの匂いが強くなり、本当にロシアか少し目を疑いましたね。この街を訪れたら是非赤の広場に行ってみてください。