醜いアヒルのおはなし

人生を生きるとき、誰でもつらい時期がありますよね。

私は小学校から高校までずっとそういう時期でした。

小学校一年生の時に日本に来て、その時初めて母親と暮らすようになりました。生活のあらゆるものが一変しました。

まず、自分が周りの日本人の同級生とあまりにも違うのを感じました。体格も、言語も、性格も、考え方も。自分の、周りと違うものすべてのことにコンプレックスを感じていました。

それはまるで醜いアヒルのようでした。

普通のアヒルになろうと思えば思うほど、普通になれない自分が好きになれず、自己嫌悪に陥りました。特に状況が変わることもなく時間だけが過ぎていきました。

転機が訪れたのは高校2年生のとき。なぜかESSの部長をやることになりました。それまでリーダーをほとんど経験してこなかった私は戸惑いました。活動内容をある程度自由に決められる部活だったのですが、途方にくれた私は思い切って、自分がやりたいと思えることをやろうと決断しました。そして、英語のTEDの動画をみんなで見て、それについて議論したり、英語でできるゲームを考えてやってみたり、それまでやったことがない活動にも色々挑戦しました。そうしたら楽しかったのです!自分で考えて行動することって楽しいんだということに初めて気づきました。最初はなんで自分が部長に?なんて思っていたけれどそれは自分に向いていることだと思えました。

そして人と違う自分の個性を少しだけ好きになれました。その時に湧いた小さな自信が、前に踏み出す勇気になりました。

私は小さい頃から絵を描くことだけは誰にも負けないと思ったので、周りが国公立の大学を目指す中、私は美大に進学しました。もっと自分の個性を伸ばしてみよう。新しい自分を見てみようと思いました。

美大に入ってからは、いろいろクリエイティブなことをやってみました。自分を信じて、「これだ!」と思えるものに熱意を惜しまず注ぎました。そうしていく中で自分の新たな一面が見えて来て、性格もどんどん明るくなっていきました。そして気づいたことがあります。

自分は白鳥だったのかもしれない。

今までは人と違う自分が嫌で、ひたすら直そう直そうと思っていたけれど、人と違うところこそ自分の長所に変えられると気づきました。

そうやって色々やってみるうちにスタ場のメンバーに出会い、イベントの講師までやることになりました。今はスタ場の愉快で素敵な仲間とともに楽しく活動しています。

スタ場はさらに新しい自分と出会う場所でもありました。

個性を開発するためには、想像以上に長い道のりがあります。その道を行く途中、様々な困難があるでしょう。自分の行く先が分からなくなって不安に襲われることもあるでしょう。でもそのような大変さとは比較にならないくらい、その道のりは、楽しいこと、ワクワクすることがたくさんあります。

変わりたいと思っている人に送りたい言葉があります。

自分に変化を恐れないで。

人生は一度しかないです。その貴重な1日1日をどうか大切に。